2021年2月17日

『中国人のお金の使い道』中島恵・著 vol.5697

【豊かになった中国市場を知る】
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本日ご紹介する一冊は、北京大学、香港中文大学に留学経験があり、中国ビジネス事情に詳しいジャーナリスト、中島恵さんが、中国の今を追った一冊。

多くの日本人が持っているステレオタイプとはまったく異なる、「豊かになった中国人」の価値観と消費を紹介した、興味深いレポートです。

中国で使われているサービスの内容や、消費に影響を与えるオピニオンリーダーの名前、消費者行動を紹介しており、これから中国市場をターゲットにビジネスしたい人は、読んでおくといいでしょう。

持ち家の平均が1.5軒、高給取りで働き過ぎ、子どもの送迎のために2台目の車を買うという、いかにも中国といった姿と、日本同様家は買わずに賃貸、他人を疑わない、20代からアンチエイジングす
るという今どきの行動が浮き彫りになり、じつに興味深い。

豊かになった中国人の価値観と、彼らにどうやってアプローチすべきかが書かれた、マーケティングのヒントとなる一冊です。

中国が急成長した時代は確かに終わりつつあると思いますが、彼らが日本人の価値観に近づいた今は、また違うビジネスチャンスがあると感じました。

読み物として読んでも、興味深い内容だと思います。

さっそく、本文の中から、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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2020年5月、中国人民銀行が発表した、都市部住民世帯を対象として行った資産状況に関する調査報告によると、都市部住民世帯の住宅保有率はなんと96%に上っていた。そのうち1軒の住宅を保有する割合は58.4%、2軒を保有する割合は31%、3軒を保有する割合は10.5%。1世帯平均で1.5軒を保有していることがわかった

世帯資産が最も多いのは北京市で892.8万元(約1億3392万円)、続いて上海市が806.7万元(約1億2100万円)、江蘇省が506.9万元(約7603万円)

英語の義務教育は小1からスタート

中国の高齢者は2億5000万人

中国の初婚の平均年齢は、上海市を例に取ると、2015年の時点で男性が30.3歳、女性が28.4歳

中古品を売り買いしているのは「閑魚」(Idle Fish)というアプリ。「中国版フリマ(フリーマーケット)アプリ」や「中国版メルカリ」といえる中国では有名なアプリで、利用者の半数以上が若者だといわれている。中国のフリマ市場は年々増加しており、2018年は約7000億元(約10兆5000億円)に上った

中国のZ世代は人口約2億6000万人で、1年間に支出する金額は約4兆元(約60兆円)といわれています

『完美日記』のヒットでもわかる通り、Z世代の特徴の一つが、高い美意識を持っていること

若い世代を狙うネットの消費者金融はここ数年、猛烈な勢いで伸びている

Z世代や、その上の80后世代から、ネット上で大きな影響力を持つKOLという存在が生まれた。KOLはキー・オピニオン・リーダーの略で、「中国版のインフルエンサー」ともいえる

中国で最も利用されている飲食アプリは「大衆点評」

東京・銀座の有名寿司店『すきやばし次郎』の小野二郎氏や、芸術家の草間彌生氏、建築家の安藤忠雄氏や隈研吾氏などは、中国でも尊敬され、目標とされている

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若い世代が借金してまで欲しい物を買うことや、草食化していることなどから、中国全体の先行きにはネガティブなことが書かれています。

が、日本にとっては、新たに登場した価値観や消費の実態が日本のそれと近いので、ビジネスはよりやりやすくなったと言えるでしょう。

中国人の価値観の変化、消費の変化を知るには、興味深い一冊です。

ぜひ、読んでみてください。

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『中国人のお金の使い道』中島恵・著 PHP研究所

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◆目次◆

第1章 中国人が「お金持ち」になった理由
第2章 不動産なんてもう要らない
第3章 子どもの教育費と老親の介護、年金
第4章 欲しいものを手に入れる若者たち
第5章 美食と健康のためなら散財する
第6章 給料だけではわからない本当の懐事情

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