2019年9月2日

『上級国民/下級国民』橘玲・著 Vol.5348

【言ってはいけない、日本の真実】
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本日ご紹介する一冊は、『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』、『言ってはいけない』などのベストセラーを持つ人気作家、橘玲さんによる格差論考。

※参考:『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344426398/

※参考:『言ってはいけない』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106106639/

『言ってはいけない』のおわりで、著者は、<私は、不愉快なものにこそ語るべき価値があると考えている。きれいごとをいうひとは、いくらでもいるのだから>と述べていますが、本書もまた、読む人にとっては不愉快なことが書かれています。

この国に横たわる、上級国民/下級国民の格差。本書ではこのタブーに切り込んでいます。

正社員と非正規雇用、男性と女性、中高年と若者、大卒と非大卒…。

平等とはほど遠いこの国の現実に、愕然とするに違いありません。

現在のリベラル化の問題点や、結婚制度、ベーシックインカムの問題点など、さまざまな問題に切り込んでおり、最後は「知識社会の終わり」と題したエピローグで締めています。

じつに読み応えのある内容です。

さっそくチェックして行きましょう。

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平成の日本の労働市場では、若者(とりわけ男性)の雇用を破壊することで中高年(団塊の世代)の雇用が守られた

「働き方改革」は、団塊の世代が現役を引退したことではじめて可能になった

平成が「団塊の世代の雇用(正社員の既得権)を守る」ための30年だったとするならば、令和の前半は「団塊の世代の年金を守る」ための20年になる以外にありません

先進国で増えているのは、結婚と離婚を繰り返す「事実上の一夫多妻」

一夫一妻は非モテの男に有利で、一夫多妻はモテの男とすべての女性に有利な制度です。インセルはそのことに気づいたからこそ、社会を一夫多妻に誘導する自由恋愛をはげしく攻撃するのです

リベラルな社会の負の側面は、自己実現と自己責任がコインの裏表であることと、自由が共同体を解体することです

ますます複雑になる社会のなかで、ひとびとは人間関係に疲れてしまい、プライベートなときくらいは「ひとり」になりたいと思います。その結果、先進国の都市部を中心に「ソロ化」が急速に進んでいくのです

世界がどんどん「リベラル化」しているにもかかわらず、「右傾化」しているように見えるもう半分の理由は、先進国を中心に「知識社会」に適応できないひとたちが増えているから

世界が「全体として」ゆたかになった代償として、先進国の中間層が崩壊したのです。これが、私たちが体験していることです

誰もが働く必要がなくなれば、思春期の若者から壮年、あるいは高齢者まで、人生の興味・関心は性愛(男はセックス、女は恋愛)に集中するようになるにちがいありません。リベラルな理想社会は誰もが自己実現できる自由な社会ですから、そこは究極の「自由恋愛」の世界になるでしょう。もはや誰も結婚せず、家庭をつくろうとも思わない「自由恋愛世界」では、一夫一妻のしばりは意味を失います。そうなれば、少数の魅力的な男(チャド)が多数の魅力的な女(ステイシー)を独占するようになります

テクノロジーの指数関数的な性能向上でAIが人間の知能をはるかに上回るようになったとしたらどうでしょう。Bの地点まで至れば、もはやどんな人間もテクノロジーを理解できなくなり、機械(AIロボット)は勝手に「進化」していきます。そうなれば「技術」と「魔術」の区別はつかなくなり、知能は意味を失って知識社会は終わることになります。子どもたちのあいだでは、勉強して有名大学を目指すよりユーチューバーの方がずっと人気があるそうです。れは「教育の危機」といわれますが、私たちの社会がBの地点に向けて「進化」しているのだとすれば、正しい選択をしていることになります。早晩、大多数のひとたちにとって「教育」はなんの意味もなくなるのですから

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中盤から後半は、ほぼ著者のいつもの主張ですが、前半は最近のニュースをわかりやすくまとめ、かつ令和時代の見通しを示しており、勉強になりました。

<平成が「団塊の世代の雇用(正社員の既得権)を守る」ための30年だったとするならば、令和の前半は「団塊の世代の年金を守る」ための20年になる以外にありません>

政治家・官僚が何を考えているのか、この国がどこへ向かうのか、ヒントが得られた気がします。

これはぜひ、読んでみてください。

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『上級国民/下級国民』橘玲・著 小学館

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◆目次◆

PART1 「下級国民」の誕生
PART2 「モテ」と「非モテ」の分断
PART3 世界を揺るがす「上級/下級」の分断
エピローグ 知識社会の終わり

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