【日本復活の糸口は?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4166610236
今日、8月15日は終戦記念日です。
いつもとは違うセレクションを、と考えていたのですが、政治を語るのはBBMのポリシーに反しますし、だからといってこんな日に日本の未来を語らないのもどうかと思う。
というところで落ち着いたのが、本日の一冊『21世紀の日本最強論』。
福島清彦、中野剛志、橘玲、磯田道史、冨山和彦、立花隆といった日本を代表する有識者たちが、日本の立て直しプランを語る、オムニバス形式の一冊。
国連の新統計で日本が「世界一豊かな国」に選ばれた理由と、これからの先進国が目指す方法性を示しており、かつ各論では、今後日本がどこに活路を見い出せばいいのか、具体的なヒントが示されています。
これまでのGDP偏重ではない、先進国の「行き方」に注目です。
各論では、農産加工品の可能性、地方版「所得倍増計画」、東南アジアビジネス、ロボット、空家活用など、さまざまな可能性を各人が論じており、要点がズバリわかります。
マクロの話が中心ではありますが、これからの政策を判断する基準、ビジネスチャンスを掴むヒントにもなりますので、ぜひ読んでおきたいところです。
さっそく、中身をチェックしてみましょう。
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すでにEUでは、二〇二〇年に向けての長期戦略において、GDPという言葉を使っていない。その代わりに眼目となっているのは、若者の学力向上や、貧困者数削減など五項目についての具体的な数値目標である(福島清彦)
国連新統計では、(1)国民の頭脳力である人的資本、(2)ヒトが生産した資本、(3)国民の信頼関係である社会関係資本、(4)農業や鉱物資源を中心とした天然資本の四つの資本に着目し、これこそが、その国の国民の生活の豊かさと、経済の持続性を示すものだとしている(福島清彦)
国連の新統計でなぜ日本は世界一位という結果が出たのだろうか。具体的に見ていこう。蓄えた資産(豊かさ)で見る限り、先述したように日本は世界一豊かな国である。日本人がこれまでに蓄積した富は、アメリカと比較して(一人あたりの金額にして)約五百億ドル(五兆円)も多い。ここで計算している資産は、単なる預金や株式などの金融資産ではなく、人的資本、道路・港湾などの物理的資本、天然資本の合計だ。これが世界一だということは、日本が最も発展持続力のある豊かな国だということである(福島清彦)
東日本大震災の後、アジア新興国・途上国はエネルギー問題に敏感になっており、いずれも再生エネルギー開発に取り組むとともに、日本の省エネ技術に高い関心を示すようになった。すでに、新興国・途上国でも高齢化が進むなかで、日本の介護用品や日本式介護サービスは新しい市場を拡大しつつある(大泉啓一郎)
日本の犯罪発生率の低さの原因を数字から追究すると、答えは明白である。日本は犯罪者の更生に成功しているからである(河合幹雄)
農家は4割減ったにもかかわらず、彼らが稼ぎ出す農業産出額は同期間、8兆8000億円から8兆5000億円と4%しか減っていない。つまり農家一人当たりの稼ぎが飛躍的に向上しているのだ(浅川芳裕)
日本のように食品加工技術が発達した先進国では、原材料を国際価格で輸入できれば、加工産業が競争力を得て、農産加工品の輸出が増える(浅川芳裕)
アベノミクスがもっとも効果を上げられるのは、G(グローバル)の経済圏ではなく、L(ローカル)の経済圏なのです。年収1000万円の人の所得がさらに増えても消費はそれほど増えませんが、年収200万円の人が年収400万円になれば、賃上げ分のほとんどは消費に回されるからです(冨山和彦)
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いろいろと気づきがありましたが、なかでも心に響いたのは、論者の一人、福島清彦さんによる、以下の記述です。
<日本人はもっと自信を持っていい。「経済成長をし続けなければならない」という古い思い込みから自由になり、四資本の充実という、日本がすでにトップを走っている目標に向けて、経済戦略を設定し直したとき、日本経済は新たな未来を見出すだろう>
本書の内容が広く知られることで、未来に希望を見出す日本人が増えることを祈っています。
ぜひ読んでみてください。
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『21世紀の日本最強論』文藝春秋・編 文藝春秋
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4166610236
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◆目次◆
第一章 誰も知らない「世界一の日本」
衝撃の国連レポート「世界一豊かな日本」(福島清彦)
東南アジアに「ガラパゴス化」を売り込め(大泉啓一郎)
ノーベル賞量産の秘密(馬場錬成)
世界で一番安全な国(河合幹雄)
中国・韓国に勝つ秘策(原田曜平)
「高齢化で農業に未来はない」のウソ(浅川芳裕)
激増する空き家を活用すべし(牧野知弘)
第二章 日本人の弱点を克服せよ
世界一の国産ロボットはなぜグーグルに買われたのか(加藤崇)
地方版「所得倍増計画」を実施せよ(冨山和彦)
低負担なのになぜ重税感を感じるのか(井手英策)
「おもてなし」と長時間労働の危険な関係(黒田祥子・山本勲)
日本人が日本を捨てるとき(磯田道史)
第三章 大転換期の勝者とは?
ニュー・ノーマル経済の勝者は日本だ!(中野剛志)
21世紀の「坂の上の雲」(橘玲)
一匹狼中村修二型か、チームカミオカンデ型か(立花隆)
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