【21世紀が求めるBTC人材とは?】
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本日は、世界トップクラスのアートスクール、英国ロイヤルカレッジ・オブ・アートの名誉フォローであり、Takram代表取締役の田川欣哉さんによる注目のイノベーション人材論。
著者はデザインエンジニアとして、これまでに「RESAS」(日本政府の地域経済分析システム)のプロトタイピング、Sansan「Eight」の立ち上げ、トヨタ自動車「e-Palette Concept」のプレゼンテーション設計、メルカリのデザインアドバイスなどを行ってきた人物ですが、本書では、これから求められる「BTC型人材」(ビジネス、テクノロジー、クリエイティビティ)になるための考え方、知識、学び方を説いています。
サブスクリプションにプロダクトを追加した先進ビジネスモデルである「SaaS Plus a Box」の考え方や代表的企業、そこで求められるBTC型人材になるためのヒントが、具体的な事例とステップで紹介されています。
プロトタイピングの具体的手法やモノサシの当て方・ずらし方でイノベーションを起こす手法などが紹介されており、創造力を高める実践の書としても読むことができます。
デサインがわかる人材の必要性は、これまでにも叫ばれていますが、本書ではより具体的にどんな人材が必要か、どんな勉強が必要か、どうやって育てればいいのか、具体的に紹介されています。
さっそく、内容をチェックしてみましょう。
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デザインの力が注目を集めるようになったのは、インターネット以降、企業がエクスペリエンス(体験)を通してユーザーと向き合う必要が出てきたからです。そして、このエクスペリエンスをつくるのがデザインの仕事だからです
サブスクリプション型の大きな特徴は売り切り型と比べて圧倒的に乗り換えがしやすい(スイッチングコストが低い)ことです
収益性を保つ上で「一度買ってもらうこと」だけでなく、「長く使い続けてもらうこと」が最優先課題になった
アメリカで急成長しているスタートアップで、Peloton(ペロトン)という企業があります。同社のビジネスモデルは「SaaS Plus a Box(サーズ・プラス・ア・ポックス)と呼ばれています。SaaS(サブスクリプション型サービス)と、技術的にもデザイン的にも完成度の高いハードウェア(プロダクト)をセットにして売るビジネスのことで、最先端のビジネスモデルのひとつです
第6世代への参加にはハードウェア技術が欠かせず、その部分については日本にはアドバンテージがある
まずはデザイナーを交えた組織横断のBTC型チームをつくること。そしてそのチームでビジネスの観点、テクノロジーの観点、デザインの観点を、統合的に思考し、仮説を立てて、プロトタイピング(試作)を通して、その効果を検証するプロセスを実行すること
メンバーの仕事時間のうち半分は自分の得意領域、半分は不得意領域を担当するように調整するのが理想
分業がイノベーションのボトルネック
ビジネスデザイナーに至る道は、商品企画やマーケティングで実践を積んだビジネスパーソンが、さらにデザインの知見を得て進化するパターンが一般的
デザイナーたちが行うのが、「n=1」のリサーチ
◆プロトタイピングでよく使われている6つの手法
(1)アイデアを最小限の時間で目に見える形にする「スケッチ」
(2)あり合わせの素材を組み合わせて作る「ダーティプロトタイプ」
(3)テクノロジーの機能性を確認するための「テクニカルプロトタイプ」
(4)プロダクトの外観やスタイルを検証するための「コールドモックアップ」
(5)ほぼ製品と同じ機能性とルックスを実現した「ワーキングプロトタイプ」
(6)現時点で実現不能なビジョンを示すための「ビジョンムービー」
「具体→結論→詳細→結論」と、最初にプロトタイプを使って体験してもらったあとに、結論を二回繰り返すことで、詳細説明をサンドイッチしてしまう流れです。こうすると意思決定者の記憶には「体験」と「ようするに(結論)」だけが残ります
対象物に対してモノサシを考え、それをあてがい、左右にズラしたり、振り切ってみたりする発想を習慣づけることで「普段の自分では考えないようなアイデア」を次々に生み出すことができます
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これからの日本のBTC型人材の育成は、ぜひこの方に担って欲しいと思うほど、内容が体系的かつ具体的でした。
文部科学省のご担当、教育関係者、企業の人事はぜひ読んでおくといいと思います。
個人にとっても、これから食いっぱぐれない「BTC型人材」のコンセプトとなり方がわかる、貴重な一冊です。
ぜひ、読んでみてください。
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『イノベーション・スキルセット』田川欣哉・著 大和書房
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◆目次◆
第1章 第4次産業革命の読み解き
第2章 イノベーションを加速する人材像
第3章 BTCトライアングルとデザイン
第4章 BTC型人材へのファーストステップ
第5章 デザイン駆動型プロジェクト
組織に「CXO」が必要な理由ーーおわりに代えて
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