【現代人を救う“新たな死生観”とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4065232171
「私達は、次の世代のために死ななければならない──」
こんな強烈なキャッチコピーに惹かれて、思わず手に取ったのが、本日ご紹介する一冊『生物はなぜ死ぬのか』。
東京大学定量生命科学研究所教授で、前日本遺伝学会会長、現在、生物科学学会連合の代表も務める小林武彦さんが、現代人を救う“新たな死生観”を唱えて、話題となっている一冊です。
中学、高校で学んだ生物学の基礎と、現在の最先端の研究成果を学びながら、なぜわれわれが死なななければならないのか、その深い意味を説明してくれる貴重な内容。
人生や健康に役立つのはもちろんですが、組織の作り方やビジネスのあり方、さらには子どもへの教育という点でも、学びがありました。
現在、地球は人類がもたらした生物多様性の危機に直面していますが、それがなぜ問題なのか、仮に大量絶滅が起こったら何が起こるのか、よく理解できる内容です。
生命の歴史から、生き残りのヒントが学べるという点で、経営においてもヒントとなるでしょう。
生物について知ることは、われわれ自身を知ること、そしてどう生きればよいかを知ること。
少子高齢化に戸惑う日本人にとって、本書は光明の一冊となるに違いありません。
さっそく、本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックしてみます。
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そもそも生物の定義の一つは、自身のコピーを作る、つまり子孫を作るということです
RNAには、自らその並び順を変える「自己編集」する働きがあることが確かめられています。「自己編集」とは、長い分子を切って、別の場所と繋げたりする機能です
より増えやすい配列や構造を持つRNA分子が材料を独占し、他の分子ができにくくなります。さらに自己編集によって効率良く増えるもの同士が繋がると、いっそう他を駆逐していきます。このような生産性がより高い(よく増える)分子が資源を独占し、ますます生き残るような連続反応「正のスパイラル」が、RNAを「進化」させ、生物誕生の基礎を作ったと推定される
そもそもなぜ多様な生き物が誕生するのでしょうか。実は、遺伝子の変化と絶滅(=死)がによる選択が、その多様性を支えています
生き物の種類が増えると、さらにそれらが他の生き物に生活の場を提供したり、あるいは餌になったりします
複雑な生態系は、環境変動などに強いと考えられます。たとえば、A種が絶滅したとしても、それと似た生活スタイル(専門用語で「ニッチ」と言います)を持つ生物が代わりをするので、大きな問題は起こりません
小型の生き物は、大型の爬虫類がいなくなり、気候が安定したあとには逆に生きやすくなった
恐竜をはじめ多くの生き物が死んでくれたおかげで、次のステージ、哺乳類の時代へと移ることができた
捕食されるリスクのみならず、幼虫は行動範囲が狭いという点がデメリットです。もし幼虫のまま成虫になれないとすると、近くにいる遺伝的に非常に近い個体との交尾しかできないため、多様性の確保という面ではいまいちです。そこで、より運動性が高く捕食されにくい硬い体を持った「成虫」になるように進化したのでしょう。つまり交尾のために変態するのです
子供たちに教えないといけないのは、せっかく有性生殖で作った遺伝的な多様性を損なわない教育
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「天文学者になればよかった、と思ったことが何度かあります」という書き出しからスタートして、一気に天文学、物理学、化学、生物学の関係性を説明。
そこから生命の神秘や人生の本質に迫っていく記述には、シビレました。
こんなに生物学の本が楽しいと思ったのは初めてです。
ぜひ読んでみてください。
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『生物はなぜ死ぬのか』小林武彦・著 講談社
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◆目次◆
第1章 そもそも生物はなぜ誕生したのか
第2章 そもそも生物はなぜ絶滅するのか
第3章 そもそも生物はどのように死ぬのか
第4章 そもそもヒトはどのように死ぬのか
第5章 そもそも生物はなぜ死ぬのか
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