2017年2月8日

『日本買い 外資系M&Aの真実』加藤有治・著 vol.4585

【進む「日本買い」】
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日本企業のM&Aが盛んな昨今ですが、本日はそのM&Aについて、日本一の回転寿司チェーン「あきんどスシロー」を買収した外資ファンドの元日本代表が語った一冊。

読者のなかには、「自分にはM&Aなど関係ない」という方もいらっしゃると思いますが、もしみなさんが株式投資家なら、外資系ファンドが欲しがる企業の条件は知っておくべきですし、起業するなら、買ってもらえる企業を作るべき。

また、企業価値をどうやって高めるかという視点は、会社で評価される人間になる上で重要です。

ということで、ビジネスパーソンであれば、誰もが学んでおくべきM&Aの基本を、買い手側の視点で示したのが本日の一冊です。

なお、売り手側の視点を学ぶには、以前ご紹介したこの本が良くできています。

※参考:『ビジネスの世界で戦うのならファイナンスから始めなさい。』
正田圭・著 CCCメディアハウス
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EBITDA以外には、難しい算式も出てきませんので、文系人間でも難なく読める内容です。

さっそく、チェックしてみましょう。

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◆外国企業にとって、日本企業が魅力的な理由
(1)先進的で洗練された製品・サービス
(2)非効率な資産、資金運営
(3)豊富な買収融資(日本の銀行)
(4)優秀で忠誠心の高いスペシャリスト、スタッフ
(5)企業の置かれた環境に必ずしも適合していない経営陣
(6)M&A市場に出ない企業買収機会

事業会社が日本買いをする理由は、事業系の場合は製品・技術・サービス力等企業そのものに属する価値を狙い、それを海外向けに磨きをかけて世界に送り出そうとすることが多いからです。一方、金融事業系の場合には、日本の顧客ベースを狙うことがほとんどで、企業そのものというより、その背後にある資産や、市場を狙ったものが多いともいえます

シナジーの面では、事業会社系は想定できる価値の創出が大きく、ファンド系より事業会社系が優位に立ちます。特に外資系事業会社は、日本の会社と異なる強み(海外販路、技術)を持つことが多く、日本の事業会社よりもさらにシナジーを想定できます

◆教科書的に外資系ファンドが一般的に好む投資対象
(1)事業面
(ア)経営陣が優秀であること、または交代可能であること
(イ)事業の安定性が高いこと
(ウ)事業コストの固定費率が低いこと、または固定費を下げうること
(2)バランスシート面
(ア)資産効率が悪いこと(遊休資産を抱えている等)
(イ)資本効率が悪いこと(資本構成のバランスが悪い等)
(3)案件組成面
(ア)買収価格が安いこと(特に事業が生む現金に対して)
(イ)買い手の競合が少ないこと

事業面はいい点に注目し、バランスシート上は悪い点に注目する

事業の安定性には大きく分けて、マクロとミクロがあります。マクロは突き詰めれば「参入障壁の高さ」と「市場が循環性を持つかどうか」

外資系ファンドは多大な設備投資を必要とする事業はできるだけ回避します

企業価値=償却・税引前営業利益(EBITDA)×企業価値乗数

外資系ファンドが「のびしろ」に注目して実践的に案件を選ぶのに対し、外資系事業会社は「事業シナジー」を重視します

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買収する側は、どんな企業を魅力的と感じるのか、外資系ファンドと事業会社との違いも書いてあり、じつに勉強になりました。

なかでも、<教科書的に外資系ファンドが一般的に好む投資対象>の項目は、経営者にとって参考になる部分でしょう。

ぜひ、チェックしてみてください。

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『日本買い 外資系M&Aの真実』加藤有治・著 日本経済新聞出版社

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◆目次◆

第1章 日本買いM&Aの現状──鎖国から開国へ
第2章 日本買いM&Aの大原則
    ──案件のスカウトから、育成、市場デビューまで
第3章 日本買いM&Aの関係者──チーム構成が勝敗を決する
第4章 日本買いM&Aの実際──外資の経営力取り込み実例
第5章 日本買いM&Aの功罪──「ハゲタカ」外資という誤解
第6章 まとめ──日本買いM&Aで外資経営資源の徹底的利用を

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