【掘り出し物です。】
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この世には、一見真実のような嘘と、嘘のような真実がある。
問題は、嘘のような真実に気づいた者が革命を起こそうとした時、古い真実を盲信する者が猛反発する、ということでしょう。
本日ご紹介する一冊は、メジャーリーグのスカウトの常識を変えた『マネー・ボール』以来の衝撃となる一冊。
※参考:『マネー・ボール』
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出塁率に注目せよと述べた『マネー・ボール』の手法は、簡単に模倣され、優位性を失ってしまったわけですが、今回ご紹介する『アメリカン・ベースボール革命』は、単なる選手の売買ではなく、模倣しにくい「育成」の物語。
科学的な根拠を欠く野球の人材育成の世界に革命を起こした男たちの挑戦と、それに乗って成功した選手たちの奇跡が書かれた、刺激的な読み物です。
野球が題材ではありますが、劇的な成果を上げるための思考という意味では、ビジネスにも役立つ話。
科学とテクノロジーがタッグを組んだら、そのうち、すべての人が努力次第で150km/h超の豪腕ピッチャー、ボームラン連発のバッターになれる日が来るかもしれません。しかも短期間で。
昔、江川卓選手の物語をマンガで読みましたが、氏が天竜川で遠投したという話と、150km/hの球速、強靭な方には科学的な理由があったことがわかりますね。
さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。
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動画を見て、バウアーはまず親指、それから中指の順にボールが離れていることを確認した。人差し指は指先と爪がボールに対して垂直に立ち、表面に食いこんでいて、手から離れる最後の瞬間にボールに触れてわずかに回転の軸をずらしていた。この一連の動きを正確にコントロールできれば、完全な回転軸を生みだし、望みどおりの変化球を投げることができるだろう
球速を上げるには基本的に、筋力をつける、動作の効率性を高める、可動性を広げるという3つの方法がある。腕を限界まで伸ばすことの影響はほとんどわかっていないため、ピッチングの研究者は注意するようにアドバイスすることが多い。だが身体を伸ばすことの利点は測定されていて、より遠くから、より強く投げることで外旋可動域と腕のスピードが増すことがわかっている
わずか3日間遠投のトレーニングをしただけで外旋可動域が129.4度から135.9度に広がった
<ランチ>で、バウアーは球速を上げることを学んだ。(中略)またピッチトンネルという考えかたも知った。それはちがう球種のリリースポイントやホームベースまでの軌道をできるだけ一致させ、打者から見分けにくくするという理論だ。ピッチトンネルの練習のため、ウォレンは33センチ×25センチの穴が開いた金属製のフレームを作り、それを練習用マウンドから6メートルのところに設置した。プロのバッターは、スイングするかどうかをそこで決めるからだ
◆アリストテレスの第一原理による推論
マスクは自分のイノベーションはまず「物事を根本的に正しいところまで遡り、そこから推論して」考えを煮詰めることから始まると語っている
目標をよく見ろ? 「それも神話にすぎない」とボディは書いている。「視線追跡の研究で、的から目を離さないこととストライクを投げることのあいだには、なんの関係もないことがわかっている」
2018年、打者はスライダーに対し36パーセントの割合で空振りし、シンカーに対するスイングの空振りの割合(Whiff%)は14パーセントだった
チェンジアップは速球よりも少なくとも16キロ遅くなくてはならない
「新しいスキルを身につける最短の方法は、変わりつづける環境や用具、活動のなかで、そのスキルを行うように自分に強いることだったんだ」(バウアー)
回転数の多い投手を集めたり、所属投手に回転数を高めるよう指導している球団が現れているのは明らかだ。アストロズは回転数が極めて高い選手に狙いを絞っている
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読書家の知人から勧められて読んだのですが、ぐいぐい引き込まれて、一気に読んでしまいました。
版元が化学同人ということで、ビジネスパーソンはなかなか手に取らないと思いますが、名著です。
ぜひ、読んでみてください。
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『アメリカン・ベースボール革命』
ベン・リンドバーグ、トラビス・ソーチック・著
岩崎晋也・訳 化学同人
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◆目次◆
プロローグ パワーアップ
1 救世主となったセイバーメトリクス
2 先天的なマニア、後天的なアスリート
3 ラバを競走馬に変える
4 第一原理
5 ボトムアップ革命
6 1万球の法則
7 パイプ役
8 完璧な投球
9 われわれはみな宇宙飛行士だ
10 回転数疑惑(スピンゲート)
11 アマチュア野球
12 オールスター出場と、ほかの選手への指導
13 パフォーマンスを高めるデータ
14 上達する
15 ソフトファクター
16 それを作れば、彼らは来る
17 天井はない
エピローグ デザインのあとからついてくるもの
後記 コピーキャットリーグ
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