【祝・4000号!】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4479794875
最近、著者の方に書き方を指導していて、驚くことがあります。
それは、著者なのに論理的思考ができていない人が多いということ。
とくに自己啓発分野に多いのですが、何となく感覚的に主観を述べて終わっている、それも論拠が自分の体験だけだったりするのです。
もちろん、ビジネス書の主張のほとんどは仮説であり、論理的に完璧なものなどほぼないと思われますが、それでも緻密に論じようという姿勢は大事だと思います。
そこで本日ご紹介したいのが、元東京理科大学理学部教授、現・桜美林大学学長特別補佐の芳沢光雄さんによる、『「証明力」の養い方』。
タイトル通り、どうすればビジネスパーソンが「証明力」を養えるのか、その方法論を示しています。
ここで言う「証明力」とは、「問題解決力」「数的推理力」「論述力」の3つが融合して成るもので、本書ではこれらを順番に説明しています。
ポリアが提唱した「問題解決の四つのステップ」や、おなじみの「PDCAサイクル」、問題の分析が視覚的に行える「フィッシュ・ボーン・ダイアグラム」などを紹介。また、興味深いコンテンツとして、「例」の使い方を述べています。
論理的文章を書くためのメソッドなども紹介されており、社会に向けて文章を書く方、人前で話す方は、ぜひチェックしたいところです。
さっそく、一部内容を見て行きましょう。
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必要なのは客観的な事実であり、数字はその一つに過ぎません
わからない点やあやふやな情報を、そのまま放置してはいけません。学生でも、証明問題を苦手にしている人は、この点にルーズな人が少なくないのです。指示を聞き終わったら、自分の理解が正しいかどうか、なるべく早く確認しておきましょう。「確認」は、証明における初歩の初歩です
◆ポリアの「四つのステップ」を踏まえた「9つのステップ」
1.問題を定義する
2.原因を特定する
3.可能な解決策を列挙する
4.ベストな解決策を選択する
5.選択した解決策を誰が実施するか
6.予測される結果を評価する
7.行動計画を立てる
8.計画を実行する
9.振り返ってみる
背理法とは「結論を否定して推論を進めて、矛盾を導くことで結論の成立をいう証明法」
◆「例」には4種類ある
1.単に集合の要素をいくつか列挙するような集合要素型の「例」
2.存在性や反例を強調して挙げるような存在・反例型の「例」
3.同型対応の例を挙げるような同型対応型の「例」
4.「たとえば」を用いて、主題を取り替えるときに挙げるような主題変更型の「例」
帰納とは、観察や特殊な事例の組合せから一般的な法則を発見する手続き
1、2、3、4、5……と繋がって成り立つ性質を理解するときは、「1」と「2」だけでは不十分で、「3」まで理解することが大切
記号の意味を誰もが知っているとは限らない
二人でじゃんけんをしてあいこになったら、次に自分はその手に負ける手を出すと有利
論理的文章とは原因から結果を導くこと
一般に「p⇒q」が成り立つとき、qをpが成り立つための「必要条件」、pをqが成り立つための「十分条件」という
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正直、類書と比べて特別わかりやすい説明がなされているわけではありませんし、事例もビジネスに則したものというわけではなく、数学が苦手な人には多少とっつきにくい本かもしれません。
とはいえ、ここに書かれていることはビジネスパーソンとして意識しておいた方が良いことばかり。
「文系だから数学はわからない」では、これからの時代、世界のエリートと伍して戦うことはできません。
理解できなかった数学を復習するためのきっかけとして、ぜひチェックしてみてください。
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『世界のエリートに必要な「証明力」の養い方』芳沢光雄・著 大和書房
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◆目次◆
Chapter1 世界のエリートが受けている問題解決のトレーニング
Chapter2 わかりやすい説明とは何か? 「例」こそ証明力の要
Chapter3 問題解決力・数的推理力を高める10のヒント
Chapter4 誰もが平易に誤解なく読める論理的文章を書くメソッド
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