2020年6月30日

『Third Thinking 無意識思考』 影山徹哉・著 vol.5546

【武器となる「第3の思考」とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4866672153

出版業界はじめ、クリエイティブな世界では、昔からアイデアを「寝かせる」ことの効果が信じられています。

以前、テレビにレギュラー出演していた時、楽屋で一緒になったベストセラー作家に、「どれぐらいの期間でタイトルを思いついたのか」を尋ねたところ、3人が偶然「3週間」で一致しました。

しかも全員、他のことをしている時に、「ポンっ」と突然思いついたというのです。

この時の体験から、人間はいったん課題をインプットすると、無意識下でも思考するようにできているのではないか、そしてアイデアを「寝かせる」のにも何かコツがあるのではないか、と思うようになりました。

本日ご紹介する一冊は、この無意識の思考の正体に迫った、じつに興味深い一冊。

ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンの2つの思考、「速い思考」(直観/システム1)「遅い思考」(論理/システム2)に続く、「第3の思考」を論じた、斬新な一冊です。

著者は、京都芸術大学客員教授で、経営脳科学者、博士(医学)の影山徹哉さん。

本書では、この第3の思考「無意識思考」に関する最新の研究成果を披露し、無意識思考の起動の仕方、効果的な働かせ方のヒントを示しています。

さっそく、本文の中から気になったポイントを赤ペンチェックして行きましょう。

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(1)じっくり考える意識的思考は、単純な課題では良い意思決定を行うことができる。(2)しかし、複雑な課題では、処理容量が限界を超えてしまうため、良い意思決定はできない。無意識思考は、容量の制約がないため複雑な課題では良い意思決定ができる

無意識思考条件で課される課題のことを“妨害課題”と呼びます。妨害課題を課している間、被験者の意識は妨害課題、つまりアナグラム課題を解くことに向けられますが、水面下では無意識思考が生じていると仮定するわけです。こうして行われた実験の結果は驚くべきものでした。単純な課題においては、考えてすぐに答えを出した方が良い選択ができた一方で、12もの属性が提示された複雑な課題の方では、無意識思考によって答えを出した方が、より良い選択ができたのです

意思決定を行おうとするとき、検討材料や情報が多すぎたり、複雑な課題であったりするときは、一旦、本題とは関係ないことをやってみて、それから決めたほうが良い結果が得られる

嘘か真かの判断は、あわてて結論を出すよりも、一端(原文ママ)脇に置いて、忘れてしまった頃に、あらためて考えてみたほうが、良い判断ができる

◆無意識思考を使いこなすヒント
トリセツ1 「起動」させる時間が必要
トリセツ2 他の何かに注意を向ける
トリセツ3 目的を明確にする

無意識思考を使いこなすには、「がんばって考える」という行為そのものをしてはいけない

ある実験で、無意識思考の時間を1分間、3分間、5分間で設定し、どの時間が最も無意識思考の効果が出やすいかを検証しました。その結果、無意識思考を3分間に設定したとき、最も良い選択をするという結果が出たのです

(妨害課題は)難しい課題よりも簡単な課題の方が、より無意識思考の効果が大きくなる

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この「第3の思考」に関しては、まだ研究が始まったばかりということで、本書の内容も明らかになった範囲でしか書かれていませんが、これから内容の充実を期待したいところです。

とはいえ、「速い思考」「遅い思考」に続く第3の思考の存在と、それが機能する条件について言及したのは新しい。

創造性が求められるこれからの時代に、意味のある、「ナイストライ」な一冊だと思います。

編集に関しては凡ミスが目立つので、重版以降の改善を期待したいところです。

ぜひ、読んでみてください。

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『Third Thinking 無意識思考』
影山徹哉・著 あさ出版

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4866672153/

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◆目次◆

プロローグ よりよい人生を送るために
──最先端の科学で提唱された最強の思考法
<Third thinking~無意識思考>
第1章 その「選択」は最善か?
──人生は一つひとつの意思決定で成り立っている
第2章 これからの時代をどう生き抜く?
──必要不可欠かつ最強の思考ツール「無意識思考」
第3章 世界最先端の研究でここまでわかった!
──「無意識思考」で一体何ができるのか
第4章 問題について?注意?を向けているか否か
──「意識思考」と「無意識思考」という2つのモード
第5章 目的を明確に、情報を十分に仕入れる
──「無意識思考」をうまく活用する
第6章 第三の思考で人生は変わる!
──“創造性”は人間が持つ最高の知性
エピローグ 無意識思考は誰にも与えられた、
より人生を豊かにする“最強の思考法”だ!

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