【作家・橋本治氏が「知性」を語る】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4479392793
本日ご紹介するのは、作家・橋本治さんが書いた『負けない力』。
「知性」について考察し、雑感を述べた本ですが、なぜ『負けない力』かというと、<マイナス状況から脱するためには、「どうすればいいかな?」と自分で考えなければなりません。それをするのが「負けない力」で、知性>だから。
ご本人いわく「なにかの役に立つような実用性のある本ではありません」が、実際には、われわれが現場で知を活用する際に、気をつけなければいけないことを丁寧に指摘しています。
<知性というのは、「なんの役にも立たない」と思われているものの中から、「自分にとって必要なもの」を探し当てる能力>
<「答は自分の中にあるんだから、自分で答を引き出さなければならない」と思うのが知性>
本書には、さまざまな知性についての著者の見解が登場し、知性とは何なのか、われわれはどう知性と向き合い、活用すべきなのかを考えさせてくれます。
日本人の知性に対する態度やそれを生み出した教育についても言及があり、興味深く読ませていただきました。
さっそく、そのポイントを見て行きましょう。
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現代人はめんどくさい「負けそうな状況」に巻き込まれないよう、「役に立つこと」ばかりを選びます。それをするのが利口なやり方とは思われていますが、手っ取り早く「役に立つこと」ばかりを求めていると、知らない間に「負けそうな状況」の中にどっぷりと入り込んでしまっています。つまり「負けることに対する免疫力」がなくなるのです
他人にものを考えさせるためには、親切であるよりも、少し意地悪だった方がいいのです。わざとどこかを意地悪く欠落させておいた方が、「この欠ける部分は何だ?」と思って、人は考えてくれるからです
自己主張が強いからといって、知性があるわけではない
多くの人が目立とうとすると、多くの人は“目立とうとする多くの人の中の一人”にしかなれない
身につけた知識を活用しないままでいるのは、その知識が「身に沁みていないもの」だからです
知性は「負けない力」です。「負けない力」を本気で発動させるためには、「負ける」ということを経験した方がいいのです。負けることをバカにする人に、ろくな知性は宿りません
「根拠」を求めて「他人の言葉」を探し出して来ても、「これは自分にとってどういう意味を持つものなんだろう?」と考えなければ、自分の役には立ちません。「他人のものは他人のもの」で、それを「自分のもの」にするためには、「自分のものに変える」という行為が必要で、「根拠」は自分で作るものなのです
日本人の「自分」は、「自分の中」にではなくて、「自分の外」にあります
「答」であるような「知識」ばかりを求めて「知識の量」を誇っても、「問題を発見してそれを解く」ということの重要性に気がつかなかったら、思考の放棄です
あなたの中に知性があるということは、問題は簡単に解決出来ないし、「負けた」と思うことはいくらでもあるだろうけれど、でも「自分」が信じられるから負けないということです
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終章にある、<「行き詰まった世界」をなんとかするための方法は、「世界は行き詰まっていない」と考えることによってしか生まれない>という考え方は、いまの日本人に必要な考え方だと思いました。
何の役に立つ本、と断言するタイプの本ではありませんが、読めば学ぶ態度、知との付き合い方に変化が訪れる本だと思います。
ぜひチェックしてみてください。
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『負けない力』橋本治・著 大和書房
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◆目次◆
はじめに
第1レッスン 「たった10秒」で、人は変われる
第2レッスン 「10秒アクション」を始めてみよう
第3レッスン 「10秒×7日間」で、人生を変える
第4レッスン さらにステップUP!「10秒アクション加速術」を始めてみよう
第5レッスン 「10秒」でできる「自分応援アクション」
おわりに
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