2019年12月9日

『アメリカ人の「ココロ」を理解するための 教養としての英語』 杉田敏・著 vol.5413

【会話で使える】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4142132598

本日ご紹介する一冊は、NHKラジオ「実践ビジネス英語」の人気講師・杉田敏さんが、アメリカ人との会話で使える知的英語表現を紹介した一冊。

いずれも会話のなかで挿入すると知的になる言い回しで、その表現が生まれた背景・エピソードなども紹介されています。

たとえばオビに、”Will Rogers never met you, did he?”という表現がありますが、じつはこれ、強烈な皮肉。

というのも、かつてのアメリカの人気コメディアン、Will Rogersは、こんな言葉を遺しているからです。

I joked about every prominent man in my life, but I never met one I didn’t like.
(私は今までの人生であらゆる有名人を冗談の種にしたが、1人として嫌いな人物に出会ったことがない)

”Will Rogers never met you, did he?”は、嫌いな人に会ったことがないと言っているWill Rogersでも、あなたに会ったらどうかな? という皮肉なのです。

知的人間同士の会話には隠れシグナルがあり、それを理解できなければ、認められないわけですが、本書には、まさにそんな高度な会話だけが紹介されています。

さっそく、内容をチェックしてみましょう。

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You can’t teach a new mouse old clicks.
これはYou can’t teach an old dog new tricks.ということわざをもじったもの。「老犬には新しい芸は教え込めない」という意味ですが、dogをmouseに、tricksをclicksに置き換えています

The difficult should be done at once;the impossible take a little longer.
イギリス海軍でたたき込まれる教訓の1つだそうです。「困難なことはすぐにやれ、不可能なことを行うには少し時間が要る」。つまり、「難しい」「不可能だ」などと尻込みしていては何もできない、まず実行してみるべし、という考え方

Where there’s a will, there’s an inheritance tax.
「遺書のあるところに相続税あり」はことわざのWhere there’s a will, there’s a way.「意志のあるところに道あり」をもじったものです。willに「意志」と「遺書」の2つの意味があるところから

Great starts make great finishes but it isn’t till it’s over.
始めよければ終わりよし、とは言うけれど、終わるまではわからない

Talk is cheap because supply exceeds demand.
Talk is cheap.はことわざで、「言うは易し」という意味。「口で言うのは簡単だが実行は難しい」ということですが、そのあとにbecause supply exceeds demandと続いています。「供給が需要を上回っているので」ということ。つまり「おしゃべりが安い」のは「話す人のほうが聞く人の数を上回っているから」「実行するより口だけの人のほうが多いから」などと解釈できます

The early bird gets the worm, but the second mouse gets the cheese.
「早起き鳥は虫を捕まえるが、2番目のネズミはチーズを得る」
The early bird gets[catches] the worm.はことわざで、日本の「早起きは三文の得」に相当します。しかしここで言いたいのは、「早ければいいというわけではない。最初のネズミがネズミ捕りに捕まったら、(ネズミ捕りはもう機能していないので)2番目にやって来たネズミがチーズにありつく」ということです

I’m on a 30-day diet. So far, I have lost 15 days.
「私は30日間のダイエットをしている。これまでのところ、15日間が無駄に過ぎただけ」

Experience is a hard teacher because she gives the test first, the lesson afterward.
「経験とは厳しい教師なり。試験を先に行って、教訓をあとから授けるから」

The optimist sees the bagel; the pessimist sees the hole.
「楽観主義者はベーグルを見て、悲観主義者は穴を見る」

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著者の杉田敏さんは、「シンシナティ・ポスト」経済記者、世界的に有名なPR会社「バーソン・マーステラ」を経て、日本ゼネラル・エレクトリックの取締役副社長、バーソン・マーステラ(ジャパン)社長、プラップジャパン代表取締役社長を歴任した人物。

マイケル・ジャクソン来日の際は、通訳を務めたこともある、英語の達人かつ文化人です。

本書は、会話に知性やユーモアを加えたい人におすすめの一冊です。ぜひ、読んでみてください。

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『アメリカ人の「ココロ」を理解するための 教養としての英語』
杉田敏・著 NHK出版

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4142132598/

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◆目次◆

はじめに 英語の「ココロ」を理解するために
1.ことわざをもじってみれば
2.賢者にまつわることばをデフォルメすると
3.巷で目にする真の知恵
4.ちょっとひねったスローガン
5.ことば遊び
6.ナンセンス、ハイセンス

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