【職場ストレスから抜け出す思考法】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022736496
今日は、最近何かと話題の職場ストレスについて論じた本をご紹介します。
著者は、医学博士・心療内科医の海原純子さん。『男はなぜこんなに苦しいのか』とは、いかにも男のハートに刺さるタイトルですが(笑)、まんまと土井も手に取ってしまいました。
本書には、著者がこれまで相談に乗ってきたビジネスマンのケースが登場し、具体的に彼らの環境の何が問題なのか、どう考え方や環境を変えて行けば救われるのか、アドバイスがなされています。
上司や人事にとっても、社員のうつ問題は深刻だと思いますが、本書にはそれを生み出すメカニズムが書かれているので、リスク対策としても読んでおくべきかと思います。
本書に登場する田口さんのケースを取ってみると、職場の問題は2つあり、それは以下の2点。多くの業界で売上が頭打ちになっている以上、どこの職場でも起きている問題かと思います。
・人事評価が相対評価(本来ならばまずまずという業績の人をランクを落として評価することになる)
・目標をクリアしているにもかかわらず、それを認めずに次の課題を出して評価を与えなかった
さまざまな職場で起こっている問題と、それを受ける男性のメンタリティの問題、心の負担を軽くするヒントが書かれており、じつに参考になります。
職場のメンタルヘルスに関して、さまざまな研究結果も紹介されており、教養としても読んでおくといいでしょう。
さっそく、いくつかポイントをご紹介しましょう。
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アルコール依存は日本では比較的罪悪感の軽いストレス対策となっている。楽しいリラックスの一杯ではなく、それが依存へと進んでいく背景には、竹村さんに見られるように「どうせ話してもわからないから」という理由で、他者にストレス要因について話をせず心の中にため込んでいくという傾向がある
「幸せだと思わなくては」「うれしいと思わなくては」と感情を変えようとしてもうまくいかない。「イライラするのをやめよう」「怒るのをやめよう」としても無理である。そこでその感情のもとになっている考え方、物事のとらえ方を変えていくのである
依存にはその行動の引き金になるトリガーが存在する。トリガーには外的条件として、場所、時間帯、特別な日、がある。たとえば居酒屋に入るとタバコを取り出す。深夜になるとタバコに手をのばす。給料日になると買い込む、などだ。内的トリガーとして怒りや孤独、退屈など心身の状態がある
仕事のコントロール度や、社会的な支援が不足するとメンタルヘルス面でのリスクが高くなる
「感情」と「事実」を分けてみることである。上司の言葉を分析してほしい。発言のうち何割が「感情」で、何割が「事実」だろうか。業務に関する指摘でダメ出しがされたとき、感情による発言は心の中のゴミ箱に入れる
「感情を抑圧する」という点に関しては、女性管理職は、「周囲に嫌な女だと思われたくない」という点で我慢することが背景にあり、男性管理職は「職場で弱い男だと思われたくない」という点で我慢をする
承認欲求がいくら満たされ、他人からの評価を得、地位を得ても、人は本来本当に自分に適し、自分たりうるものがないと不満に陥る。この「本来自分たりうるもの」を目指すのが自己実現願望である
かつて殺したり捨てたりしてきた「もう一つの人生」を一つ選んで今の人生に贅沢に加えてみることだ。贅沢に加えるというのは「それで収入を得なくてよい」「それで評価されなくてもよい」「それで結果を出さなくてよい」、それをするプロセスに喜びを見出だせることをする、ということである
マズローは晩年、自己実現願望より更に高次の願望として自己超越願望を指摘した。これは、自分本来のあるべき姿で人生を歩んでいる先に、エゴから脱却し、自分がしていることが他の人々の幸せに貢献するような次元の人生である
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ちなみに、本書によると、メンタルヘルスを維持するのに不可欠なのは、いかの5項目だそうです。
・深呼吸
・適度に体を動かすこと
・睡眠
・気持ちを話せる仲間や家族
・自然とのふれあい
現在職場で燃え尽きている方、理不尽な評価にストレスを感じている方、ある程度の成功を収め、次の目標が見つからないでいる方に、おすすめしたい一冊です。
ぜひ読んでみてください。
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『男はなぜこんなに苦しいのか』海原純子・著 朝日新聞出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022736496
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◆目次◆
第1章 「男らしさ」という病
第2章 変化する時代と「評価」に苦しむ男たち
第3章 上司と部下の難しい関係
第4章 「自分はこのまま終わってしまうのか?」という苦悩
第5章 結婚は幸せか、人生の墓場か
第6章 何が彼を絶望から救ったのか?
終 章 結局ストレスはどうしたら消えるのか?
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