2018年6月8日

『宇宙ビジネスの衝撃』大貫美鈴・著 vol.5047

【宇宙ビジネスの今と未来】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478068100

本日ご紹介する一冊は、清水建設の宇宙開発室で企画・調査・広報を担当し、その後、宇宙専門の大学院大学「国際宇宙大学」の事務局スタッフ、JAXA勤務を経て宇宙ビジネスコンサルタントとして活動する著者が、今注目の宇宙ビジネスを紹介した一冊。

著者によると、この宇宙ビジネス市場は現在、着実に伸びており、2005年に17兆円だった「スペース・エコノミー」は、2016年には33兆円にまで拡大しているそうです。

さらに興味深いのは、このうち各国の宇宙予算、従来の公的なマーケットが25%に満たなくなってきたということ。つまり、民間の商業によるサービスやプロダクトが伸びているのです。

本書では、どんな企業がこの宇宙ビジネスに参戦表明しているのか、どんなサービス、プロダクトを準備しているのか、また宇宙ビジネスならではのニッチなマーケットと、そこを担う狙い目のプレイヤーを紹介しています。

かつて夢物語だった宇宙旅行は、本当に実現するのか? 実現するとしたら、そこでどんな需要が生まれるのか?

いちいち、興味深い内容です。

さっそく、本書のなかからいくつかポイントをご紹介しましょう。

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IT関連の技術や資金が流れているのは、宇宙をインターネットの延長として見ているからです。宇宙にネットワークを張り巡らせることで、「地球のビッグデータ」が手に入る。これが、さまざまなビジネスを生み出すと期待されているのです

あるショッピングモールの駐車場に停まっている車の数を、時系列で分析することができる。植えられた作物の生育状況を宇宙から把握することができる。牧畜では、牧羊犬に代わって牛を管理することができる。魚群探知機の精度を高めていくことができる……。こうした情報は商品相場にも影響を与え、投資銀行やヘッジファンドなどの金融機関にとっても望まれるものです

地球を観察することで手に入るビッグデータや通信環境は、今後、IoTやAIの進化と結びついて、製造、サービス、流通、医療、金融、娯楽、教育、農業、漁業、防災などのあり方を激変させ、私たちの生活を大きく変える可能性を秘めています

スペースXのアメリカにおける存在感を知るエピソードに、軍事分野でも急速にシェアを伸ばしていることがあります。アメリカの軍事マーケットは巨大ですが、ハードルが高くて入りにくいのが実情です。しかし、まずライセンスを取得し、軍事衛星の打ち上げ契約を獲得、2017年5月からは打ち上げを始めています。長年、ロッキードやボーイングの独壇場だった領域の切り崩しに成功している

NASAが開発するのではなく、一顧客として民間からサービスを購入するというパラダイムシフトが起きた

地球上の6割は、インターネット接続がスムーズにはできていない。アフリカの奥地や海上もそうですが、いろいろな場所で通信ができないのです。まだ残されている6割を開拓するということ。これは、今なお残された巨大な市場です。それを可能にするものとして大きな注目を浴びているのが、低軌道に打ち上げられる小型衛星

ビル・ゲイツは長年世界の長者番付ナンバーワンだった世界一のお金持ちですが、彼が大きな投資をしているのが、アメリカのベンチャー企業カイメタです。カイメタが手がけているのは、メタマテリアルと呼ばれる人工物質を使った、軽くて薄い衛生向けの平面アンテナの開発です(中略)カイメタには、トヨタ自動車も約6億円を出資。来るべき自動運転の時代に向け、自動車用通信衛星システムに採用するのではないかと注目を浴びています

シアトルは、宇宙に投資をする3大メガエンジェルがいる、アメリカで唯一の都市

今後は宇宙滞在の長期化や商業化にともない、宇宙で快適に過ごしたいというクオリティ・オブ・ライフがさらに充実することでしょう

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宇宙が「低軌道」「静止軌道」「深宇宙」の3つに分かれていて、宇宙ビジネスが最も活性化しているのが「低軌道」であるなど、宇宙ビジネスの基本がよくわかる内容です。

宇宙ビジネス関連企業の情報は、ニュース発表されている程度のものが多く、正直投資で使えるレベルではありませんが、注目企業のリスト代わりにはなります。

著者と、ビジネスに詳しい人のタッグで書いたら、もっと面白い本になったと思うのですが、ちょっと食い足りない印象が残りました。

とはいえ、希少な宇宙ビジネスの本。

興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。

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『宇宙ビジネスの衝撃』大貫美鈴・著 ダイヤモンド社

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478068100/

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B07C7X16P2/

<楽天ブックスで購入する>
https://bit.ly/2sGIgyI

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◆目次◆

はじめに なぜITの巨人は宇宙に巨額投資するのか?
第1章 グーグル、アマゾン、フェイスブック、マイクロソフト、アップル……
なぜ、IT企業の巨人は宇宙を目指すのか?
BIG5が狙う「21世紀の黄金」
第2章 製造、サービス、流通、医療、農業、漁業、防災……
宇宙ビジネスは、私たちの生活をどう変えるのか?
「地球ビッグデータ」が産業革命を引き起こす
第3章 小型衛星、宇宙旅行、月面探査、小惑星資源利用……
シリコンバレーが狙う新時代の金脈
開拓精神を受け継ぐベンチャー起業家たちの夢
第4章 オービタル旅行、サブオービタル旅行、訓練、保険、宇宙服、宇宙食……
宇宙旅行はいつ実現するのか?
圧倒的なコストダウンで実現間近の新経済圏
第5章 月面基地計画、月資源開発、有人火星探査、100万人経済圏……
月と火星に人類は本当に住めるのか?
もはやSFではない「火星移住計画」の実現性
第6章 大手からベンチャーまで続々参入
宇宙という「未来産業」の幕開け
デジタル化、IoT、AIへとつながる新市場の誕生
おわりに

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