【イェール大学の伝説の講座を書籍化!】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4152098147/a>
先日、「勝てる子を育てるにはどうするか」というお題で講演を依頼されましたが、土井の答えは、「親も教師も戦略論を学べ」というもの。
元ジョンソン・エンド・ジョンソン社長・新将命さんのロングセラー『経営の教科書』によると、「人は、大きなことを信じたときに大きな仕事をする」ものですが、大きなビジョンを実現するには、戦略を学ぶ必要があるのです。
※『経営の教科書』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478002258/
本日ご紹介する一冊は、その「戦略」の要諦を、古今東西の歴史と偉大な戦略家たちの思想で編んだ、力作。
イェール大学の人気教授であり、ピュリッツァー賞(評伝部門)受賞の著者、ジョン・ルイス・ギャディスが書くのだから、これが面白くないわけがありません。
日本の高校の世界史ではさらりと触れて終わりのペルシャ戦争やペロポネソス戦争などの歴史的戦争、そしてその指導者・参謀たちの戦略がじつに丁寧に解説されている、読み応えある一冊です。
さすがピュリッツァー賞受賞作家だけあって、まるで映画を観ているようなドラマチックな文章。訳380ページの大著ですが、最後まで文章・内容ともに楽しめます。
さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。
———————————————–
キツネはたくさんのことを知っているが、ハリネズミは大きいことを一つだけ知っている
アルタバノスは、大規模な軍隊を遠隔地へ陸路または海路で送り込もうとすれば必ず払う犠牲を強調した。使い果たされる精力、延びきった補給線、伝達の困難、士気の低下等々である
テトロックは「よい判断をするための法則」を導き出した。「自己批判的にものごとを考える人は、変化する状況の中で複雑な要因を見つける能力に長けており、自分の予測能力に懐疑的で、失敗を正確に思い出すことができ、失敗を正当化しようとせず、状況の変化に応じて適宜考えを修正することができる。これらが相俟って、次の予測の精度を高めることが可能になる」。要するに、キツネのほうが予測は正確である
クセルクセスは、一八一二年にモスクワでナポレオンが直面する悩みと同じ悩みを抱えることになった。めざす町を手に入れたところで、それが打ち捨てられていたら、そして悪天候が迫っていたら、どうすればいいのか
何かをやり遂げたいなら、目的と手段が釣り合っていなければならない。目的を手段で、手段を目的で置き換えることはできない
クセルクセスとアルタバノスの悲劇は、どちらも相手の強みを備えていないことにある。ハリネズミである王は、大勢を命令に従わせることができる一方で、自ら墓穴を掘る。キツネであるアルタバノスは、落とし穴を避けることはできるが、誰も彼に耳を貸さない
持てる手段以上のことを望んだら、遅かれ早かれ手段に合わせて目的を縮小しなければならない。手段を増強すればより多くの目的を達成できるかもしれないが、全部は達成できない。なぜなら、目的は無限になりうるが、手段は無限にはなり得ないからだ
行動に移す際には、敵の抵抗のいちばん少ないところを狙い、小さな力で最大限の効果を得るようにする。そうすれば、最小限の資源と犠牲ですばやく勝利を収められるはずだ
オクタウィアヌスは年齢こそアントニウスの半分以下だが、人間を見抜くことにかけてははるかに上手だった。彼はこの年上の男の欠点を知り尽くし、ことさらに目立たせようとした
チェックリストは、掟よりも変化に対応しやすい
力に頼らざるを得ない場合でも、守りたいものまで破壊してはならない
いかなる意味においても、保身のための正義というものはあり得ない
どんな強力な軍隊も、補給線が延びきったら力を発揮できない
全体を失うなら部分を救っても何の意味もない
———————————————–
これまで、世界史の教科書を読んでローマ史が面白いと思ったことは一度もなかったのですが、本書を読んで、政治の裏側、各リーダーたちの戦略を知り、じつにワクワクしました。
一橋大学名誉教授の野中郁次郎先生が、「戦略論の新たなる古典」と述べているのも、納得できます。
こんな本があれば、学生さんも世界史が好きになるだろうに、と心から思った一冊です。
ぜひ、読んでみてください。
———————————————–
『大戦略論』ジョン・ルイス・ギャディス・著
村井章子・訳 早川書房
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4152098147/
<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B07KS7Y99N/
———————————————–
◆目次◆
第1章 ダーダネルス海峡の橋─グランド・ストラテジーとは
第2章 アテネの長城─ペリクレスとトゥキュディデス
第3章 師と原則─孫子とオクタウィアヌス
第4章 魂と国家─アウグスティヌスとマキアヴェリ
第5章 回転軸としての君主─エリザベス一世とフェリペ二世
第6章 新世界─アメリカ建国の父たち
第7章 最も偉大な戦略家たち─トルストイとクラウゼヴィッツ
第8章 最も偉大な大統領─リンカーン
第9章 最後の最善の希望─ウィルソンとルーズベルト
第10章 アイザイア─ふたたびグランド・ストラテジーについて
この書評に関連度が高い書評
この書籍に関するTwitterでのコメント
同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)
お知らせはまだありません。