2021年4月7日

『人間主義的経営』ブルネロ・クチネリ・著 岩崎春夫・訳 vol.5731

【ブルネロ・クチネリの経営論】
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本日ご紹介する一冊は、イタリアの高級カシミヤ製品メーカー、ブルネロ・クチネリの創業者、ブルネロ・クチネリ氏による、人間主義に根ざした経営論。

ブルネロ・クチネリは、日本では紳士服の高級ブランドとしての方が知られているかもしれませんね。

2012年にミラノ証券取引所に上場し、2019年の売上は6億800万ユーロ(日本円換算で約770億円)、営業利益は8300万ユーロ(約105億円)、営業キャッシュフローは1億1500万ユーロ(約145億円)と盤石な経営を続けるブルネロ・クチネリですが、それを支えた哲学・思想が本書では紹介されています。

Amazon、Salesforce、Twitterなど、世界最先端企業の経営者がなぜイタリアの小さな村の企業から学ぶのか。本書には、その理由が書かれています。

詩のように美しく、哲学的で凛としていて、しかも実用的。

資本主義の限界が叫ばれる今日にあって、まさに持続可能な経営哲学と言えるでしょう。

イタリア語の原題は、“IL SOGNO DI SOLOMEO”(ソロメオの夢)ですが、経営を通じて著者は一体、どんな夢を見たのか。

さっそく、本文の中から気になった部分を赤ペンチェックして行きましょう。

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「私はラテン語で統治し、ギリシャ語で思索し生きた」というハドリアヌス帝の言葉から私は強い影響を受けました

息子が十歳になるまでは良き教師であれ。二十歳になるまでは良き父であれ。そして生涯を通じては最良の友人であれ

質素な食事はぜいたくな料理に決して劣るものではなく、わずかな水と一切れのパンはその価値を知る人に大きな充足と喜びを与えてくれます。質素に生きることは健康的であるだけでなく、いつも何かが足りないと不安な気持ちになることから私たちを解放し、予期せぬ運命の嵐から私たちを守り、たまたま何かで成功してお金持ちになっても、自分の幸運を自覚して生きられるようにしてくれます

「あなたの家の玄関の前がきれいなら、あなたの街はきれいになる」、「私たちが受け継いだよりも美しい街をあなたたちに残すことは、私たちの義務である」。これは古代ギリシャ人の素晴らしい言葉

少し前に、樫の苗木を植えていた庭師が、将来その木が大きく育って涼しい木陰を提供してくれる時には自分たちはこの世におらずその涼しさを味わうことはできない、という話をしていました。しかしその木を植えるのは未来の人々の生活を豊かにするためであり、将来への投資であることに価値があるのです

哲人皇帝と呼ばれたマルクス・アウレリウスは、人は倫理を通じて真の兄弟になると考えました

愛する子どもたち、人生は長く見えて短く、世の中を幸福にする夢は一人では実現できないのです。(原爆投下で亡くなった長崎の日本人医師、パオロ・ナガイ・タカシの言葉)

成功を収めるには裏表がないことが重要です。意志の強さに加え、誠実であることは私の構想を実現するために不可欠でした。誠実さは倫理的に価値があるだけでなく、ビジネスをシンプルに進めるのに役に立ちます

私たちにとってブランドは宣伝するものではなく大切に保護すべきものです。ラグジュアリーの本質は希少性と期待感にあるからです

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著者が好きなギリシャ、ローマの哲学者たちの言葉に加え、著者が農村で学んだ知恵、身近な人とのやり取りから得た教訓などが紹介されており、経営者の思想本として、ぜひ読んで欲しい一冊。

巻末には、著者が人生を通じて書き溜めたノートの一部が紹介されており、これだけでも本一冊分の価値があると思います。

ぜひ読んでみてください。

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『人間主義的経営』ブルネロ・クチネリ・著
岩崎春夫・訳 クロスメディア・パブリッシング

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◆目次◆

※ないので省略します

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