『起業大全』田所雅之・著 vol.5577

【本格スタートアップを目指す起業家のバイブル】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478109508

本日ご紹介する一冊は、ベストセラー『起業の科学』の著者であり、スタートアップ支援会社ユニコーンファームの代表取締役社長、田所雅之さんによる、スタートアップ起業のバイブル本。

スタートアップの成功に必要なファクターを９つの要素に分け、全９章で要点を論じています。

第１章　ミッション・ビジョン・バリュー
第２章　戦略
第３章　人的資源
第４章　オペレーショナル・エクセレンス
第５章　ユーザーエクスペリエンス
第６章　マーケティング
第７章　セールス
第８章　カスタマーサクセス
第９章　ファイナンス

昔は、独立起業といって、独立と起業は１つの概念でしたが、今は独立は多分どうでも良くて、起業がスケールするスタートアップとスモールビジネスに分かれる感じでしょうか。

ビジネス書でも、これがごちゃまぜで論じられているわけですが、スタートアップとスモールビジネスは、最初からすべてが違う。

ということは、起業したい人は、最初からスタートアップについて学ぶのが正解。

にもかかわらず、これまでは決定版と呼べる本がなかったのが現実です。

この『起業大全』は、スタートアップに特化したミッション・ビジョン・バリューから戦略、ビジネスモデル、人的資源管理、オペレーション、ユーザーエクスペリエンス、マーケティング、ファイナンスまで、ありとあらゆることが網羅され、かつ実践的に書かれたすごい本。成功企業の事例も豊富です。

ここまで細かく実践の注意点を書くのは、経験豊富な著者でなければおそらく不可能でしょう。

約400ページの分厚さですが、厚さがまったく気にならないほど、エキサイティングな内容でした。

さっそく、本文の中から気になったポイントを赤ペンチェックしてみましょう。

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ＰＭＦ達成のタイミングで、起業家は自らを自己分析して事業家（ＣＸＯ）に変身・進化するよう努力する必要がある

独自の価値提案に基づいたＭＶＶがあると、商品やサービスに対する持続的競合優位性（Defensibility：ディフェンシビリティ）が高まる

ＰＭＦの実現可能性（フィージビリティ）を大きく左右する２つの視点
１．どこの市場セグメントから始めるとＰＭＦできそうか
２．どのビジネスモデルから始めるとＰＭＦしやすいか

データ・イズ・ニューオイルと言われる10ように、自社でユニークデータを蓄積して顧客インサイトを得ることは、競合優位性構築に大いに役立つ

レガシー領域と言われる分野をデジタル／テクノロジーを活用して、変革していく市場は非常に大きい

イノベーションモデル　※一部紹介
（１）中間プロセスの排除
（２）バンドルのアンバンドル化
（３）バラバラな情報の集約
（９）ローエンド破壊
（10）As a service化

成功したスタートアップがスケールする前の平均メンバー数は7.5人未満（中略）一方、失敗したスタートアップはスケール前のタイミングで20人近くに達している

業務には、「肥大化／複雑化」「属人化」「陳腐化」という３つのリスクが内包している

良いＵＸを設計する際のキーワードとして「トキ」がある。つまり、ユーザー一人ひとりの有限で貴重な時間の利用価値や体感価値を最大化するというものだ

顧客の負担を減らす６つの方法
１．時間の負担を減らす
２．身体の努力を減らす
３．ブレインパワーの負担を減らす
４．罪悪感を減らす
５．社会的負担を減らす
６．お金の負担を減らす

一回のラウンドで発行する株式は10～15％までというのが基本である。資金需要が大きい例外的な場合でも、20％程度までにしておく必要がある。20％以上の大きな持ち株比率を要求する投資家は、疑いの目で見よう

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学生時代、コトラーの『マーケティング原理』を読破した時には、「これでマーケティングの基礎をマスターした」という全能感を感じたものですが、本書に関しても、「これでスタートアップの基礎はマスターした」と言える網羅ぶりです。

「伝説のスライド10,000枚を１冊に凝縮！」はウソではありませんでしたね。

スタートアップ関連用語が多く、ある程度勉強していないと読み解くのが難しい部分もあると思いますが、本書を手に取るぐらいの方なら、まったく問題ないでしょう。

「最初からスケールするビジネスを狙いたい」「今の会社をもっと大きくしたい」と考える人は、必読の一冊です。

ぜひ、読んでみてください。

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『起業大全』田所雅之・著　ダイヤモンド社

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