2019年11月7日

『時短の科学』内藤耕・著 vol.5391

【これは画期的。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4296103962

本日ご紹介する一冊は、工学博士であり、一般社団法人サービス産業革新推進機構代表理事である著者が、非製造業の生産性向上を体系化した一冊。

表紙のオビには、「99%の時短は間違っている」という挑戦的なメッセージとともに、「生産性の研究者が現場1000回で理論化した14のアプローチ」「忙しい時間帯ではなく、ひまな時間帯に着目せよ」という気になる言葉が書かれています。

「在庫可能かどうか」という製造業と非製造の最大の違いに着目した結果、出てきたサービス業の生産性向上策。

デキる経営者ならきっと実践している内容だと思いますが、確かに製造業のロジックで考えていたら、思いつかない視点かもしれません。

世界的な人口減少を前に、どうすれば企業が生産性を上げていけるのか、プロット分析によるひまな時間帯の見直しと、じつは効率的な「リアルタイム・サービス法」、客層の絞り込み、売上アップではなく生産性アップへの設備投資といった、興味深い視点が示されています。

ホテル、旅館、健康ランド、バス会社、物流業など、さまざまな企業の生産性改善例なども示されており、じつに勉強になります。

効率を上げて、お客様満足も上げる理想的な時短のあり方を示した、貴重な一冊です。

さっそく、内容をチェックして行きましょう。

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製造業とサービス業の最大の違いは、在庫可能かどうか

製造業は作業時間を短くすれば、一日に作れる数を増やせます。そして作ったものをどこかに在庫しておけばいいのです。しかし、ラーメン店では突然の大雨で客足が途絶えてしまえば、いくら五分でラーメンを作る力があっても、売り上げは一銭も得られませんから、生産性には貢献しません

どんなサービス業でも作業時間を短くするだけならできるけれど、いつ来るか分からないお客に対して、どのように働けば労働時間が短縮できるのかが分からない。しかも売り上げを増やすためには、顧客満足はさらに上げたい

ホテル白菊が改めて着目したのは、魚を焼くスピードではなく、魚を提供するタイミングです。「まとめて焼かなければ、朝食の準備が間に合わない」というのは全くの思い込みでした。労働時間を減らしつつ、おいしい焼き魚をタイムリーに提供するという品質向上を実現したのです

百歩譲って人手不足であることを認めたとして、「現場に投入すべき適正人数は何人ですか」「一時間当たりの労働生産性はいくらですか」と聞いても、なかなか具体的な数字が返ってきません

生産性向上とは、お客がしてほしい「要求」と、現場で働いているスタッフの「行動」の重なる共通部分を極大化すること

スーパーホテルは、ターゲット客を「繰り返し宿泊するビジネスパーソン」に絞り、それに合わせてサービス内容や提供方法、施設の設計などに取り組んでいます。こだわりとターゲットを固定する方法ですね

どこの会社でも、どの従業員に聞いても、提供したサービスにお客が喜んで感謝してくれ、再来店してくれることでモチベーションが上がると言います。モチベーションを上げるのは経営者ではなく、お客なのです

お客の要求にきちんと対応していけば顧客満足が上がり、無駄も減り、そうなることで従業員の残業が減って、生産性が上がるのです

思わぬメリットもありました。お客の前でセッティングするので、接客時間が増えて、要望を丁寧に聞くことができるようになったのです

リアルタイム・サービス法
現場で必要なさまざまな準備作業を含めて、必要なときに必要な業務をするという意味で、リアルタイム・サービス法と名付けました

プロット分析
横軸に、作業量を反映していると考えられる各日のデータ──例えば、客数、売り上げ、注文数などを取ります。縦軸はその日の労働時間、それが難しければ出勤者数を取ります

リアルタイム・サービス法でいう業務の「場所」「時間」「情報」をできるだけお客に近づけるようにすることで、サービス業の生産性は大きく引き上げられ、そによって時短も進められる

大口取引よりも、小口取引

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表紙は地味ですが、内容はノウハウ良し、事例良しの中小企業向け優良ビジネス書です。

労働法を踏まえた、顧客ニーズへの柔軟な対応方法も書かれており、じつに勉強になりました。

政策担当者から経営者、現場のマネジャー、ビジネスパーソンまで、広く読んでいただきたい一冊です。

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『時短の科学』内藤耕・著 日経BP社

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◆目次◆


第一章 なぜサービス業では時短が進まないのか
第二章 生産性が上がり、時短が進む方法
第三章 サービス業の生産性はどこまで高められるか
おわりに

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