【「賢明なる生き方」の指南書】
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本日ご紹介する一冊は、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジの准教授で、消費者心理学者のパトリック・ファーガン氏による注目のマーケティング書。
人間が広告を無視できなくなる10のHOOK(しかけ)を紹介し、それをどう使えばいいのか、実際に活用された広告事例を交えながら、論を展開しています。
イヌやネコ、アヒルに消費の意思決定が歪められてしまう事実や、不愉快な広告がじつは効いた事例、キノコ、石、バラ、蜘蛛だと、蜘蛛に目が行ってしまうという事実など、マーケターにとって興味深い事例がてんこ盛りです。
ちなみに、10個のHOOKは、以下の通り。
#HOOK1 プリミティブにする
#HOOK2 感情をわしづかみにする
#HOOK3 わたしのこと? と思わせる
#HOOK4 サプライズを駆使する
#HOOK5 ミステリー要素を加える
#HOOK6 ハードルをとことん下げる
#HOOK7 物語のなかを歩かせる
#HOOK8 記憶にこびりつかせる
#HOOK9 思考回路をショートカットさせる
#HOOK10 プライミング効果を駆使する
それぞれ、どんな興味深いことが書かれているのか。さっそく、見て行きましょう。
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アメリカの保険会社アフラックの例を考えてみよう。2003年、同社CEOのダニエル・P・エイモスは、新しい広告キャンペーン用の奇妙なアイデアを思いついた。アヒルが「アフラック!」とブランド名を叫ぶ、それだけだ(中略)フタを開けてみれば、この広告は大きな反響を呼んだ。多くの消費者が反応し、アフラックの業績アップにつながった。エイモスの説明では、キャンペーン開始から7年間で、純売上高は44%伸びたという
ペンを歯でくわえたせいでむりやり笑顔になっていた被験者のほうが、アニメをおもしろいと評価した
急いでいるときは、明るめのパッケージのほうが選ばれやすい
特に関心を引きやすい要素は3つ。セックス、食べ物、そして顔だ
セックスという要素は男性と同じくらい女性にも「売れる」のだ。1980年代には、「昼の11時半にいつも半裸でダイエットコークを飲む建築業の男性」が登場するコマーシャルが大ヒットした。2015年に、これを庭師の男性というバージョンでよみがえらせたところ、ソーシャルメディアでの反応は99%が好意的だった
高カロリーの食べ物のほうが、低カロリーの食べ物よりも注意・関心を引きやすい。食べ物の写真でケーキや肉などの写真のほうが、果物やキノコの写真よりも共有されやすいのは、そのせいかもしれない
ヒトは顔っぽいものにはなるべく気づく必要があるのだ
大きな目、おでこが前に出ているなど赤ちゃんの顔と同じ特徴を備えた構図、すなわちベビースキーマに対して、人間は強い関心を示す
ふつうのものは意識的に探さなければならないが、恐いものは意識して探索せずとも、とっさに目に飛び込んでくる
自分に関係のあることには注意・関心を引かれる
スージーという名前の人は、スターバックスの株を買いやすい
マイケル・ジャクソン関連のグループに「いいね」をしているのは、外交的な人が多かった。アニメ関連のグループとつながっているのは、内向的な人が多かった。映画『インディ・ジョーンズ』につながっているのは、人生に満足している人。風刺ニュース番組『コルベア・リポート』には、知性の高い人。犯罪コメディドラマ『ビッグママ・ハウス』には、ドラッグを使用している人が多かった
赤ちゃんは、おどろいたときほどよく学んでいる
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前半は広告事例がふんだんに入っていて読み応えがあったのですが、後半に来てトーンダウン。単なる心理学のエッセンスの解説に終わってしまったのが少々残念です。
とはいえ、前半部分の消費者の心に刺さる表現、コピーの作り方などはとても勉強になりました。
尖ったマーケティングノウハウを求めている方には、一読の価値があると思います。
ぜひチェックしてみてください。
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『#HOOKED』パトリック・ファーガン・著 上原裕美子・訳
四元正弘(元電通総研)・解説 TAC出版
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◆目次◆
PART1 HOOKを深く理解するために
PART2 あなたのメッセージが無視されないための10のHOOK
STEP01 気づかせる
#HOOK1 プリミティブにする
#HOOK2 感情をわしづかみにする
#HOOK3 わたしのこと? と思わせる
#HOOK4 サプライズを駆使する
STEP02 考えさせる
#HOOK5 ミステリー要素を加える
#HOOK6 ハードルをとことん下げる
#HOOK7 物語のなかを歩かせる
STEP03 行動させる
#HOOK8 記憶にこびりつかせる
#HOOK9 思考回路をショートカットさせる
#HOOK10 プライミング効果を駆使する
PART3 10のHOOKを実践するためのヒント
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