【絶対「買い」のCool本】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532356911
最近、売れている商品や人気のある有名人の顔ぶれを見ていると、「Cool」の定義が随分変わったと感じます。
かつては高級車を乗り回したり、豪邸に住むのがステイタスでしたが、今は「持たない」ことが「Cool」になっている。
お金よりも良質な人脈、ハードワークよりワークライフバランス、家もクルマもシェアが賢い、といった感じです。
この「Cool」は、どうして変わるのか、どのように変わるのか。これを知ることは、ビジネスをする上で、また企業や個人がブランドであり続けるために、極めて重要な要素だと思います。
今では信じられない話ですが、かつてデニーズやマクドナルドはブランドでした。
デニーズが日本に上陸した時は、かわいい制服と「いらっしゃいませ、デニーズへようこそ」のセリフが話題となり、デートで連れて行くと喜ばれるほどの場所でした。
それが、今ではすっかり大衆化しています。(だからこそ、土井は利用するわけですが)
本日ご紹介する一冊は、なぜCoolがCoolでなくなるのか、人間の脳は何を持ってCoolとみなすのか、その謎に迫った一冊。
著者は、カリフォルニア工科大学教授で、認知科学、神経経済学、科学哲学を専門とするスティーヴン・クウォーツ氏と、ニューロマーケティングの第一人者アネット・アスプ氏です。
アップル、クラフトビール、SUV車がどうやって広まったのか、その詳細がわかるとともに、われわれが消費する根源的な理由が見えてきます。
じつに知的。じつに刺激的。
さっそく、その気になる内容をチェックしてみましょう。
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誇示的消費が対抗心によってあおられることはすでに論じた。これは、「自分より少し上」の階層にいる人への対抗心だ。そのような対抗心が生じるには、3つの条件が必要だ。地位の階層化、自分と他人がその階層のどこにいるかの認識、そして自分の位置を他人に知らせるシグナルだ
SUVが急に売れるようになった理由のひとつは、ミニバンに「クールでない」という不面目なレッテルが貼られた時期に市場に参入したからだ。そのレッテルがある種の反発材料となって、人々をSUVへと向かわせた
人は好ましくないアイデンティティのシグナルを発信するのを避けるため、ある商品から離れる
いまのクールは社会を丸ごと拒絶する反逆心のシグナルではなく、イノベーションを促す学習のシグナルなのである
平均的な労働者がひとつの仕事を継続する期間は4.4年だ。ミレニアル世代ではほぼすべての人が、ひとつの仕事にとどまるのは3年未満だと思っている。そこでは教育だけでなく、変化を続けるテクノロジーと知識の流れに遅れずついていく能力が重視される
現在のドットコム・クールと反逆者のクールとの違いは、目立たないシグナルの使い方にある。消費の主流は目立つシグナルだが、隠れシグナルも存在し、これは特定の相手にのみ伝えることを目的としている
現在のクールな商品は、価格ではなく情報コストの高い隠れシグナルを使っている
「情報コストは高いが、価格は高くはない消費財」の問題点は、ひとたび部外者にその隠れシグナルを見つけられると、すぐに取り入れられてしまうということだ。そのため、ある商品や流行が最高にクールなのは、シグナルがまだ隠されているあいだだ
なぜ、プリウスは人気なのだろう? 実のところ、価格が高いという事実こそが人気の鍵を握っている可能性がある。つまりそれ自体が、この車を所有するためにコストをかけているというシグナルになる。所有者はプリウスに乗ることで、「金銭的代償を払っても、環境への影響が少ない車を選んでいる」という情報を発信できるのだ
消費行動を変えるためのもっと効果的な方法は、目に見えやすい環境保護のケースで見たように、社会的利益をもたらす消費パターンを、地位と連動させることだ
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いかがでしょうか? すごい内容だと思いませんか? ほんの一部しかご紹介できないのが、本当に残念です。
本書のおかげで、なぜ若者がかつてのステイタスシンボルを買わなくなったのか、これから消費されるものは何なのか、これまでずっと謎に思っていたことが、スッキリ解決できました。
これから10年のマーケティングをどうやるべきか、頭がクリアになる本です。
これは迷わず「買い」ですね。
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『クール 脳はなぜ「かっこいい」を買ってしまうのか』スティーヴン・クウォーツ、アネット・アスプ・著 日本経済新聞出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532356911
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◆目次◆
第1章 消費のなぞ
第2章 脳のなかの3人の消費者
第3章 脳をとりこにする「クール」
第4章 消費者は進化する
第5章 地位をめぐる競争と、反逆本能
第6章 ダーウィン、買い物に行く
第7章 反逆者のクール
第8章 ドットコム・クール
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