【女性の幸せと学歴と職業と。】
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本日ご紹介する一冊は、『日本のお金持ち研究』はじめ、格差関連の書籍で知られる著者、橘木俊詔さんによる、日本女性の人生論。
世界中の働く女性のデータをもとに、社会進出著しい女性がどうしたら幸せになれるのか、何が彼女たちを阻むのか、どんな抜け道があるのか、論じています。
学歴による就職先と結婚相手、学歴とお金と幸福度の関係、総合職と準総合職と一般職と専門職の違いなどを示しながら、女性がどう生きればいいか、ヒントを示しています。
既婚女性の家庭内での稼ぎが増えると幸福度が下がる、大卒女性よりも短大卒女性の方がほんの少し幸福度が高いなど、意外(?)なデータもありましたが、あくまでこれは現在の社会状況が導いた結果であり、男性陣および政府は、このへんてこな状況を改善しない限り、女性活用など絵に書いた餅だと知るべきでしょう。
キャリアに関しては、著者は女性の専門職の増加を予想していますが、その理由は本文を読んでください。
さっそく、いくつかポイントを赤ペンチェックして行きましょう。
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出生率の2.07への回復よりも、女性と高齢者の労働参加率の上昇策の方がより現実味を帯びている。例えば女性の労働参加率をG7並みに上げれば、1人当たりGDPは約4%も上昇するだろうと予測されている
現在では15~64歳の女性では労働参加率は70%弱にまで上昇している
日本の女性の労働力で特徴的なことは、年齢別に見るとM字型になっていること
技術進歩率の向上が重要である。生産関数Y=AF(K,L)を想定したとき、一国の経済成長率は、技術進歩(A)、資本(K)、労働(L)のそれぞれの増加率の総和で決まる
1980年(昭和55)年では、男女計の賃金総額が98兆円であったが、そのうち男性が79兆円、女性が19兆円の賃金総額であり、女性は19.4%しか占めてい
なかった。そのおよそ30年後の2012(平成24)年では総計で187兆円、男性が137兆円、女性が50兆円になったので、女性の比率は26.7%にまで上昇した
単身家計のうち勤労世帯に注目すると、男性の限界消費性向は65.8%、女性は88.4%であり、女性の方がかなり高い
すべての所得階級において単身女性の消費性向が男性のそれよりも高い
女性が男性よりも消費に関心の強い項目は、旅行、趣味、外食、衣料、バッグ、服飾雑貨、家具・インテリアなどである
男性が女性よりも消費意欲の高い項目は、パソコン・OA機器だけ
日本人全体が働くことによる満足が低下している
衝撃的な事実が明らかになった。2019(平成31)年の1月に、NHK放送文化研究所が国民アンケートを公表して、回答者の68%が「人間は必ずしも結婚する必要はない」という意見に賛成するようになった
仕事以外のことをしているときの方が幸福
夫婦に関して山口(2006)は興味ある事実を見つけた。すなわち、配偶者という夫の所得が高く、自分の家事負担が少なく、配偶者との情緒的関係が良好であればあるほど、既婚女性の結婚満足度が高いのである
既婚女性に関しては、本人の家計負担率が高くなる(すなわち本人がもっと働く)と、本人の生活満足度が低下する
既婚男性に関しては、本人がもっと働いて所得が増加しても、生活満足度には影響を与えない
20年後となると、女性は85.5%も離職するのであり、およそ15%ほどしか続けて会社に残っていない事実が驚きである。総合職女性が一つの企業で働き続けるというのは幻想にすぎない
短大・高専卒、あるいは高卒の女性の方が、大卒の女性よりも幸せな結婚・家庭生活を送っている可能性が高い
超高学歴の女性で専門職に就く人が多くなりそう
日本の女性は自分の学歴(大学の格をも含めて)と同等か、それともそれ以上の学歴の男性との結婚を望んでいるので、配偶者のサーチがやや困難になりがち
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データを元に、女性の社会進出度合い、女性のキャリア戦略、政府への要望などをまとめたものですが、批判を恐れたのか、筆に勢いが感じられませんでした。
データに語らせているわけですから、もうちょっと大胆でも良かった気がしますね。
データモノは「新事実」「新発見」が大事だと思っていますが、正直「目からウロコ!」な内容ではなかった気がします。
とはいえ、共働きが当たり前になる時代、働く女性にとって、そのパートナーにとって、示唆に富む内容だと思います。
ぜひチェックしてみてください。
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『女子の選択』橘木俊詔・著 東洋経済新報社
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◆目次◆
第1章 今後の日本は女性の活躍が握っている
第2章 既婚女性の労働は幸福か
第3章 総合職・一般職・専門職は何が違うのか
第4章 超高学歴、高学歴、低学歴は何が違うのか
第5章 大学別に見た女子大生の教育・キャリア
第6章 高学歴女性はなぜ苦悩するのか
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