【豪商たちの物語と名言】
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世の中には、あまりに有名すぎて、元々誰の言葉かわからない名言が存在します。
商売に関する名言では、以下の言葉がそれにあたるでしょう。
「売り手よし、買い手よし、世間よし」
「先義、後利」
「魚の釣り方は教えるけれど、魚はやらない」
それぞれ解説すると、「売り手よし、買い手よし、世間よし」は、近江商人、中村治兵衛の言葉。「先義、後利」は、大丸業祖、下村彦右衛門の言葉、「魚の釣り方は教えるけれど、魚はやらない」は、京都老舗・木村家の九代目当主、木村卯兵衛による言葉です。
本日ご紹介する一冊は、こんな歴史に残る『大商人の金言』をまとめた一冊。
日本を代表する豪商が登場し、家訓や金言に加え、それぞれのエピソードが紹介されています。
あえて歩きやすい道ではなく険しい道を行商して回った近江商人、馬の荷を少なくすることでかえって回転率を高くした江戸後期の豪商・松居遊見、「呉服は富裕層のもの」という常識を破って町人をターゲットにした三井高利、正直であることでかえって客に喜ばれた高島屋業祖・飯田新七など、興味深いエピソードが満載で、読んでいて飽きません。
さっそく、気になる教訓・エピソードをピックアップしてみましょう。
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治兵衛が書いた心得は、三メートルもの長さにわたって書かれている。そこには、「商品を買った人が『良い買い物をした』と思ってくれるような商売をしろ」「一度に大きな利益を得ようとしてはいけない」「行商先ではお客だけではなく、その地の人々を大切にしろ」というようなことが書かれている。この文書を原典にして、のちに学者、研究者によって、この「売り手よし、買い手よし、世間
よし」の言葉が生まれた
彼ら(近江商人)は重い天秤棒をかつぎ、全国を商いをして回った。しかも、東海道のような平坦で人が多く季候もよい街道筋より、高い峠や深い谷が続く中山道とか、気候が厳しい東北の充分に整備されていない道を回った。ただ、近江の商人はそれを「辛いこと」だとはとらえなかったのである
荷は馬で運ぶ。荷物の量には決まりがあった。しかし、商人たちは効率を考えてその量を少し多くした。遊見は逆の方法をとった。量を少なくしたのだ。そのうえ、一里ごとに酒手をつけた。馬方は先を争って遊見の荷を扱ったから、遊見の荷は目的地に早く着く。結果的に回転率が他の商家より高くなり、店が繁盛したのである
「現金販売」と「反物の切り売り」の新商法、そして、一流店が立ち並ぶ日本橋での創業がその仕掛けである
西鶴は、金持ちになるには「朝起き」「家職」「夜詰め」「始末」「達者」の五つに精進しなければならない、と説いた
扇子商法とはザックリ言えば、先を見て商売をしろ、ということだ。扇子は暑いときに大きく開いて使うが、不要のときは小さく畳んでおく
大坂で大塩平八郎の乱が起こった。天保の大飢饉で米不足に陥り、人々が飢えに苦しんでいたにもかかわらず、米を買い占める豪商たちがいた。平八郎はこれに怒って豪商という豪商を襲い、店を焼き討ちした。ところが、「大丸は義商なり。これを侵すことなかれ」として、大丸屋を襲うことはしなかった
商品の良否は明らかにこれを顧客に告げ、一点の虚偽あるべからず
高島屋業祖 飯田新七
「真の商人は先も立ち、我も立つことを思うなり」これは、石田梅岩の著作『都鄙問答』にある教えだ
売って悔やむは、商人の極意
近江商人 外村与左衛門
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アマゾンで確認する限り絶版という残念な本ですが、日本の豪商の教訓・金言をまとめて読むには便利な一冊です。
単なる教養にとどまらず、直接商売のヒントとなる言葉もあるので、きっとお役に立つと思います。
何とか中古で手に入れて、読んでみてください。
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『大商人の金言』八幡和郎・著 三笠書房
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◆目次◆
1章 「金運をつかむ」金言
2章 「危機を乗り切る」金言
3章 「商売がうまくいく」金言
4章 「ムダ金を使わない」金言
5章 「生き残る力をつける」金言
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