2016年5月26日

『パナマ文書』渡邉哲也・著 vol.4328

【「パナマ文書」の衝撃とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4198641862

以前、仙台の財界の有力者と話をした際、氏が経済を読むためにどんなことをしているのか、伺いました。

氏は、アメリカの政治の動向に目を向けていたわけですが、やはり大きな動きは、大きな勢力、大きな利権が起こすものなのです。

そこで今、読んでおきたいのが『パナマ文書』。

「タックスヘイブン狩り」の実態と、この動きが今後、どう経済に影響を与えるのか、経済評論家の渡邉哲也さんが解説しています。

渡邉哲也さんは、これまでにオフショア問題、BEPS(税源浸食と利益移転)問題、「金融の闇」といわれている高頻度取引など、問題視されている脱法行為やグレーゾーンを取材してきた人物。

本書では今、話題となっている「パナマ文書」について、誰でもわかるように、その内容、意味が説かれています。

念のため解説しておくと、パナマ文書は、パナマにある法律事務所「モサック・フォンセカ」が作成したもので、この事務所がかかわる1970年代から40年間のオフショア金融センターにおける取引情報をまとめたもの。

これが漏洩して、世界中の著名人の脱税疑惑が出てきたものだから、これがもう大変なのです。

富裕層の脱税の取り締まり、反社会的勢力の取り締まりの動きは、世界的なトレンドですが、これが今後、どちらに向かうのかは、ビジネスパーソンとして知っておくべきでしょう。

マイナンバーとは一体何なのか、世界経済は今度どうなるのか、そこに潜むリスクは何か…。一般人にとっては得体のしれない「大きな動き」を理解するのに、最適の一冊です。

さっそく、内容をチェックして行きましょう。

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今回のパナマ文書流出では、大企業や富裕層による租税回避行為ばかりが注目されがちであるが、じつは影響はそれだけにとどまらず、大きな世界の闇を照らすものになる可能性が高い

世界最強の捜査機関は国税当局であり、アメリカを中心に世界の国税当局が連携してつくったのが今回中心として動いているFATFなのである

タックスヘイブンのなかでも、なぜ英領バージンがもっとも選ばれているかといえば、会社設立に際して政府の許可が要らず(英領バミューダは必要)、登記するだけでほぼ24時間以内に「免税会社」をつくれてしまうという点にある。また、事務所がなくても私書箱(P.O.Box)だけで会社をつくれるのが英領バージンの特徴

イギリスのキャメロン首相に関しては、亡父が運営していたオフショア信託「ブレアモア・ホールディングス」の存在が明らかになった。これに対して、当初キャメロン首相はファンドからの亡父の資産30万ポンドの相続を認め、そのうえで非課税枠の範囲であるので問題ないと釈明していたわけであるが、その後、ほぼ同時期の母からの生前贈与20万ポンドの存在が明らかになったため、この原資が亡父のファンドではないかとの疑念が生じ、これが政治問題になっ
ているのだ(中略)運が悪いことに、キャメロン首相が自ら反対していた砂糖税の導入を決め、貧困層への福祉支給の減額を行おうとしていた矢先のことであり、「裕福な家庭に育ったキャメロン家の税金逃れ」と「貧しい世帯の切り捨て」という格差論にも発展して、批判が大きくなっているのである

2015年11月30日、IMF(国際通貨基金)は中国人民元を2016年10月以降にSDR(特別引出権)の構成通貨に組み入れると発表、中国の悲願である人民元の国際通貨入りへの道が開けたが、これを支持したのがイギリスであった

オズボーンは、ブレトンウッズ体制は「必ず終わる」と信じており、そのときこそイギリスが再び浮上すると思っていた。しかし、これを実現するためには、イギリス単独では不可能だ。そこに現れたのが、めざましい経済成長を遂げた中国であり、人民元という通貨であった

2016年6月23日にはイギリスのEUからの離脱の是非を問う国民投票が実施される(中略)イギリスがEUを離脱するということは、EUからシティが離れることを意味する。そうなれば、EUそのものの信頼が失われ、ユーロの信用と裏付けがなくなってしまう。必然的にユーロの国際的評価は落ち、暴落するリスクが非常に大きくなる

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個人的には、中国を支援するイギリスの思惑や、ユーロ圏の今後、世界恐慌の可能性などについて、考えさせられました。

拡大したものは必ず縮小するわけですが、グローバリゼーションも、今後また新たな局面を迎えそうですね。

突然のショックに備える意味でも、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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『パナマ文書』渡邉哲也・著 徳間書店
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◆目次◆

第1章 パナマ文書の衝撃
第2章 世界で「タックスヘイブン狩り」が始まる
第3章 パナマ文書で激変する世界情勢
第4章 パナマ文書が暴く「日本の闇」と企業の関係
第5章 日本はパナマ文書をいかに活用すべきか

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