【未来のビジネスモデルはこうなる?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4802610149
以前、関谷英里子さんを訪ねてスタンフォード大学ビジネススクールにお邪魔した時、西海岸では、次々に新しいビジネスが生まれていると実感しました。
「世界はもっと良くなる」と信じる起業家たちが、莫大な資金と志ある優秀な経営人材をバックに、次々と事業を立ち上げている。そんな空気を感じたのです。
日本でも、Airbnb、Uberくらいは知られていますが、両者とも規制にあって日本では上手く行っていません。
そんな閉鎖的な日本市場を横目に、彼の国では次々と新進気鋭のビジネスが立ち上がり、世界を席巻しようとしているのです。
本日ご紹介する一冊は、そんなアメリカの最新サービス、ビジネスモデルを紹介し、2025年のビジネスを先取りしようという、大胆かつ刺激的な一冊。
船井グループで年間最優秀賞を最年少で受賞し、その後、一般社団法人ソーシャル・デザインを創業。世界中の次世代ビジネスをいち早く紹介し、企業の事業開発を支援している著者が、これからのビジネスの方向性を明確に示した、読み応えアリの力作です。
スマホアプリで、簡単に相乗りできる車をマッチングしてくれる、世界的ライドシェアサービスの「Lyft」、クルマを持っていなくてもUberやLyftで仕事ができるようにするサービス「Breeze」、タイムバンク(時間銀行)をインターネット上で展開しようとしている「TIMEREPUBLIK」、無料コワーキングスペースの「Seats2meet」、梱包と配送のフローに革命を起こそうとしている「Shyp」、年間約5000円で調理器具借り放題というサービスを提供している「The Kitchen Library」、遺伝子検査付きのダイエット家庭教師「FiNC」など、米国はじめ海外のさまざまなビジネスが登場し、これらを調べているだけでもあっと言う間に時間が経ってしまいます。
海外事例のほかにも、日本の最先端事例を紹介したり、ロボットの継続課金はじめ、これから有望なビジネスモデルを紹介したり、これで1400円は安すぎる、という印象です。
内容が濃く、とてもすべてご紹介できませんが、いくつか気になった部分をピックアップしてみましょう。
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今、経済は、新たなパラダイムの入り口にある。その経済は、収入にかかわらず生活水準を上げていける社会であり、貨幣経済に、共有経済、物々交換経済、贈与経済などが高度に融合していく世界である。それは、誰もが安心感を持って、価値創造に挑戦していける社会へと進化することを意味する
トライアルユーザーという試しに使う人々が登場し、その後は、バーストマジョリティーが巨大な波となって一気にその市場を席巻する(中略)この象徴的な例が、Kinectというモーションコントローラーの販売状況だ。Kinectは、コントローラーを用いずに、カラダを動かすことでゲームを行うことができるデバイスで、最初の60日間で800万台販売し、消費者向けデバイスとしてギネス記録となった。しかし驚くことに、半年もたたたないうちに急速に売上が減少し、2年もたたないうちに、その製品の寿命をほぼ終えてしまったのである
現在、Sharing Cities Networkというコミュニティーが、世界の数十の都市において、シェアできるものをGoogle Mapにマッピングする取り組みを行っている。コワーキングスペースやカフェ、ファブラボやハッカースペースなどが登録されているが、今後、この動きの先にあるものは、あらゆるものがマッピングされていく世界である
贈与経済圏をオンライン上に復活させ、あらゆる人の願いを、皆が無料で支援しあって実現させる。そんな理想を追い求めるソーシャルメディアがimpossible.comだ(中略)自分の願いを登録しておくことはもちろん、自らが持っているものを何の期待もせずに周りに与えたり、自身のスキルを無料で提供したりする(中略)FacebookやTwitter同様、気になる人をフォローすることもできるし、その人が贈与したものに対して獲得したthanksの数も、確認できる。ちなみに、このthanksは通貨としての役割を持ち、impossible.comのショッピングサイトで商品を購入する時に使うことができる(中略)impossible.comの開発には、インターネットの父ティム・バーナーズリー氏やウィキペディア創設者ジミー・ウェールズ氏、またノーベル平和賞を受賞しているムハマド・ユヌス氏などが関わっている
今後は、クラウドソーシングプラットフォームにはさまざまなプロジェクトや事業が登録されるようになる
これからの社会やビジネスがどのような価値観で運営されていくのかというと、それは、「命」を回復、強化、癒し、向上させていくためである
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著者のビジネスの見方が面白く、かつ事例も新鮮で興味深い。おまけにこれからの時代に適応するための経営思想についても触れられており、内容的には申し分ない一冊です。
ただ残念なのは、編集があまりに雑で、誤字脱字がいたるところで散見されること。プロの編集者が見たら、誤字脱字、表記統一のミスを指摘するだけでも楽しめるほどです。
素晴らしい本なので、次の増刷では、きっちり直して、出版していただきたいものです。
内容的には、未来のビジネスや投資に直結する優れた事例集で、申し分ありません。ぜひ買って読んでみてください。
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『ビジネスモデル2025』長沼博之・著 ソシム
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4802610149
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◆目次◆
chapter1 新経済パラダイムの出現
社会を変える7つのビジネスモデル
どこが現代経済社会の限界なのか?
ビッグバンディスラプションという新ルール
コストゼロ社会への道筋
貨幣によってむしろ取引コストが高くなる
価値消費ピラミッドと21世紀の消費
安心感ある価値創造社会の潮流
chapter2 ビジネスモデルのパラダイムシフト
ビジネスモデルのパラダイムシフト
ロボットの継続課金モデル
モノのオープンプラットフォーム
物流再構築モデル
ネットワーク力による価値消費の最適化
クラウドソーシング利用モデル
ボットソーシング利用モデル
個人と地域を活かすニューサプライチェーン
chapter3 次世代ビジネスの哲学
ロボット時代のビジネス哲学
テクノロジーが世界を謳歌する
人間は「進化するパターン」ではない
世紀に最も高い価値を持つもの
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