【「歴史的名演説」に学ぶスピーチの極意】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4484101149
本日ご紹介する一冊は、本棚を整理していたら出てきた掘り出し物。
『スピーチの天才100人』というタイトルからもわかるように、歴史上の名演説家のスピーチテクニックを解説した、講演家・ビジネスパーソン必読の一冊です。
著者のサイモン・マイヤーは、スピーチ・コミュニケーションの専門家で、イギリスを中心に世界の有力企業でスピーチ、プレゼン指導をする人物。共著者のジェレミー・コウルディは、IBMやシティグループをクライアントに持つ、エグゼクティブ・コーチだそうです。
本書に登場するのは、ナポレオン・ボナパルト、ウィンストン・チャーチル、キケロ、アドルフ・ヒトラー、ジョン・F・ケネディ、ペリクレス、セオドア・ルーズベルト、マーガレット・サッチャーなど、歴史上の名演説家たち。
紹介されているスピーチも、教養として知っておくべき有名スピーチが多く、純粋に楽しめます。
人物ごとに解説しているので、ノウハウが被るのが玉に瑕ですが、これだけのスピーチをまとめてくれただけでも価値があります。
世間的にあまり知られていない、あるいは欧米では有名だけれど日本では知られていないスピーチ・人物も収められており、興味深く読ませていただきました。
さっそくいくつかご紹介しましょう。
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アメリカ合衆国を形成したのは「我々国民」であると、合衆国憲法の前文に書かれています。「我々白人男性市民」でもなければ、「我々男性市民」でもありません。私たちが合衆国を形成したのは、人々に自由の恩恵を新たに与えるためではなく、人々が本来もっている自由を保障するためだと、憲法の前文はうたっています。現在と未来の国民の半分にだけ自由を保障するためではなく、すべての国民に、男性だけでなく女性にも自由を保障するために、合衆国はつくられたのです。
──スーザン・B・アンソニー(女性参政権運動指導者)
ボリンジャーはショッキングな事実を聴衆に示すことによって、自分の主張に説得力をもたせた。「(人権擁護団体の)アムネスティ・インターナショナルによれば、(イランでは)今年に入ってこれまでに二一〇人が処刑されました……この七月と八月だけで、最大三〇人が絞首刑に処せられました。もっと自由で民主的な社会を築こうとする動きを(イラン政府が)押しつぶそうとしたことは、大きく報道されたとおりです……最初に、はっきり申し上げておきたい。大統領、あなたは狭量で冷酷な独裁者の条件をすべて満たしている」
──リー・ボリンジャー(コロンビア大学学長)
さらば、友たちよ。諸君の一人ひとりをこの胸に抱き締められれば、どんなにいいだろう。
──ナポレオン・ボナパルト
ブロディはアカデミー賞授賞式で、短いが効果的なスピーチを行った。映画の主人公であるシュピルマンへの称賛を忘れず、この作品に出演する機会を与えられたことへの感謝の気持ちを表現する一方で、踏み込んだ発言をして、戦場にいる兵士たちのことを聴衆に思い出させた。スピーチの終盤で、ブロディはこう述べた。「(ニューヨークの)クィーンズ地区出身の友人がいま兵士として、クウェートにいます。トミー・ザブロビンスキーという男です」
──エイドリアン・ブロディ(アメリカの俳優)
ノーベル文学賞を受賞した文才の持ち主でもあるチャーチルは、力強い導入、引用や修辞疑問の活用、言葉の言い換えなどの文章技術を演説でも駆使した。演説を総括し、聞き手に強い印象を残す言葉で演説を結ぶことにも気を配った。以下は、一九四〇年六月一八日に行った下院演説の締めくくりの言葉だ。「覚悟を決めて使命を遂行し、堂々と振る舞おうではないか。大英帝国と英連邦が千年先まで続いたとしても、その時代の人々にこう言われるように。このときこそイギリスの最も立派なときだった、と」
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いっぱいあり過ぎて、とても赤ペンチェックでは紹介し切れませんね。
370ページを割いたとはいえ、さすがに100人のスピーチ。
平均4ページ未満のボリュームでは、十分な解説ができない、というのが本書の一番の弱点かもしれません。
とは言え、これだけ歴史上の名演説家のスピーチ、テクニックを集めた本は多くはありません。
人を動かし、組織を勝利に導くスピーチの極意を、100人から学んでみてはいかがでしょうか。
要チェックの一冊です。
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『スピーチの天才100人』サイモン・マイヤー、ジェレミー・コウルディ
池村千秋・訳 CCCメディアハウス
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◆目次◆
※多すぎるので省略します
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