2016年7月5日

『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』 アダム・グラント・著 シェリル・サンドバーグ・解説 楠木建・監訳 vol.4367

【アダム・グラント最新作】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4837957684

本日ご紹介する一冊は、世界的ベストセラー『GIVE&TAKE』の著者であり、ペンシルベニア大学ウォートン校史上最年少の終身教授、アダム・グラントの最新刊です。

※参考:『GIVE&TAKE』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4837957463

『GIVE&TAKE』の時同様、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建さんが監訳を務めており、今回はなんと、解説をフェイスブックCOOのシェリル・サンドバーグが書いています。

じつは、アダム・グラントとシェリル・サンドバーグは友人らしく、彼女が窮地に陥っている時、支えてくれた恩人なのだそうです。

シェリル・サンドバーグの解説のなかから、アダム・グラントを評した部分を引用してみましょう。

<私のかけがえのない友人だ。私は彼のおかげで自信がもてるようになり、自分の考えを的確に伝えるにはどうすればよいかを学んだ>

<私が突然夫を亡くすという悲劇に見舞われると、真の友だけがそうするように、彼は率先して救いの手を差し伸べてくれた>

<もう一生気分が晴れることはないと思えるときでも、彼は飛行機で大陸を横切ってくると、立ち直る方法を教えてくれた>

<泣きたい気分のときに、彼はいつもそばにいてくれたのだ>

2つの作品を読んでみて思うことですが、アダム・グラントの文章には、人間や社会への「愛」がある。

同様のことを、監訳者の楠木建さんも、コメントしています。

<アダム・グラントの最大の美徳は「健康な人間観」にある。グラントは人間のポジティブな面に目を向ける人であり、人間の善性を信じているように思う。彼が人間と社会について考えるとき、その底流には一貫して温かいまなざしがあふれている>

本日ご紹介する一冊、『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』は、われわれがどうやってオリジナルな存在になれるのか、どうすればオリジナルであり続けられるのかを論じたものですが、そこにも前向きな思想が垣間見られます。

たとえば、概念的イノベーターは年齢を重ねるにつれて若い頃のような目覚ましい業績を達成できなくなると述べる一方で、実験的イノベーターのスタイルを学べば、年齢を重ねてもイノベーションを起こせる、といった具合です。

学術的な研究の成果をシェアしながら、誰もがオリジナルになれる、と説いており、じつに勇気の湧いてくる内容でした。

たくさんシェアしたい言葉がありますが、そのなかから、一部をご紹介しましょう。

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傑作を生み出す可能性はどうすれば高められるのだろうか? その方法とはズバリ、「多くのアイデアを生み出すこと」だ

もっとも創造的なコレクションは、ディレクターの海外経験がもっとも豊富なブランドのものであった

直感は、自分の経験が豊富にある分野においてのみ正しい

いつもウンウンとうなずいてくれる人に向かって訴えるよりも、ユニークな行動をとるとして知られている人物に提案をしたほうがうまくいく可能性が高い

先延ばしは「生産性の敵」かもしれないが、「創造性の源」にはなる

先駆者が優位になりやすいのは、特許技術がかかわっているときや、強い「ネットワーク効果」が存在するときだ

概念的イノベーターは偉業を平均四三歳で成し遂げている一方、実験的イノベーターは平均六一歳だった

実験的なイノベーションは、必要な知識とスキルの蓄積に何年も何十年もかかるが、オリジナリティの源泉として、より長続きする

ずっと私たちに協力的だった人たちは、最高の味方にはならない。最高の味方になるのは、はじめは反対していたが、しだいに味方になってくれた人たちだ

オリジナルな人の多くがリスク・テイカーなのは、周囲が自主性を尊重してくれたり、守ってくれたりするからだろう。一方で、このような育児のスタンスは出生順位に関係なく、どの子にも起こりうることである。ただそれがよく見られるのは、末っ子であるということだけなのかもしれない

驚くべきことに、奇抜な目標を達成する子ども向けの本がたくさん出版されると、次の世代の人たちはイノベーションを起こす可能性が高いという研究もある(中略)ユニークな目標の達成を題材としたアメリカの子ども向けの物語は、一八一〇年から一八五〇年までのあいだに六六パーセント増加していたのだが、それとともに一八五〇年から一八九〇年にかけての商業における特許査定率が、七倍にはね上がっていたのだ

「他者に対して」怒りを感じていると復讐心が生じるが、「他者のために」怒りを感じていると、正義やよりよいシステムをつくる動機になる

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前作『GIVE&TAKE』の時もそうでしたが、結論がありきたりなのに、何とすがすがしい読後感。

自分がオリジナルになれることを確信すると同時に、人は誰でもオリジナルになれると信じることで、他者の才能をも信じる気持ちが湧いてきました。

組織のリーダーには、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』アダム・グラント・著 シェリル・サンドバーグ・解説 楠木建・監訳 三笠書房
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4837957684

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◆目次◆

PART1 変化を生み出す「創造的破壊」
    「最初の一歩」をどう考えるか
PART2 大胆に発想し、緻密に進める
    キラリと光るアイデアとは
PART3 “無関心”を“情熱”へ変える法
    まわりを巻き込むタフな説得力
PART4 賢者は時を待ち、愚者は先を急ぐ
    チャンスを最大化するタイミング
PART5 「誰と組むか」が勝敗を決める
    パワフルな結束をつくる人の見分け方
PART6 「はみ出す人」こそ時代をつくる
    どこに可能性が隠されているか
PART7 ダメになる組織、飛躍する組織
    風通しよく、進化を遂げるしくみづくり
PART8 どんな「荒波」も、しなやかに乗りこなせ
    あらゆるものをエネルギーにする方法

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