【キケロによる名著の新訳】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4866513586
本日ご紹介する一冊は、古代ローマの政治家・哲学者・文筆家として知られるキケロの名著の新訳。
以前、BBMでご紹介した『友情について』の姉妹編にあたる一冊で、もともとは岩波文庫で『老年について』のタイトルで出されています。
※参考:『友情について』
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/400336113X/
※参考:岩波文庫版『老年について』
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4003361121/
43歳で執政官に就任し、ローマ政界の頂点に立ったものの、時代の流れに逆らえず苦悩に満ちた日々を送り、私生活では30年連れ添った妻と離婚、最愛の娘トゥッリアをも失った著者が、どんなことを考えて、晩年を幸せに過ごしたのか。
本書には、その詳細と、キケロが考えた『幸せに年を重ねる方法』が書かれています。
誰もが歳を取る、という厳しい現実を考えると、若いうちから備えておいて損はない。
30代で一度読んだ本の新訳ですが、土井も40代になったので、おそらく受け止め方も変わっただろうと思い、再読することにしました。(実際、赤ペンチェックするところが違っていました)
中高年には特に刺さる内容ですが、若い人が読んでも、人生を逆算して充実させるヒントに満ちた本だと思います。
さっそく、本文の中から気になった部分を赤ペンチェックして行きましょう。
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いいかね、スキピオ、ラエリウス。老年には老年なりの、自分を守る術がある。それは何かと言えば、誠実でまともな生活を続けることだ
農夫の仕事には、自分が生きているあいだに完成を見届けられないと知りながらおこなうものもある。カエキリウス・スタティウスが『若き仲間たち』で言った通りだ。彼は後に続く世代のために木を植える。
若者の熱気に囲まれて過ごす老年以上に楽しいことなど何があろうか?
人生の各段階には、それぞれふさわしい属性がある──少年のはかなさ、青年の大胆さ、中年の本気、そして老年の成熟。これは、しかるべき季節に収穫してやらねばならない果実なのだ
人生における確かな目標とは、おのずから美しく崇高であり、何かの手段としてではなく、それ自体の価値のために求められるべきである
ほしがらなければ、それがなくて困ることもない
何かを育てる楽しさは、年を取っても少しも減じない上に、これこそ賢人の暮らしにうってつけだと私には思える
黄金を手に入れたところで大して偉くはない。それよりも、黄金を持つ人々を統治することのほうが名誉であろう(マニウス・クリウスの言葉)
老人にとって何よりの栄光は、尊敬を受けることだ
死が人間の魂を完全に破壊するなら、その場合には死んだところで本人にとってはなんでもない。そうでなければ、死ぬことによって魂は不滅となる場所へと運ばれていくのだから、その場合、死は好ましいものとなるのだ。このどちらかでしかあり得ない。死後は、「不幸でない」か幸福かのどちらかであるのに、何を恐れることがあるだろう?
自然が人間に肉体を与えるのは客人としてほんのいっときとどまるためであって、住処にするためではない
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これまでに知り合った成功者の方々のなかには、
「成功する前から成功した後のことを考えていた」「歳を取る前から歳を取っても困らないように考えていた」
という方が多くいらっしゃいますが、このキケロの『幸せに年を重ねる方法』は、読者の方が何歳であれ、幸せな人生を考える上で重要な示唆を与えてくれます。
ぜひ読んでみてください。
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『幸せに年を重ねる方法』キケロ・著
フィリップ・フリーマン・編 竹村奈央・訳
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◆目次◆
第1章 「老い」とは何か
第2章 「老い」と向き合う
第3章 畑仕事の喜び・老年の名誉
第4章 死は恐れるべきものではない
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