2017年11月6日

『ある日突然40億円の借金を背負う──それでも人生はなんとかなる。』 湯澤剛・著 vol.4856


http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569825486

本日の一冊は、キリンビール本社勤務/海外駐在のエリートから、一転、借金まみれの家業を継ぐことになった著者が、40億円を返済するまでの泥まみれの16年間の記録。

3年前に出版され、話題になっていることも知っていたのに、紹介できなかったのは、何となく「縁起が悪いから」でした。(すみません。土井もいち経営者なのです)

しかしながら、事業を13年続け、ストックが増えることの弊害を感じ、いったん事業を見直したいと思った時、やっと本書を読みたいと心から思えるようになりました。

「完済には80年かかるでしょう」と言われた莫大な借金、畑違いの飲食業、かつ管理職未経験の著者が、銀行や社員のプレッシャーにさらされながら、気がつけば「社長」になって行く。

ただでさえも大変な状況なのに、地下鉄飛び込み未遂事件や、狂牛病問題、食中毒での新聞沙汰、失火による店舗の全焼、信頼する社員の死、ベテラン社員の退職などが覆いかぶさってくる…。

まるでドラマでも見ているような感覚でドキドキハラハラしながら読むうちに、経営において大切なことが見えてきました。

特に、事業承継した人間だから見えた視点、創業者ではなかなか割り切れない経営判断の部分は、勉強になりました。

自己啓発書として読んでも、人生の励みになると思います。

さっそく、ハイライト部分を見て行きましょう。

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追いつめられた状況で、心が弱っているときに意思決定をする場合には、その動機をよくよく自問自答するべきだろう

創業経営者というのは、ピンチを拡大均衡で乗り切ろうとしがち

創業者というのは、会社を自分の子供のように育ててきたわけだから、どうしても思い入れが出て、目が曇る。合理的に考えれば答えは明らかなのに、「創業1号店はつぶせない」とか「この社員は動かせない」といった判断が出てくる

創業者は拡大の中で充実感を持ち出店していく一方で、撤退するときのことも考えておかなくては後を引き継ぐ者が大変である

私は日記を欠かさずつけている。辛いことがあると、もっと厳しい状況を乗り越えてきた過去の日記を読み返すことで、目の前の問題に立ち向かう勇気を得られるのだ。書き続けるうち、辛いことがあった日の日記の最後には「これも絶対乗り越えられる」と記すのが習慣になった

◆正気を保つ方法
1.自分の心の状態を常に把握する努力
2.言葉遣い
3.自分が見るもの、聞くものに気を配る
4.原因を自分に探すこと
5.宇宙に思いを馳せること

懺悔の念を払拭するには、がんばっている社員に報いる会社をつくるしかない

「人が輝く」とは、働く仲間が物質的・精神的に豊かになり、幸せになることである

中小企業は、「大企業になれなかった会社」ではない。「大企業になる前の段階にある弱い会社」でもない。私は、社会の一隅を照らすことが中小企業の役割だと思っている。「特定の分野に特化していく」といい換えてもいい

「大企業はいいよなって? それは全然違うよ。自分を卑下することはない。おまえたちは地域に必要な存在なんだ」

もう一度、立ち上がってみませんか。
「これ以上はとても無理だ、もう終わりだ、死んだほうがいい──」
そう思っていても、もう一度だけ、立ち上がってみませんか。

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窮地に陥った著者の心情が詳細に書かれており、臨場感の伝わる内容です。

経営者は9割メンタルだと思いますが、その部分がよく書かれており、じつに勉強になりました。

著者が試みた打ち手や、その結果も書かれており、企業再生のヒントにもなる内容だと思います。

おどろおどろしい表紙に一瞬、ひるみますが、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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『ある日突然40億円の借金を背負う──それでも人生はなんとかなる。』
湯澤剛・著 PHP研究所

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◆目次◆

序章 屈辱と混乱の日々──眩しく見えた元同僚
第1章 青天の霹靂──ある日突然、40億円の借金を背負う
第2章 どん底の、さらに底──逃げる気も失せるほど過酷な現実
第3章 「5年だけ」の勝負──瀕死の飲食店を立て直せ
第4章 天国の先は、すぐまた地獄──過去最高益、からの新聞沙汰
第5章 後悔も迷いも消えた日

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