【狩猟家が語る、サバイバル思考】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062052431
本日ご紹介する一冊は、作家・村上龍氏絶賛の自己啓発書。
それもそのはず、この著者、齊藤令介さんは、村上龍氏が映画の失敗で落ち込んでいた際、励ました人物で、本書の思考法が軸となり、村上龍氏は『愛と幻想のファシズム』を書き上げたようなのです。
その時のエピソードを、著者は「はじめに」でこう書いています。
<作家の村上龍もそうだった。私と村上龍が初めて会ったのは一九八三年のことだった。そのとき彼は映画の失敗で落ち込んでいて、文章も書けない状態だった。そして悩み、苦しんでいた。そして働きたくないといった。あまりに暗い顔をしているので、私は彼に質問をした。「家族を食わす分は稼いでいるのか?」彼はそのくらいは稼いでいると答えた。私は、「お前は狩人だよ。だから餌がある時は働きたくないのだ。農耕民族的資質を持つ男たちは毎日働かなければ安心しないけれど、狩人の血を持った男は餌があるかぎり働きたくなくなるのだよ」このように告げた時、彼の顔は劇的に変わった。彼を覆っていた平均的日本人的思考法は、私の言葉によって飛び立ってしまったのだ>
著者、齊藤令介さんの本業は「狩猟家」。
北極圏、北アメリカ、南アメリカ、中国大陸、ヨーロッパ、シベリア、オーストラリアを回り、過酷な環境の中で生き抜いてきた人物で、この『原始思考法』は、その強烈な体験と、自然観察に基づいた「生きる原理原則」をまとめたものです。
「物事を本能で考える」
「人間も動物と考える」
「死ぬために生きると考える」
「全て運命と考え未来だけを考える」
など、他の自己啓発書ではなかなか見られない、個性的な主張が際立っています。
本書を読むと、いかに農耕民族である日本人が、狩猟民族である他国に対して不利な状況にあるか、いかに為政者にとって都合の良いシステムを受け入れさせられているか、その実態がよくわかります。
日本の停滞の謎を解くのに、政治・経済やリーダーシップについて語るのもいいですが、じつは本当に問題なのは、失われた「原始思考」なのかもしれません。
さっそく、本文の中から、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
—————————-
現在生きている人は、とてつもなく幸運なのだ。なぜならば生きているからである。あなたのラインは、人類が発生したとされている二〇〇万年の昔から現在まで続いている。もし途中で何かがあなたの先祖の身に起きていたら、あなたはこの世に生まれていない
地球の砂ばく化、飢餓、ありとあらゆる人間にとっての問題も、地球にとっては、「大自然のバランスをとるための小さなアクションにすぎない」と、原始思考法では考える
原始思考法では群れから思考を切り離し、個人を考えるのである。これは通常、利己主義と呼ばれ群れから攻撃される。しかし攻撃されるのは、群れにとって都合が悪いからであって、個人には都合の良い場合が多いのである。群れとは非常なものである。群れが生き延びれば、いつでも個人は切り捨てるのだ
餌だけではなく、家に、車やおこづかいなどいつまでも与えてくれる人がいるのだから、これからの若者はますます闘わなくなることだろう。そして餌を与えてくれる人がいなくなった時、闘いの時に
彼らは真っ先に滅びる。闘いの練習をしていないのだから、食料を得るための戦い方を知らないのだから当然である
狩人たちは新しい猟法を何度でも試すことが可能であったのだが、農民たちには不可能であった。狩人たちが新しいことに挑戦して失敗しても、失うのは一頭の獲物だけなのだが、農民たちは全てを失
うことになる。だから無理して試さない。保守の思想が現れるのだ
バンドの語源は狩猟隊のことを指した言葉。ある者は追いかける役目、ある者は射止める役目、またある者は戦略を練る役目、と分かれる。能力に応じて仕事が決まりそれを守った。このことによって飛躍的に獲物を得る確率が上がった
獲物を分け合う。これが狩人のバンドの掟である。このことによって、バンド全体の力を結集できるのだ
「猟場のことなら自分は何でも知っている」という言葉があったとする。しかし、これは過去の情報にすぎないのである
自分と自分の家族だけが生き延びればよいのではないか、と思われる人もいるだろうが、それでは駄目なのである。少数民族はたとえ優秀でも、多数民族に制圧されてしまうのである
—————————-
友人Tの強力なオススメにより、手に取った本ですが、まさにこのタイミングで読むのにピッタリのサバイバル思考法が書かれています。
出されたのが1991年なので、ジェンダーのことや政治のことなど、今の時代にそぐわないことも多少書かれていますが、それを差し引いても、読むべき普遍的価値のある本です。
絶版本ですので、ご希望の方は、早めに買われることをオススメします
ぜひ、読んでみてください!
———————————————–
『原始思考法』齊藤令介・著 講談社
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062052431
———————————————–
◆目次◆
第1章 原始思考法とは何か
第2章 狩人的思考法
第3章 原始思考法で日本の問題を読む
第4章 原始思考法でアメリカを考える
第5章 原始思考法で世界を考える
第6章 原始思考法でエトセトラを読む
第7章 原始思考法で未来を考える
エピローグ そして全てを認める
この書評に関連度が高い書評
この書籍に関するTwitterでのコメント
同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)
お知らせはまだありません。