2019年7月9日

『insightインサイト』ターシャ・ユーリック・著 中竹竜二・監訳 樋口武志・訳 Vol.5311

【好著。人生を変える自己認識の力】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4862762700

戦略の本質が、ビジョン(理想)と現実をつなぐものだとすると、戦略家に求められる資質は、おそらく「現実を正しく理解すること」でしょう。

マーケティングの世界でたくさんの成功者を輩出しているP&Gが、マーケティングリサーチを重視しているのも、おそらく偶然ではないはずです。

本日ご紹介する一冊は、自分にとっての「現実」を正しく理解する力(=自己認識の力)を高める方法を説いた、注目の一冊。

Tモバイル、KPMG、ウォルマート、IBM、マイアミ・ヒートなど、数多くのクライアントを持つ組織心理学者で、ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー作家のターシャ・ユーリック氏が、どうやって自己認識の力を高め、人生で成功するか、その秘訣を説いています。

本書でも書かれているように、最近はSNSの影響で「自分教」に陥る人が増えていますが、研究によると、「自尊心と、それを持つことで期待される効果の関連性は、まちまちであるか、取るに足らないほどであるか、まったくないと言える」。

むしろ、自尊心の高い人の方が暴力的で、人間関係で問題が起きた時に破滅的な行動を起こし、他者からの評価も下がるようです。

これは、現在の子育てトレンドに関しても、変更が迫られそうな予感ですね。

どうすれば、正しい自己認識を持ち、社会に評価される人間に成長していけるのか。

一人っ子が増え、SNSが全盛の今だからこそ読みたい、成長のヒント満載の一冊です。

さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。

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真の意味で自分を知るには、自分自身を知ると同時に自分がどう見られているかを知る必要がある

自分のプライバシーなんて、世界に起こしたい変化に比べれば、どうだっていいことだと彼女は悟った。(中略)もう二度と、注目を浴びるのが怖いからといって何かから逃げるようなことはしない、と彼女は誓った。私はずっと戦ってきた──それを世界に知ってもらおう。それが本当の自分なんだから

自分が送りたい人生のガイドとなる行動指針を育むことは、自己認識に向けた第一の重要なステップ

セルフ・プレゼンテーションが増加するにつれて、共感が減少

自己陶酔的なリーダーなら、会社にとって正しいのか正しくないのかも分からない攻めたビジョンで周りをあっと言わせたくなるようなところを、アーレンツは一〇〇以上の小売店、コールセンター、そしてバックオフィスを訪ね回り始めた

真の自己認識を表現するのに適した比喩は、鏡ではなく「プリズム」になるだろう。小学校の理科の実験で覚えているかもしれないが、プリズム(ガラスの三角柱)に白い光を通すと、光が屈折して、七色に分離して反対側に照射される。周りが自分をどう見ているかについて新たな観点がひとつ増えるということは、この全体像にうまく色が追加されるようなものだ。単調な白い光を見るだけでなく、プリズムを通せば、もっと豊かで複雑で厚みのある形で自分が見えるようになる

愛のない批判者と無批判な熱愛者にフィードバックを求めるべきでないなら、誰に求めればいいのだろう? 答えは愛のある批判者だ

人は自分の能力についてネガティブなステレオタイプ──この場合で言えば、男子の方がチェスが得意という女子学生たちの固定観念──を持っているとき、そのステレオタイプを追認されてしまう恐怖が、実際にはフィードバックを受け取らずとも、自己成就予言となって機能し得る

自分の力を限定的に考えてしまう分野でフィードバックを受けたときは、少し時間をとって、脅かされている部分とは別の重要なアイデンティティを思い返してみると、「心理的免疫システム」を強化することができる。目標の数字に到達しなかった厳しい一年に対する勤務評価が控えているとしよう。この迫りくる脅威に対して自分を守る一つの手段は、自分が愛情深い親であるとか、熱心な地域のボランティアであるとか、善き友人であると思い出すことだ

リーダーがチームに自己認識をもたらすには、3つの要素が必要になる。まず、チームに手本を示すリーダーがいないとき、自己認識に向けた取り組みは中身がないだけでなく、有害なものにすらなり得る。次に、真実を告げるにあたって心理的安全がないとき、正直なフィードバックが得られる可能性は限りなくゼロに近くなる。そしてこの二つをクリアしたうえで、継続的な取り組みも必要になる

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本書に登場する優れたリーダーたちのエピソード、自己認識を変えることで人生を好転させた人々(自己認識ユニコーン)の事例は、今、空回りしている人たちに勇気と希望と謙虚さをもたらすに違いありません。

著者いわく、「自己認識の最大のジレンマは、自己認識が最も必要な人こそ、最もその必要性を理解していないという点」ですが、だとすれば、優れたBBMの読者は、全員この本を買うはずですね(笑)。

ぜひ読んでみてください。

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『insightインサイト』ターシャ・ユーリック・著
中竹竜二・監訳 樋口武志・訳 英治出版

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◆目次◆

第1章 二一世紀のメタスキル
第1部 基礎と障壁
第2章 自己認識の解剖学──インサイトを支える七つの柱
第3章 ブラインドスポット──インサイトを妨げる目に見えない心のなかの障壁
第4章 自分教というカルト──インサイトを阻む恐ろしい社会的障壁
第2部 内的自己認識──迷信と真実
第5章 「考える」=「知る」ではない──内省をめぐる四つの間違った考え
第6章 本当に活用可能な内的自己認識ツール
第3部 外的自己認識──迷信と真実
第7章 めったに耳にしない真実──鏡からプリズムへ
第8章 予想外の厳しいフィードバックを受け止め、向き合い、行動に移す
第4部 より広い視点
第9章 リーダーがチームと組織の自己認識を高める方法
第10章 思い込みにとらわれた世界で生き抜き成長する
巻末資料
謝辞
原注
監訳者あとがき(中竹竜二)

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