【次世代SNSマストドンとは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4839963827
今回、京都で会った知人とのやり取りは、すべてFacebook経由でした。
連作先も、待ち合わせ場所の情報も、レストランも、すべてFacebook経由。言葉を変えれば、もしFacebookが突然サービスを停止したら、土井は京都で活動できなかったばかりか、過去の知人すべてとのやり取りを失ったということです。
本日紹介する一冊は、ポストツイッターとも噂される話題の分散型SNS「マストドン」に関する一冊。
インターネット、SNS周りの事情に詳しい小林啓倫氏、コグレマサト氏、いしたにまさき氏、まつもとあつし氏、堀正岳氏がオムニバス形式で共著しています。
小林氏の記述によると、<2017年5月末の時点で、日本の3大マストドンインスタンスである「pawoo.net」「mstdn.jp」「friends.nico」の合計で、ユーザー数は30万人を突破>。
<同じユーザー数30万人に達するのに、マストドンはツイッターの4分の1しかかかっていない>そうです。
若干理解が難しいのは、マストドンは、ツイッターやフェイスブックなどのSNSと異なり、一つの企業によって運営されているサービスではないという点。
その理由は、まさにマストドンは冒頭の、「一つのSNSに依存することへの危機感」から生まれたからです。
仕組みを理解するのに若干時間がかかりますが、本書を読めば、その可能性と、インターネット世界が今後向かう方向性がわかります。
さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。
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「トゥート(Toot、ラッパなどを鳴らすの意味)」と呼ばれる、最大500字の短文を投稿することが基本(小林氏)
画像投稿の際には、「NSFW」設定を行うことができます。こちらは「Not Sale For Work(職場での閲覧には向かない)」の意味で、性的・暴力的な表現が含まれる画像を添付する際に、それが隠された状態でトゥートを投稿できるというもの。画像をアップロードしてから、NSFWを指定しておくと、それが表示される際に「閲覧注意」という文字が現れ、クリックしないと実際の画像が表示されないようになっています(小林氏)
インスタンスとは、個々のマストドンが依拠するサーバーのようなもので、企業によって運営されているものもあれば、個人が運営するインスタンスも存在します。そして個々のユーザーは、アカウントを登録する際に選んだインスタンスと結びついています(小林氏)
インスタンス同士は「連合」という仕組みで結びつくことができます。そして自分が所属しているインスタンスと「連合」関係にあるインスタンスのみ、連合タイムラインに表示される対象となる(小林氏)
マスマーケティングというよりは、ニッチなマーケティングに向くのがマストドンということになるはずです。中には大きなユーザー数を抱えるインスタンスもありますが、マストドンの本当の楽しさは、趣味嗜好に基づいたインスタンスの存在にあるのでは(コグレマサト)
コミュニケーションの「頻度」とその場所に滞在する「時間」が「活動の場」としては重要だと考えています。これまでpixiv内でのコミュニケーションというのは、「作品」を起点としたものだったのです。新しい作品の投稿がない限り、なかなかユーザーは訪れてはくれません(pixiv清水氏)
ウェブがより現実の社会に近づくにつれて、ウェブ自体もまた、現実の世界のしがらみや制約によって分断化しているのです。そしてマストドンのような分散型SNSは、それをより加速する可能性すらあるのです(堀氏)
もし、マストドンの流行が失敗したとしても、OStatus/ActivityPubのプロトコルは存続します。それを実装した分散型SNSの可能性の扉を、マストドンは大きく開いた(堀氏)
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使うだけなら無料ですが、インスタンスを立ち上げ、主宰するには費用がかかるマストドン。
ただしこれは、企業にとってビジネスチャンスがある、ということかもしれません。
かつての「セカンドライフ」のようになるかもしれませんが、ネット社会がクローズドに向かうのは間違いない傾向でしょうし、読むことで新たなビジネスアイデアが浮かんでくるかもしれません。
まずは本書を読んで、使ってみましょう。
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『マストドン』小林啓倫、コグレマサト、いしたにまさき、まつもとあつし、堀正岳・著
マイナビ出版
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◆目次◆
第1章 マストドンブームがやってきた 担当:小林啓倫
第2章 マストドンによって蘇る体験 担当:コグレマサト
第3章 日産がマストドンを利用する理由 担当:いしたにまさき
第4章 マストドンはpixivの何を変えるのか? 担当:まつもとあつし
第5章 マストドンが示す分散型SNSの可能性 担当:堀正岳
第6章 マストドン座談会~マストドンの未来を考える
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