2017年7月23日

『死ぬほど読書』丹羽宇一郎・著 vol.4750

【丹羽宇一郎氏の読書術】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344984625

本日ご紹介する一冊は、伊藤忠商事名誉理事であり、早稲田大学特命教授でもある丹羽宇一郎さんが、読書と情報収集、仕事の極意を述べた一冊。

著者が読んできた本、読書のあり方、読み方が書かれている、れっきとした読書本ですが、ベストセラー『人は仕事で磨かれる』を思わせる、仕事の極意本でもありました。

※参考:『人は仕事で磨かれる』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4167747014/

自身の伊藤忠商事時代の失敗から導かれる情報収集の注意点や、マックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』に学ぶ仕事の精神、初代伊藤忠兵衛の言葉…。

紹介される本も、そこから導かれる教訓も、ビジネスパーソンの血肉になるものばかりで、これはぜひ読んでいただきたい一冊です。

読書家のみなさんにとっては、「いい本を見抜く方法」や「古典の値打ちとは何か」「ベストセラーは読む価値があるのか」あたりが気になるに違いありません。

たくさんアンダーラインを引きましたが、いくつか、気になった部分をピックアップしてみましょう。

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誰が発信しているのかは、とても重要なことです。たとえば、「中国筋によれば~」といういい方だけでは信頼性に欠けます。中国政府の誰がしゃべったのか、33の行政区のうちどこの区が発したのか、といったことが問われる

大新聞社が行った世論調査にしても、調査のやり方からきちんと見ていくと、世論を正しく反映しているのか定かではないことが多々あります。たとえば中国人の大半は日本が嫌いだという調査結果があっても、では何人にそれを聞いたのか? 質問の仕方はどうだったのか? ということが大事です

戦中は、軍部の情報局の指導で日本文学報国会なるものが結成され、多くの作家たちが名を連ねました。彼らはペンの力で戦争を賛美するよう求められたのです。林芙美子や尾崎士郎のように従軍作家となって中国大陸のリポートをしたものもいます。中国はいいところだ、ハエ一匹飛んでいない、きれいで素晴らしいところだと礼賛一辺倒の極端な記事が出まわりました

大豆を扱っていた私は穀物相場の読みを外し、500万ドル近くの損失を出したことがありました。これは当時の日本円に換算して約15億円。当時の会社の税引き後利益に匹敵するものでした。大失敗の原因は、ニューヨーク・タイムズの一面に大きく載った「今年は深刻な干ばつになる」という予測記事を鵜呑みにしたことです

私が考える教養の条件は、「自分が知らないということを知っている」ことと、「相手の立場に立ってものごとが考えられる」ことの2つです

伊藤忠兵衛は、「商売は菩薩の業、商売道の尊さは、売り買い何れをも益し、世の不足をうめ、御仏の心にかなうもの」と述べています

想像力は現実を生きていく上で、とても大事なものです。本を読んでさまざまな生き方や思考を体験できれば、想像力はどこまでも伸び、世界はそれだけ広がります

「習う」より「慣れろ」では、「慣れる」に重点がいきすぎて「習う」機会が少なくなってしまう。やはり「習う」ことにもちゃんと目配りをしたほうが、習得のスピードは上がるのではないか

三国時代の英傑、劉備が臨終前に息子に語った「悪、小なるを以て之を為すなかれ 善、小なるを以て之を為さざるなかれ」という言葉は、私が仕事をする上での大きな指針となっています。

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デキる経営者が本をどう読んでいるのか、そこからどう教訓を導き出しているのかがわかり、とても新鮮な読書体験でした。

ビジネスパーソンや投資家が日々のメディアの情報とどう付き合うべきかも書かれており、良い勉強になりました。

ぜひ読んでみてください。

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『死ぬほど読書』丹羽宇一郎・著 幻冬舎

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◆目次◆

第1章 本に代わるものはない
第2章 どんな本を読めばいいのか
第3章 頭を使う読書の効用
第4章 本を読まない日はない
第5章 読書の真価は生き方に表れる
第6章 本の底力

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