【朝日新聞・名物記者が教える25の文章技術】
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本日ご紹介する一冊は、大分県日田市で猟師をしながら、朝日新聞の編集委員、日田支局長を続ける名物記者、近藤康太郎さんが、その文章術をまとめた一冊。
著者は、二十年以上前から社内外の記者、ライターに文章を教えており、日田に移住してからは、山奥で私塾も開いているそうです。
本書で著者が紹介するのは、文章のプロになるために知っておくべき25の技巧。
猟師でもある著者の表現を借りると、「ハートを撃つための25発」です。
書き出し、常套句を避けるコツ、擬音語・擬態語・流行語との付き合い方、起承転結、語彙、文体、企画、ナラティブ、スピード感、リズム感、グルーヴ感まで、文章家に必要な技術がこれでもかと詰め込まれています。
常套句に逃げがちな人は、著者が提案するシソーラス(類語辞典)の引き方が参考になると思いますので、ここだけでもぜひ読んでみてください。
第6章では、ご丁寧に「自己管理の技術」まで書かれており、まさにプロの書き手のための文章術の「決定版」です。
書き手のプロ意識を刺激する、自己啓発的な文体も魅力的で、読み始めたらグイグイ引き込まれること、間違いなしです。
これまでにたくさんの書き方本を読んできましたが、本書はプロにこそ刺さる一冊だと思います。
さっそく、本文の中から、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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最初に、銃を見せてくれ
いい文章とはなにか。文字どおり、人を、いい心持ちにさせる文章。落ち着かせる文章。世の中を、ほんの少しでも住みいいものにする文章。風通しのいい文章。ギラギラしていない、いい鞘に入っている。切れすぎない、つまりは、徳のある文章。切れすぎる刀は、人を落ち着かなくさせる。余裕がほしい。ふくらみが、文章にはほしい
人名や数字を詰め込めば、それは間違いなく摩擦係数を高めることになります。読むスピードを、いったん遅くする。発想が逆だと思うのです。数字を入れるなら、その数字が、ストーリーを動かす決
定的に重要な役割を果たすから。人名や地名を入れるのは、そのデータがなければ、書いていることが理解できないから。固有名詞を書くのなら、厳選にも厳選を重ねるべきなのです
いいわけは見苦しい──「など」「いろんな」「さまざま」
常套句はものの見方を常套的にさせる。世界の切り取り方を、他人の頭に頼るようにすることなんです
オノマトペも常套句の一種なんです。擬音語、擬態語を使うことによって、書き手は、もう、世界を観察することをやめている
「転」の時代──わたしだけのものは強い
<論>ではなくて、<エピソード>に語らせる。場面に語らせるんです
だれも理解してくれなくても、だれに求められなくても、自分のために、世界のために書く。そういう文章は、熱量が途方もなく高ければ、どこかに読者は現れる。広告コピーは半年もたない。ヘーゲルは二百年も読み継がれている
◆スタイルの練習──四つの「主」を変える
(1)主語を変える
(2)主題を変える
(3)主義を変える
(4)主体を変える
推敲でサウンドチェックする
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文章でやりがちなミスを防ぐ方法から、プロでも気を抜くと疎かになること、ワンランク上の文章を書く技術まで、本当に「効く」25の技巧が紹介されています。
書き手として必要な心構え、教養を織り交ぜつつ、文章を書くことの厳しさと喜びを教えてくれる内容で、すっかりテンションが上がってしまいました。
プロのライターさんは、<「転」の時代>と書かれた部分を読むだけでも、これからのチャンスが見えてくると思います。
ぜひ、読んでみてください。
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『三行で撃つ』近藤康太郎・著 CCCメディアハウス
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◆目次◆
第1章 文章の基本
第2章 禁じ手を知る
第3章 ライターの心得
第4章 書くための四つの道具
第5章 読ませるための3感
第6章 自己管理の技術
第7章 生まれたからには生きてみる
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