【フィッシャーによる株式投資の名著】
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本日の一冊は、世界一の投資家、ウォーレン・バフェットに多大な影響を与えたフィリップ・A・フィッシャーの名著、『Common Stocks and Uncommon Profits』の邦訳です。
興味深いのは、今回の邦訳が初版ではなく、その後に改訂された最新版に基づいている点。
この最新版では、なんと著者の息子であるケン・フィッシャーの解説が付いており、人間・フィッシャーの横顔を知ることができます。(ケン・フィッシャーは、フィッシャー・インベストメンツCEOで、『ケン・フィッシャーのPSR株分析』の著者でもある)
息子がフィッシャーから直接受けた薫陶も興味深いですが、何よりも価値があったのは、フィッシャーと息子と会話したフォーブス誌の偉大な編集者、ジェームス・ウォーカー・マイケルスが語ったという「あの質問」。
「まだ同業他社がしていないことで、御社がしていることは何ですか」
という質問は、投資家のみならず、経営者にも大きな示唆を与える質問だと思います。
もちろん、フィッシャー自身が語り、本書の核となっている「株について調べるべき一五のポイント」や、「投資家が避けるべき五つのポイント」も必読です。
要点だけ拾うには、あまりにもったいない書籍なので、ぜひ読んでいただきたいですが、まずは気になるポイントをチェックしてみましょう。
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◆株について調べるべき一五のポイント
1.その会社の製品やサービスには十分な市場があり、売り上げの大きな伸びが数年以上にわたって期待できるか
2.その会社の経営陣は現在魅力のある製品ラインの成長性が衰えても、引き続き製品開発や製造過程改善を行って、可能なかぎり売り上げを増やしていく決意を持っているか
3.その会社は規模と比較して効率的な研究開発を行っているか
4.その会社には平均以上の販売体制があるか
5.その会社は高い利益率を得ているか
6.その会社は利益率を維持し、向上させるために何をしているか
7.その会社の労使関係は良好か
8.その会社は幹部との良い関係を築いているか
9.その会社は経営を担う人材を育てているか
10.その会社はコスト分析と会計管理をきちんと行っているか
11.その会社には同業他社よりも優れている可能性を示唆する業界特有の要素があるか
12.その会社は長期的な利益を見据えているか
13.近い将来、その会社が成長するために株式発行による資金調達をした場合、株主の利益が希薄化されないか
14.その会社の経営陣は好調なときは投資家に会社の状況を饒舌に語るのに、問題が起こったり期待が外れたりすると無口になっていないか
15.その会社の経営陣は本当に誠実か
◆投資家が避けるべき五つのポイント
1.創業間もない会社は買わない
2.「店頭株」だからという理由だけで良い株を無視しない
3.年次報告書の「雰囲気」が良いというだけで株を買わない
4.高PERは必ずしも今後、収益がさらに増えることを示しているわけではない
5.買値のわずかな差に固執しない
戦争でお金の価値は必ず下落する。つまり、戦争の脅威が迫ったり、実際に戦争が始まったりしたときに、株を避けて現金に逃げるのは極めて愚かなことだ
四年前の株価は、今日の株価とはほとんど(あるいは、まったく)関係がないのである
今必要なのは過去五年ではなく、次の五年の数字だということをよく覚えておいてほしい
長年、利益の八倍で売られていた銘柄でも、経営陣が代わり、優れた研究部門ができたことで、今では利益の八倍ではなく、一五倍の株に変化しているとする。そうなると、この会社の将来の利益を予想して、そこから株価を推測するときに、一五倍ではなく八倍で計算する人は、過去の統計に頼りすぎているということだ
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いまの我々が読んでもこれだけのインパクトがある本ですから、当時バフェットが読んだ時には、おそらくとんでもないインパクトがあったのだと思います。
実際、バフェットはこう語っているようです。
「私は本書を読んでフィリップ・フィッシャーを探し、……実際に会って、彼の考えだけでなく、彼自身にも感銘を受けました。フィッシャーのテクニックを使って会社を徹底的に理解すれば、……賢い投資をすることができます」
ほかにも、
<適切な銘柄を選び、時の試練を耐えたならば、それを売る理由はあまりない>
<成長が可能な好機を逃してまで配当が強調されているような会社は買うべきではない>
など、投資家が心すべき教訓がたくさん書かれています。
ぜひ、読んでみてください。
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『株式投資で普通でない利益を得る』
フィリップ・A・フィッシャー・著 パンローリング
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◆目次◆
第1章 過去から学べること
第2章 「周辺情報利用法」から分かること
第3章 何を買うべきか──株について調べるべき一五のポイント
第4章 どんな銘柄を買うべきか──自分のニーズに合う株を買う
第5章 いつ買うべきか
第6章 いつ売るべきか──そして、いつ売ってはならないか
第7章 配当金をめぐるさまざまな言い分
第8章 投資家が避けるべき五つのポイント
第9章 ほかにも避けるべき五つのポイント
第10章 成長株を探す方法
第11章 まとめと結論
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