【これはインスピレーションの教科書だ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/439661702X
コンピュータの世界には、Garbage In, Garbage Out(GIGO)という言葉があります。
訳は、「ゴミを入れたらゴミが出てくる」で、意味としては、どんなにコンピュータが正確でも、インプットするデータがゴミならアウトプットもゴミだ、といった感じになるでしょうか。
クリエイティブの世界は、これの真逆です。
どんな素材を使っても面白い人は面白いことを考えるし、良い書き手は興味深い切り口で切り取る。
要するに、クリエイティブの世界は、自分がどんなコンピュータプログラムなのかが重要なのです。
もちろん、素材も大事ですが、それとてプログラムが要請すること、というのがクリエイティブの世界だと思います。
本日ご紹介する一冊は、次々と斬新なお菓子を世に出し、世界から注目を浴びるパティシエエスコヤマの代表、小山進さんによる一冊。
「ケーキの周辺を考える」
「地下二階のものづくり」
「動詞に自分だけの豊かな経験を込める」
世間を驚かせるアウトプットをするために、作り手がどんなプログラムを自分の中に構築していくか、どんな人間になればいいのか、その要諦が書かれています。
ここ数年、イノベーションに関する書籍が多数出た割には、結果を出せていないように見受けられますが、本書はモノづくりの世界に強烈なインパクトを生む、新しい考え方を提示しています。
さっそく、内容をチェックして行きましょう。
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僕は常に「ケーキ屋を再発見」している
ケーキ屋はケーキだけで成り立っているのではない。圧倒的に多い「ケーキの周辺」にこそ目を向けていなければならない
音楽プロデューサーの小林武史さんと話している最中、「地下二階のものづくり」という言い方が出てきて、とても興味深かった。(中略)普通の人は、地上一階と地下一階の間を行き来してものづくりをする。これは、今の世の中のあり方が見えていて、そこに合わせようとして、結果的にオリジナリティのない似たものがあふれることになる。一方、「地下二階」の住人は、地上で何が行なわれていても関係なく、青い空や心地いい風のイメージを大事にしながらものづくりをする
どこのケーキ屋にも卸している問屋さんが届けてくださるサンプルでチョコレートをつくるとしたら、手間隙も必要ない代わりに、エキサイティングなものは生まれにくい
表現への衝動やひらめきは、表れていないものや見えないものを捕まえようという興味や関心が原点
後手に回って“補修作業”に時間を使うくらいなら、初めから熱の貯蓄時間に使うほうがいい
僕は、子どもの頃から、いろんなことに飽きっぽかった。でも、一方には飽きないこともあった。好きなことなら続けられる。だったら「お菓子をつくる」のではなく、「お菓子づくりに好きなことを取り入れていこう」という発想にたどり着いた
クッキーを並べることがある程度上手だったら、ずっとその仕事を与えられる。もし、誰も思いつかない素晴らしい並べ方ができれば、「こいつ、すごいぞ! クッキーだけじゃ、もったいない。他の仕事もやらせてみよう」となる
お客様に対してチョコレートで“旅”をしていただけたらと思っている
コミュニケーションとは、自分の言いたいことを表明することではない。相手のことを考えることだ
考える、見せる、伝える、生み出す、発見する、褒める、表現する、感動する、納得する、学ぶ、成長する、悩む、挑む……といった動詞で仕事をしている。そうすることが好きだからだ。混ぜる、こねる、泡立てる、伸ばす、焼く、を続けていくのがお菓子屋だと考えていると、その技で他人と比較したり、それがうまくできなかっただけで仕事が嫌になったりしてしまう
名詞は誰にとっても同じだが、動詞には自分だけの豊かな経験を込めることができる
ものづくりの世界で上達していくために必要なのは技術ではない。第一の条件は、「好かれること」だ
超一流になるためには、超一流に好かれることが必要になる
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遊び心満載の内容にふさわしく、カバーを取り外した表紙の部分もイラスト満載で、ちょっと嬉しくなりました。
もし読者がモノづくりやイノベーションに挑む人なら、本書は想像以上のインパクトがあると思います。
傑作を生むのは、素材へのリスペクトであり、関心や気づきであり、そこに施す技であり、お客様や地域とのコラボレーション。
ひさびさに「仕事っていいなあ」と思える本に出合いました。
ぜひ、読んでいただきたい一冊です。
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『あなたの「楽しい」はきっと誰かの役に立つ』小山進・著 祥伝社
<Amazon.co.jpで購入する>
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◆目次◆
第1章 独立系コンサルタントは見込み客とどうやって出会うのか
第2章 独立系コンサルタントはプロフィールをどう書くか
第3章 これからの独立系コンサルタントの「あり方」とは
第4章 独立系コンサルタントの戦略的情報発信術
第5章 独立系コンサルタントの勉強法
第6章 10年スパンで考える独立系コンサルタントのキャリア戦略
第7章 独立系コンサルタントがあえてコミュニティを必要とする理由
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