【この本は、ヤバい。ソニーCSL暦本純一の発想法】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4396617488
期せずして連日、発明家の本を紹介することになってしまいました。
それも両方、相当ぶっ飛んだ本です。
これはきっと現在の日本が、ぶっ飛んだブレイクスルーを求めているからなのでしょう。
本日ご紹介する一冊は、そんな期待に確実に応えてくれる、最近読んだ中でも最もヤバい一冊。
ソニーコンピュータサイエンス研究所副所長、暦本純一さんによる、発想本です。
じつは以前、『好奇心が未来をつくる』という、ソニーコンピュータサイエンス研究所の研究員たちが共著で書いた本をご紹介したのですが、その際、一番多く付箋が付いたのが暦本さんのパートで、以来、単著が出ることを切に願っていました。
※参考:『好奇心が未来をつくる』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4396616783/
本書には、天才発明家、暦本純一さんのぶっ飛んだ思考法と、未来を開発するための作法が書かれています。
慶應義塾大学教授でヤフーCSOの安宅和人さんが「この本はヤバい。歴史に残る名著だ」と言ったのも、わかる気がします。
世の中には、「妄想する」ことを説く本も、手を動かすことを説く本もありますが、その両方をバランス良く説いた本にはなかなかお目にかかれません。
日本人が再びチャレンジ精神と健全な好奇心を取り戻すために、ぜひ読んで欲しい一冊だと思いました。
さっそく、本文の中から、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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妄想によって「新しいことを生み出す」には、思考のフレームを意識して外したり、新しいアイデアを形にし、伝えたりするためのちょっとしたコツが必要だ。頭の中の妄想を、手で思考するのだ
真面目なイノベーションが「やるべきことをやる」ものだとしたら、「やりたいことをやる」のが非真面目なイノベーションだ。ウォークマンが誕生した時代とくらべると、今はどちらかというと「真
面目」路線の技術開発が注目されているけれど、これはどちらもないといけない。なぜなら、未来に何が起こるかをすべて予測することはできないからだ
私の妄想は、その先にある世界に関することだ。脳とコンピュータがつながれば、脳はインターネットとつながることになる。インターネットはコンピュータのネットワークなので、脳と脳がつながってネットワークを形成することになるだろう
近年では、自動車の「スマートヘッドライト」がそうだ。夜道で雨や雪が降ると、ヘッドライトの光が反射して視界が遮られ、運転がしにくい。金出さんは、「この雨を消せないか」と考えた。(中略)光を反射せなければ見かけ上は雨粒が「消える」わけだが、そのためにはヘッドライトの光が雨粒を避けて飛ぶようにしなければならない。ここから先は、むしろ素人のほうが「そんなの無理でしょ」と言いたくなるだろう。金出さんたちの研究グループは、それを実現した。雨粒をセンシングして、そこだけ光が消えるヘッドライトを作ったのだ。自動車の前方を高速カメラで撮影し、落ちてくる雨粒の位置と軌跡を予測するのがこの技術のポイントだ
「悪魔のように細心に! 天使のように大胆に!」(中略)私の研究室では、この黒澤監督の言葉を
踏まえて、研究開発のテーマを、「天使度」と「悪魔度」の二つの座標軸で評価している。天使度は発想の大胆さを表わす尺度だから、金出さんの言う「素人」的なものも含まれるし、人をポカンとさ
せるようなアイデアもこれの度合いが高い。一方の悪魔度は、黒澤監督の言う「細心さ」に加えて技術レベルの高さを含んでいる。実現をするのに必要な技術レベルが高いアイデアほど悪魔度が高い
私が自分の研究室で行なうテーマ出しの会議では、ブレストよりもインプットを増やすことを目的とする場合がある。その場でアイデアを出そうとするのではなく、「みんなが知らなそうな面白いもの
を持ってきて紹介する」会議だ私は、何度も失敗を重ねながら手を動かす時間は「神様との対話」をしているのだと思っている
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天使度と悪魔度でアイデアの可能性を評価する方法や、ブレストをやらずにインプットを持ち寄る会議など、今すぐ使えそうなアイデアがたくさんあり、勉強になりました。
発明の事例も豊富で、著者がテルミンからヒントを得て開発したスマートスキン(スマホの画面で2本の指を広げたり狭めたりして写真やテキストの拡大・縮小ができる技術)、夜道で視界を遮る雨粒を「消した」カーネギーメロン大学金出武雄さんの「スマートヘッドライト」など、読後も知的興奮が止まらない、ワクワクする事例が紹介されています。
日本人が失ってしまった、純粋なる「妄想」を取り戻すために、いますぐ読んで欲しい内容。
これはいま、一番推したい一冊です。
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『妄想する頭 思考する手』暦本純一・著 祥伝社
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◆目次◆
序章 妄想とは何か
第1章 妄想から始まる
第2章 言語化は最強の思考ツールである
第3章 アイデアは「既知×既知」
第4章 試行錯誤は神との対話
第5章 ピボットが生む意外性
第6章 「人間拡張」という妄想
終章 イノベーションの源泉を枯らさない社会へ
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