2018年1月12日

『なぜアマゾンは「今日中」にモノが届くのか』林部健二・著 vol.4923

【アマゾンの物流戦略】
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本日の一冊は、アマゾンジャパン立ち上げ期のメンバーで、サプライチェーン部門のマネジャーとして活躍した著者による、「アマゾ
ン物流の裏側」。

物流の基本的な考え方から始まり、アマゾンがいかにして当日配送を可能にしているのか、どうやって大量の商品を扱い、低コストオペレーションを実現しているのか、その基本的な仕組みについて解説しています。

取引先に競争させる仕組み、効率の良い発注を可能にする「カスケード」システム、販売側とオペレーション側の連携、他の会社とシステム連携するEDIの仕組み、最適な納品経路(フルフィルメントパス)の割り出し方、フリーロケーション倉庫、品質管理の仕組み…。

内側にいた人しかわからない、同社の仕組みが書かれており、いかにアマゾンの物流システムが進んでいるか、実感できると思います。

著者はアマゾンを辞めた後、大日本印刷、ドコモが出資するオンラインベンチャー企業及び大手ワイン会社にてEC部門の統括、現在は独立して物流・オペレーションのコンサルタントをやっているようで、本書の後半には、日本企業がアマゾンに対抗するためのヒントも書かれています。

さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。

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アマゾンは物流システムを重要視する中で、最高の人材をそこに配置するようにしています。倉庫管理者の多くは、MBAを取っている人間です。新卒採用された東大卒の若手さえも、倉庫でピッキングをするところから仕事を始めます

一般的な日本企業では、物流部門の社員にそんな高い給料は払えない、という話になりますが、それは物流に対する経営層のコミットメントの違いによるのです

倉庫管理に優秀な人材をあて、ハイテクを駆使し、徹底したマージンコントロールを行う。このようにして、倉庫の効率を飛躍的に上げることで、その利益を「安さ」という形で消費者に還元していくのです。どこよりも安い品揃えに、自然と購買数が増える。それによってさらなる設備投資が可能になる。アマゾンは、このような無敵のサイクルを作り上げたのです

アマゾンは本を仕入れる際に、各取次会社に様々な条件を提示して互いを競争させ、最も条件の良い業者から順位付けをします。そして、順位が上の会社から優先的に購買リストを渡すのです。たとえば、順位トップの会社がそのうち50%を納品すると、次に2番目の会社に残りの購買リストが回ってきて、そこが30%納品し、残りの20%が3番目の会社に流れるといった仕組みです。この仕組みを「カスケード」と呼びます

アマゾンの2016年12月期の売上高に対する物流コストの比率は、13%

EDIを導入すると、受注、発注、出荷、請求、支払といった取引データを、異なる企業間で電子的にやり取りすることができます。実は、他の会社とのこうしたシステム連携を地道に行っているからこそ、アマゾンではスムーズで迅速な配送が可能になるのです

アマゾンでは、一部大手製造業と同様に、顧客からの注文が入った場合、その注文を納品(フルフィル)するために考えられ得る全ての納品経路(仕入先→倉庫→顧客)を算出し、お届け日(納期)とコストを考慮したうえで、最適な納品経路(フルフィルメントパス)を決定するシステムを実装しています

アマゾンでは、最初からフリーロケーションを前提に倉庫を作ります。無数の商品を扱っており、大抵は小ロットで注文されるため、圧倒的にフリーロケーションのほうが向いているからです

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著者が同社にいたのは10年近く前のため、本書のなかの情報も既に古くなっている可能性がありますが、アマゾンの物流に対する基本的な考え方、社内の基本的仕組みを知る上で、勉強になる一冊です。

物流の基本からしっかり書かれており、初心者にはわかりやすい一方で、さっさとアマゾンの仕組みを知りたい方には、多少書き方がまだるっこしいかもしれません。

一冊読んで痛感するのは、やはりアマゾンに対抗するには、まともなやり方じゃ無理だということ。

経営の仕組みづくりとして参考にするのが、本書の正しい使い方だと思います。

ぜひチェックしてみてください。

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『大量生産品のデザイン論』佐藤卓・著 PHP研究所

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◆目次◆

第1章 アマゾンが引き起こした激変
第2章 アマゾンの物流戦略
第3章 アマゾン物流を支えるロジカル経営
第4章 日本企業はどうアマゾンに対抗すべきか

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