2019年1月31日

『日本進化論』落合陽一・著 vol.5206

【これからの日本の課題をどう解決するか】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797399864

本日ご紹介する一冊は、ひと言で言うと「落合陽一版 日本の論点」。

2018年7月に、衆議院議員の小泉進次郎氏と落合陽一氏の共同企画で開催された、「平成最後の夏期講習(社会科編)──人生100年時代の社会保障とPoliTech」というニコニコ動画の生放送番組と、現場で起きた議論のまとめがきっかけでできた本のようです。

これからの日本の課題をテクノロジーと政治の力「ポリテック」でどう変えて行くか、論点ごとにデータ分析、専門家の意見、解決のための視点とテクノロジーを紹介しています。

小泉進次郎氏との対談、安宅和人さんを始めとする専門家の寄稿など、寄せ集めの感はあるのですが、上手に日本の課題と論点をまとめており、頭を整理するには使える一冊です。

すべてに政治が絡んでくるので、結局政治がどう動くかというところがボトルネックなのですが、それでも論点がわかることで、頭がスッキリします。

テクノロジーの活用や地方創生などの先端事例も載せられており、これから日本の課題解決に向けて挑戦したい人には、読む価値のある内容です。

日本の今後の見通しについて論じられているので、個人として生き方、働き方を考えたい人にも参考になるでしょう。

さっそく、いくつかポイントを見て行きます。

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そもそも今の日本の政治は、テクノロジーにオープンではない。たとえば国会で、本会議はパソコン持ち込みはダメ。委員会で認めていないところもある。議論に必要な調べ物をするために会議中にスマートフォンを触っているだけで嫌な顔をされる(小泉進次郎氏)

「土地改良」は、急斜面の農地をなだらかにしたり、水路を引く工事をしたり、農地の集約をしたり、生産性を高めるうえでも大事なことは間違いない。それに現状は年間3000億~4000億円ほど使っています。最近はアメリカなどで、土地のデコボコをAI(人工知能)で解析して、効率的に付加価値を生み出すための改良場所を導
き出すテクノロジーが出てきているのですが、日本では一切そういった動きはない(小泉進次郎氏)

僕が政務官を務めていたときにも提言しましたが、どこかの離島を自動運転車のみが走る場所にするなど、政府主導で社会実験していくことが求められる(小泉進次郎氏)

わが国のリソース投下には2つ大きな課題があります。1つは、シニア層と過去へのリソース投下があまりにも重く、未来に投資できていない点。2つ目は、インフラ投資があまりにも重くて、都市集中型の未来しか描けていない点です(安宅和人氏)

限界費用が低下すると、生産手段の民主化が進み、生産者と消費者の境界はあいまいになります

従来の大規模なインフラを、個別の状況に応じた適正なサイズのインフラに置き換える必要が出てきます

将来的にはテレプレゼンス、テレイグジスタンスといった技術の発展によって、身体の移動に関わるコストはゼロ近くにまで抑制されるでしょう。仮想化された身体をネットワークに乗せる技術によって、地理的な制約を超えて、あらゆる場所に人間が存在できるようになるはずです

新しいテクノロジーが進展することで、労働環境は「AI(人工知能)+BI(ベーシックインカム)」的な働き方と、「AI+VC(ベンチャーキャピタル)」的な働き方に二分されることになる

再分配機能が実現した社会では、多くの人々はAIにより人機一体となったシステムの指示に従い、短時間の簡単な労働を営みながら生活することになると予想されます。これが、「AI+BI」的な働き方です

「AI+VC」では、社会を発展させるためのイノベーションに取り組む働き方が中心となります。この領域は、新しいテクノロジーを開発したり、その技術をどう活用するか考えることを仕事にする、ごく少数の人々が担います

先生をオープン化するための具体策として、川上量生氏(株式会社ドワンゴ取締役CTO)が提案するのが「徴教師制」という仕組みの導入です。裁判員制度のように、社会で働いている人を対象に抽選をし、選ばれた人は一定期間教師を務める義務があるという制度です

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正直、既知の内容が多く、そこまで新鮮さはありませんでしたが、「AI+BI」的な働き方と「AI+VC」的な働き方という分類は「なるほど」と思いました。

中国、インド、アジアに関する議論が薄かったり、意外性のある論点が少ないのがイマイチですが、新書ですし、日本の課題をコンパクトにまとめたという点で価値があると思います。

ぜひチェックしてみてください。

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『日本進化論』落合陽一・著 SBクリエイティブ

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◆目次◆

序 章 テクノロジーと日本の課題を探る
    「現在」から「次の時代」のために
第1章 「働く」ことへの価値観を変えよう
    AI・高齢化時代の「仕事」を考える
第2章 超高齢社会をテクノロジーで解決する
    「免許証を取り上げなくて済む」社会のために
第3章 孤立化した子育てから脱却するために
    「新しい信頼関係」に基づくコミュニティで子育て問題を解決する
第4章 今の教育は、生きていくために大事なことを教えているか?
    「詰め込み型教育」と「多様性」を共存させる
第5章 本当に、日本の財源は足りないのか
    高齢化でもGDPが増えているデンマークに学べ
第6章 人生100年時代の「スポーツ」の役割とは?
    「健康」のための運動から「Well‐being」ヘ

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