【マイケル・ルイス待望の新作】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4152100397
本日ご紹介する一冊は、ソロモン・ブラザーズの債券セールスマンとしての経験を書いた『ライアーズ・ポーカー』で衝撃デビューを果たし、『マネー・ボール』はじめ、いずれも著作がベストセラーとなっているノンフィクションの名手、マイケル・ルイスによる待望の最新刊。
※参考:『ライアーズ・ポーカー』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/415050394X/
※参考:『マネー・ボール』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150503877/
先日ご紹介したマシュー・サイドと、このマイケル・ルイスは、今、ビジネス・サイエンスをテーマとしたノンフィクション作家として、トップを走る2人。
さすがは著作の累計が1000万部を突破している人気作家です。今回のテーマも、じつに興味深く読ませていただきました。
今回取り上げられているのは、世界を揺るがした新型コロナウィルスと、それに挑んだ無名の英雄たち。
パンデミックを予感し、独自に動き出していたカリフォルニア州の保健衛生官、影の医師グループ「ウルヴァリンズ」のリーダー、型破りな生化学者…。
個性的な人物たちの戦いの物語が綴られており、ノンフィクションとして、純粋に楽しめる内容です。
ビジネス的な視点で見ても、彼らがどうやってこの困難を予見し、かつ未知のウィルスと戦ったのか、危機管理や問題発見/問題解決について、重要な教訓を与えてくれる一冊です。
さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。
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「これは、エージェント・ベース・モデルと呼ばれるものなんだ」と父親が説明してくれた。「点の一つひとつが人間だと思ってごらん。地球上にはすごくおおぜいの人間がいる。そのひとりが、きみだ。人間にはいろんな種類があって、みんないろんなスケジュールを抱えている。そういう人間がお互いにどんなふうに影響を与えるかについては、一定のルールがあるんだ。(以下略)」
ホセア先生から叩き込まれた教えは、『最も重要なのは既往歴ではない。社会歴だ』ということです
「できるだけシンプルな説明が、たいがい最良である」。患者が二つの別の症状(たとえば、高熱と発疹)を示している場合、原因は基礎疾患一つである可能性が高い
CDCの姿勢の根底にあるのは、ごく単純に「恐れ」だった。あとになって非難されるような行動を取りたくなかったのだ。チャリティは言う。「あの人たちが発するメッセージはこうです。『われわれは、おまえたちよりも優れていて賢いけれど、おまえたちが好きで危険を冒したいなら、目をつぶってやる』」
「いろんな事件の詳細を探っていくと、悪いのは人ではなくシステムだ、とわかります。人間の注意力に依存しているシステムは、うまくいきません」
とくに感心したのが、「ミスを防ぐ最良の方法は、防御機能を何重にも持つシステムを設計することである」という指摘だ。穴がたくさん空いたスイスチーズのスライスも、何枚となく重ね合わせれば穴を完全にふさげる
「目の前で患者が死にかけています。選択肢を切らしてはいけません。選択肢がなくなるとどうなるか? パニックになります。(以下略)」
「ウイルスは意図的に遺伝子コードを間違えて、進化していくんです。間違いが、前例のない進化の柔軟性をもたらします」
大切なものを見極め、それ以外はすべて捨てる
「エスケープ・ファイア」に相当する何かを見つけ出せ
階層(Layer)が六つ下、すなわち「L6」。組織の下方に埋もれていた人が、突然、声を上げたのだ。緊急時、耳を傾けなければいけないのは、その声だった
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Amazon.comで評価数が9000超、星の平均が4.7超という高評価ですが、それも頷ける内容です。
コロナに関しては当初、日本よりもアメリカの方が対策が上手く行っていなかったという印象があり、本書の反応もイマイチな気がしますが、読めば、「さすがマイケル・ルイス」と唸らされる内容です。
「エスケープ・ファイア」(=緊急時、あえて火を放つことで逃げ場所を作る)、L6の法則(緊急時には組織ピラミッドの階層が下の人の意見に耳を傾ける)など、ビジネスや仕事に役立つ考え方がびっしり詰まっていて、勉強になりました。
ぜひ、読んでみてください。
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『AI分析でわかったトップ5%リーダーの習慣』
越川慎司・著 ディスカヴァー・トゥエンティワン
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◆目次◆
はじめに 失われたアメリカ人
第一部
プロローグ グラス越しの景色
第一章 ドラゴン
第二章 保健衛生官の誕生
第三章 パンデミックを憂える人
第四章 止められないものを止める
第五章 千里眼
第二部
第六章 赤電話
第七章 アマチュア疫学者
第八章 マン渓谷にて
第九章 L6
第三部
第一〇章 システムのバグ
第一一章 偽りの花壇
エピローグ 不作為の罪
謝辞
解説/池上彰
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