2016年8月29日

『ビジネス・フォー・パンクス』ジェームズ・ワット・著 高取芳彦・訳 楠木建・解説 日経BP社 vol.4422

【テンション上がります】
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起業家に、たったひとつだけ必要な物があるとすれば、おそらくそれは、「世界を変えたい」という熱い思いでしょう。

しかし、世界を変えるには、その分多くの障害を乗り越えなければならない。それには、エネルギー補給も必要になります。

本日ご紹介する一冊は、そんな起業家のエネルギー補給にピッタリの、パンクな一冊。

昔、『ファンキービジネス』という面白い本がありましたが、あれは経済学者が書いた本。

※参考:『ファンキービジネス』
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一方、この『ビジネス・フォー・パンクス』は、起業家本人が書いているだけあって、文章テイストが激しいだけでなく、より実践的な内容になっています。

著者は、2007年にたった3万ポンドで始めたクラフトビールの会社を、年商5000万ポンド(約70億円)まで伸ばした創業者、ジェームズ・ワット氏。

「BrewDog」は、イギリスで最も飲まれているクラフトビールで、現在は世界50カ国以上に出荷しています。

商品開発からサービス、マーケティング、組織まで、とにかくクレイジーなブランドで、本書には、その事例がいくつも載っています。

自社の「パンク株」で、1500万ポンド(約20億円)を調達したり、自社デザインのビアマットに際どいユーモアを載せたり、ロシア大統領のマネをした写真を公式ブログに載せたり、面接に来た求職者に1杯飲ませたり、とにかく話題に事欠かない同社。

本書には、その過激な経営の根幹にある姿勢と、同社のこれまでの軌跡が書かれています。

文章のテイストとは裏腹に、きちんと経営で押さえるべきところを押さえており、起業家の教科書としても最適の一冊です。

さっそく、いくつか気になったポイントを見て行きましょう。

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会社は失敗する。会社は死ぬ。会社は忘れられる。だが、革命が死ぬことはない。だったら会社ではなく、革命を始めればいい

会社をつくるのではなく、新しいカテゴリーをつくるのだ。自分でつくった小さな池を泳ぎながら、その池を広げればいい

愛しているものを人手に渡す理由があるだろうか。売り払う目的でものをつくる連中は、長く残るものを生み出しはしない

ぼくらは2014年、自前の株式取引サイトを立ち上げ、イギリスの非上場企業として初めて──「初」が一つ増えた──自社株を公開取引できるようにした

「できる」ということは「すべきだ」ということを意味しない。実際には「すべきでない」ことが大半だ。ビジネスにおいては、「イエス」よりずっと多くの「ノー」を言うことが賢い戦略だ

今の時代、ブランドを築く唯一の方法は、自分がブランドを体現することだ。人間は自分より大きなものに参加しているという感覚を求める。あなたのブランドは、そのチャンスを与えなければならない

まずは使命だ。商品じゃない

ターゲット市場なんて決めて露骨に売り込みをかけるような手口は子ども騙しでしかなく、当然、賢い顧客には敬遠される。人間はどうしても自分と違う存在になりたがってしまうものだ。若いうちは大人になりたいと思い、年を取ればもっと若ければと思う。悲しいときには幸福を求め、幸福に満たされればハングリー精神が欲しくなる

◆会社の創業者やチームリーダーに求められる資質
1.鳥肌を立たせる
2.狂ったようにほめる
3.時間を与える
4.セーフティーネットになる
5.優秀な人材をチームに加える

優秀な人材をチームに加えることができなければ、並みの連中でも常に優れた判断をくだせるような仕組みを整えるために、恐ろしいほどの時間を食われることになる

幸いにも、ビジネスで人脈がものを言う時代は過ぎ去った。当然のことだが、大事なのは、自分自身がどれだけ優れているかだ。勝負の条件が対等になり、障壁が崩れ、見栄えだけ立派なブルジョア実業家には何の影響力もなくなった

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実践的な内容もさることながら、やはり注目したいのは、この起業家精神に火をつける、著者渾身の文章。

<今の時代、ブランドを築く唯一の方法は、自分がブランドを体現することだ>という一行に、心を打たれました。

分厚い本ですが、興奮しながら読み進めていたら、あっという間に読めてしまいました。

ぜひ読んでみてください。

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『ビジネス・フォー・パンクス』ジェームズ・ワット・著
高取芳彦・訳 楠木建・解説 日経BP社

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◆目次◆

プロローグ さあ、世界を変えてやろう
1章 戦う自由人のための起業論
2章 未来を見る反逆者のための財務論
3章 迷える子羊のためのマーケティング論
4章 新時代の破滅的パンクのためのセールス論
5章 野望に燃える海賊船長のためのチームビルディング
6章 ひたむきな自由人のための時空論
7章 パンク起業家の頭の中
結論 すべてはゲームだ
解説 楠木建(一橋大学教授)

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