2020年1月9日

『教養としての仏教』鵜飼秀徳・著 vol.5431

【ビジネスに役立つ仏教】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569845789

2020年1月9日現在、世間を騒がせているニュースと言えば、アメリカによるイラン司令官殺害事件と、カルロス・ゴーンの国外逃亡事件。

どちらも、経済合理性や利己主義では決着のつかない問題であり、われわれの人間社会の複雑さを物語る事件だと思っています。

本日ご紹介する一冊は、そんな複雑な人間社会をうまく渡り歩いて行く知恵を、仏教に教えてもらおうというコンセプト。

ジャーナリストであり、かつ浄土宗の僧侶でもあるという著者が、ビジネスパーソンに向けて、『教養としての仏教』を説いた注目の一冊です。

こうなることを予想していたのか、事例もカルロス・ゴーン問題とトランプ大統領の「自国ファースト(第一主義)」。

人の上にたつ者が修めておくべき思想を、仏教の教えをもとに紹介しています。

著者の巧みな解説と新鮮な事例により、仏教が身近になるのはもちろん、どのようにビジネスで応用すればいいのかが、よくわかります。

世界最古の企業、金剛組の16箇条はじめ、さまざまな優良企業の仏教の教えの実践も紹介されており、興味深く読めました。

さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。

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“自分の得たものを軽んじてはいけない。他人の得たものを羨むな。他人を羨む修行僧は心の安定を得ることができない”(法句経第25章 365)──『ブッダの心理のことば 感興のことば』中村元訳

伝教大師最澄の有名な言葉「一隅を照らす」があります。“径寸十枚 これ国宝に非ず 一隅を照らす これ則ち国宝なり”(『山家学生式』)これは、「玉10個のような財宝やカネが国の宝ではない。人々を幸せにしようと道を求めて精進し、社会の片隅を照らす人こそが宝なのだ」という意味です

過度な評価や報酬は、心を貧しくする

実はお釈迦さまは、欲を求めすぎるのも、また禁欲が過ぎるのも戒めています。つまり禁欲もまた、「欲へのとらわれ」であるからです。そこで仏教では、中道を保つことが大切になってきます。中道とは「極端を求めない」ということで、少欲知足という考えが大事になってきます

成果主義型システムは「何のために働くか」という本質論から、大きく逸れてしまう危険性を秘めている

“勝利者が勝ち取るものは敵意である。敗れた人は苦しんで萎縮する。心穏やかな人は、勝敗を捨てて安らかに過ごす”(法句経第15章 5)

「人の短をいふ事なかれ 己が長を説く事なかれ」(弘法大師空海)

“一つの岩の塊りが風に揺がないように、賢者は非難と賞賛とに動じない”(法句経第6章 81)──『ブッダの心理のことば 感興のことば』中村元訳

◆八正道
一.正しい見解
二.正しい考え(正思惟)
三.正しい言葉(正語)
四.正しい行い(正業)
五.正しい生活(正命)
六.正しい努力(正精進)
七.正しい意識(正念)
八.正しい注意(正定)

あまり知られていない事実ですが、殺虫剤メーカー各社は必ず、「不要な殺生を戒める場」を設けています。寺院や神社で「供養」という形で実施し、経営者らが害虫の御霊に、頭を垂れるのです。アース製薬やフマキラーなど業界16社や関係学会らで構成する業界団体の日本家庭用殺虫剤工業会では、毎年1月の賀詞交換会の場で、害虫の慰霊祭を実施しています

米国のトランプ大統領は「自国ファースト(第一主義)」を掲げていますが、「私ファースト」や「会社ファースト」から離れたところに、あなたの本当の生き方があるはずです

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シンプルに仏教を解説した本よりも、仏教がより身近に感じられて、よく練られた良書だと思いました。

殺虫剤メーカーが害虫の慰霊祭を実施しているという話がとても新鮮で、企業および指導者がどう仏教を実践すればいいのか、よく理解できました。

タイトルの「ビジネスに活かす」は、伊達じゃない。

これはぜひ、読んでみてください。

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『教養としての仏教』鵜飼秀徳・著 PHP研究所

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◆目次◆

第1講 何のために働くか──働き方と仏教
【少欲知足】足るを知る
【我他彼此】平等の意識
【中道】節制
第2講 企業の価値とは何か──組織と仏教
【利他】謙虚に生きる
【縁起】ガバナンス(企業統治)
【供養】持続可能性
第3講 どう生きるべきか──人生と仏教
【四宝印】メンタルタフネス
【出家】再出発
特別講義 弔事と人間関係
Study1 「閉じられた葬式」がもたらす弊害
Study2 知らずに死ねない「葬式の基本」
Study3 お墓参りの偉大な力
Study4 遺骨を残すべきか
Study5 お盆・お彼岸は死者とコミュニケーションする機会

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