2018年12月18日

『巡礼ビジネス』岡本健・著 vol.5179

【ポップカルチャーが観光資産になる時代?】
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大学時代、政策系学部を持つ5大学の学生が集い、「5大学交流会」なるものをやっていたことがあります。

参加していたのは、慶応、中央、立命館、関大、関学の5大学。

そのなかのコンテンツで「勉強会」なるものがあったのですが、土井はそこで「遊び心のビジネス」という分科会のリーダーをやっていました。

あれから約20年の時が流れ、いまや全産業がコンテンツ産業化する時代。なかでも観光ビジネスが活況を呈しています。

観光客は、今や景勝地を訪れ、グルメを楽しむだけではない。日本のアニメや映画、小説などの舞台を訪れるために、はるばる不便な地方にまで足を伸ばしているのです。

本日ご紹介する一冊は、このトレンドを「巡礼ビジネス」と命名し、その可能性と具体的施策を紹介した、注目の一冊。

読めば、巡礼地と言っても、いろいろあるのがよくわかります。

<アイドルの聖地、歴史上の人物の聖地、野球やラグビー、ボクシングの選手や観客にとっての聖地、かるたの聖地、特定の職業、趣味の聖地、映画やアニメ、小説の舞台としての聖地、パワースポットとしての聖地など、実に多様な聖地があります>

著者は、奈良県立大学地域創造学部准教授の岡本健さんです。専門は観光学、観光社会学、コンテンツツーリズム学、メディア産業論などで、まさにこのテーマを論じるのにうってつけの人材。

興味深い事例がたくさん紹介されているので、ぜひご自分のビジネスに活用してみてください。

さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。

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近年存在感を増しているのが「ライブエンタテイメント」です。中でも2・5次元ミュージカルが注目されています

「人間が移動してお金を落とさないと、観光業は儲からない」という指摘を受けます。確かに旧来の観光産業の枠組みだとその通りです。しかし、これからはわかりません

アニメ聖地に行って、最も多くの人々が実施するのは、アニメの背景と同じアングルで写真を撮影すること

アニメ聖地に神社がある場合、そこにはアニメの絵があしらわれた痛絵馬がかけられます

インターネットを用いた発信をするという回答は179あり、回答者全体の61.1%を占めています。中でも「Twitter」による発信が多く、次いで「ブログ」「Facebook」が多くなっています(アンケートを実施したのは、アニメ『氷菓』の舞台となった岐阜県の高山市)

久喜市商工会鷲宮支所の経営指導員である坂田圧巳氏、松本真治氏は、訪れる巡礼者に話しかけ、事情を聞いてみることにしました。そこで、初めてアニメ『らき☆すた』の舞台として鷲宮神社が取り上げられていることを知ったそうです。話を聞いてみると、近隣からだけでなく日本全国や海外からも訪れていることがわかりました(中略)巡礼者が訪れる理由がわかったところで、お二人はこのように考えました。「こんなにたくさんお客さんが来てくれているのに、買って帰ってもらうものが何もないのは商工会としても問題ではないか」と。そこで、アニメの製作委員会に名を連ねていた角川書店(現、KADOKAWA)に問い合わせをし、イベントの企画やグッズの製作などを行うことにしました

複数のバージョンがあるグッズはすべてをコレクションしたくなる

ホテル大野屋では、『ラブプラス+』ユーザーに、独自のサービスを行いました。それは、「『ラブプラス+』で泊まります」と予約時に一言添えれば、1人で宿泊しているにもかかわらず、布団を二組敷いてくれるというものでした

「事故」や「事件」、「戦争」などの人間の負の部分すら観光資源になる

インターネットによって、自分と同じ趣味を持つ人々と比較的簡単にコンタクトを取ることができるようになっている昨今ですが、現実空間上において同じ価値観を持っているかどうかを確かめ合う術はあまりありません(中略)オタクスケープが現出することで、その価値観を理解できる人間が集う場所であることが、現実空間上で確かめられ、同好の士の間で交流が起こってくるきっかけが作られる

国が違っていても、類似の価値観を持っているユーザーは、コンテンツの面白さを発見する

「見方」「楽しみ方」を創出する人、「価値」を見つけ出す人々が関わることで、巡礼ビジネスにも好影響

コンテンツツーリズムを持続する際に重要なのは、それぞれの利益を最大化できるように状況をハンドリングするメタな視点に立てるアクターの存在

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土井が長年訪れているギリシャは、世界有数の観光大国ですが、その理由は、海がキレイなだけではなく、根本にギリシャ神話があるから。

日本は今、観光だけに躍起になっていますが、製品ピラミッドを考えた場合、宗教・アートがトップで、飲食や物販はピラミッドの底辺なのです。

ピラミッドの頂点(来日するための強力なインセンティブ)を創るのに、この『巡礼ビジネス』は重要な示唆を与えてくれます。

ぜひ、読んでみてください。

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『巡礼ビジネス』岡本健・著 KADOKAWA

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◆目次◆

はじめに
第1章 アニメ聖地巡礼
第2章 コンテンツツーリズムへの展開
第3章 観光資源を生む「創造性」
第4章 現実、情報、虚構空間への巡礼
第5章 観光「資産」化への道
第6章 巡礼ビジネスに必要なこと
対談 村山慶輔×岡本健
参考文献

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