2014年10月15日

『ピクサー流創造するちから』エド・キャットムル・著 vol.3739

【ピクサー共同創設者が語る、創造の秘密】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478016380

本日の一冊は、『トイ・ストーリー』『モンスターズ・インク』『ファインディング・ニモ』などのヒットを連発するピクサーの共同創設者であり、ジョン・ラセター、スティーブ・ジョブズとともに同社を育ててきたエド・キャットムル氏による注目の一冊。

原題は『CREATIVITY, INC.』で、ピクサーのこれまでの軌跡や、創造性の秘密に迫った内容となっています。

※参考:『CREATIVITY, INC.』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0593070097

創造的な企業文化をつくるために、どんな人間を採用すればいいか、マネジャーは何をすればいいか、具体的なアドバイスが書かれており、参考になります。

なかでも興味深かったのは、ピクサーが用いている「8つのメカニズム」でした。

◆ピクサーが集合的な思考の意識転換を図るために使用しているメカニズム
(1)全員で問題解決(デイリーズ)
(2)現地調査でつかむ本物感
(3)制約の力
(4)テクノロジーとアートの融合
(5)短編で実験する
(6)観察力を養う
(7)反省会
(8)学び続ける(ピクサー・ユニバーシティ)

以前、テレビでレギュラーをやっていた時、とある有名作家に、「長編を成功させるには、短編をいくつも書いて練習するんだ」とアドバイスを頂いたことがありますが、やはり創造性には「実験場」が欠かせないようです。

また、同社が守っているという、「2つの基本的な考え方」も、作品をつくる方には参考になるでしょう。

◆ピクサーのクリエイティブを特徴づける2つの基本的な考え方
第一の原則「物語が一番偉い(Story Is King)」
技術であれ、物品販売のチャンスであれ、何であってもストーリーの妨げになってはならない
第二の原則「プロセスを信じよ(Trust the Process)」

400ページを超える厚い本ですが、ピクサー成功の裏舞台が覗ける刺激と実用性で、一気に読んでしまいました。

これはおすすめの一冊です。

———————————————–
▼ 本日の赤ペンチェック ▼
———————————————–

ピクサーを特別足らしめているもの、それは「問題は必ず起こる」と思って仕事をしていることだ。問題の多くは隠れて見えない。それを明るみに出すことが自分たちにとってどれほど不快なことであっても、その努力をする

マネジャーは、手綱を引き締めるのではなく、緩めなければいけないと思う

クリエイティブな発想において、役職や上下関係は無意味だ

美術的な技巧を凝らそうと、物語がきちんとさえしていれば、視覚的に洗練されているかどうかなど問題にならないのだ

無知と、旺盛な成功欲求との組み合わせ以上に、短期間での学習を促すものはない

いいアイデアよりも、適切な人材と適切な化学反応を得ることのほうが重要

グッド・ノート(よい指摘)は具体的に

率直さは残酷ではない。何も壊さない。反対に、フィードバック制度は、自分自身も経験しているからその痛みを理解できるという共感、全員の当事者意識のうえに構築すべきだ。自尊心を満足させたいという欲求、功績を認めてもらいたいという欲求、そうした感情を持ち込ませないよう努力している

制作工程を改善し、より安く楽な制作を目指すことは重要であり努力もするが、けっして最終目標ではない。目標はあくまで、いい作品をつくることだ

新しいアイデアは、ある時点で、それを守っている繭から人の手に移す必要がある

評論家には苦々しい真実がつきまとう。たとえ評論家にこき下ろされ三流品と呼ばれたとしても、料理自体のほうが評論より意味があるのだ。しかし、ときに評論家も冒険する。その冒険とは新しい才能を見つけ、守ることだ。世間は往々にして新しい才能や創造物に冷たい。新人には味方が必要だ

予想不能性は、創造性が生まれる土壌

リーダーの本当の謙虚さは、自分の人生や事業が目に見えない多くの要因によって決定づけられてきたこと、そしてこれからもそうあり続けることを理解するところから始まる

————————————————

『ピクサー流創造するちから』エド・キャットムル・著 ダイヤモンド社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478016380

————————————————-

◆目次◆

序 章 再発見
第1章 生命を吹き込む
第2章 ピクサー誕生
第3章 より長く、より遠く
第4章 ピクサーらしさ
第5章 正直さと率直さ
第6章 失敗と恐怖心
第7章 貪欲な野獣と醜い赤ん坊
第8章 変化と偶発性
第9章 隠れしもの
第10章 視野を広げる
第11章 未来に踏み出す
第12章 新たな挑戦
第13章 創造する環境
終 章 私の知っているスティーブ

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー