2020年6月10日

『言葉の力』シン・ドヒョン、ユン・ナル・著 米津篤八・訳 vol.5532

【韓国でベストセラー。BTSの愛読書】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4761274883

本日ご紹介する一冊は、BTS(防弾少年団)の愛読書として、韓国でベストセラーになっている話題の自己啓発書。

著者のシン・ドヒョンは人文学者、ユン・ナルは高校の国語教師をしながらエッセイを執筆・発表している人物で、本書は、言葉の力を高めるためのヒントを、古典や賢者の言葉に求めたもの。

話し方の本は世の中にあふれていますが、本書の特徴は、自分を磨くことから始める、というその主張でしょう。

いわく、<器を変えずに、器の中の水の形だけを変えようとしても、無駄なことは明らかだ。言葉も同じで、言葉の器、つまりあなた自身を変えなければ、言葉は変わらない>。

インターネットとSNSの影響で、言葉だけならいくらでも真似できる現在。

肝心なのは情報や言葉そのものではなく、それを発した人物がどんな人物で、その言葉にどんな意図が込められているかでしょう。

いろんな偉人の言葉や思想が引用されていますが、特に勉強になったのは、新しい観点を生み出すために子夏が用いた4つの方法です。

◆新しい観点を生み出す4つの方法
「博く学ぶ」
「篤く志す」
「切に問う」
「近く思う」

どれも秀逸ですが、なかでも3つ目の「切に問う」の解説にはしびれました。

<「切に問う」とは、問題意識を持つという意味だ。水がいっぱいに満たされた器に、さらに水を注ぐことはできない。もっと水を注ぐには、水を減らさなければならない。問題意識を持つとは、すで
に満たされている水を疑うことだ>

日本が成熟社会になった今、本書の思考法、ものの見方は、新たな観点を得るのにとても有効です。

さっそく、本文の中から気になったポイントを赤ペンチェックしてみましょう。

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言葉の勉強とは、まず人の器を育てることから始まる。ここで肝心なことは、自己肯定感をはぐくみ、感情をうまくマネジメントする方法を身につけることだ。自己肯定感とは、自分を愛すること。自分を愛してやれば、自分を隠したり、大きく見せようとしたりせず、相手との健全なコミュニケーションが持てるようになるのだ

言葉を磨きたいなら、まず器を磨いたほうがいい。深みのある話し方を身につけたいなら、深みのある人間になるのが先だ。信頼される話し方をしたければ、信頼に足る人間にならなければならない

修養の目的は“善人”になることではない。まず、あなた自身を理解することにある。自分自身を深く理解すれば、自分を愛せるようになる。すると自己肯定感が育ち、自分の心の土台がどっしりと落ち着くのだ

人生の主人公になるということは、他人の欲望にとらわれないということだ。社会に望まれる生き方をしたり、他人の夢に従ったりしないことだ

主観のない人の言葉は空虚だ

アルチュセールも述べたように、観点は人間を変える。観点が新しくなると、人間もまた生まれ変わるからだ

新しい観点を生み出すためには、意識的に努力する必要がある。ここで子夏は、次の四つの方法を提案する。「博く学ぶ」「篤く志す」「切に問う」「近く思う」である

「切に問う」とは、問題意識を持つという意味だ。水がいっぱいに満たされた器に、さらに水を注ぐことはできない。もっと水を注ぐには、水を減らさなければならない。問題意識を持つとは、すでに満たされている水を疑うことだ

申栄福先生はこう述べている。本は必ず三度読むべきです。最初にテキストを読み、次に著者を読み、最後にその本を読んでいる自分自身を読むのです

新しさとは過去との断絶ではない。この世界に完全に新しいものなど存在しない。だから、まず先例を探すことから始めよう

言葉を守る一方、言葉を捨てることも必要である。ときには言葉が人生を台なしにすることもあるからだ

人は自分の過ちには甘いが、他人の過ちには厳しい。あなたが何気なく言ったことでも、それを守らないでいると、相手はすぐにそれに気づくものだ。10言ったうちの7つ守れば、あなたは自分を信頼に足る人間だと考えるが、相手はあなたが守らなかった3つに注目し、信頼できない人間だと判断するだろう

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タイトルには『言葉の力』とありますが、言葉に限らず、これまでの見方を疑い、新しい世界を開くのに有効な本です。

読者が経営者であれ、個人であれ、ブレイクスルーするために貴重な示唆を与えてくれる本だと思います。

ぜひ読んでみてください。

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『言葉の力』シン・ドヒョン、ユン・ナル・著
米津篤八・訳 かんき出版

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◆目次◆

第1章 修養 言葉の器の育て方
第2章 観点 ものの見方を変える
第3章 知性 言葉に深みを持たせるには
第4章 創意工夫 生き生きした話術
第5章 傾聴 相手の話に耳を傾けてみる
第6章 質問 うまく質問し、うまく答えるには
第7章 話術 会話のテクニック
第8章 自由 実践する言葉、捨てるべき言葉
実践 賢者たちから言葉の力を学ぶ

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