2014年10月14日

『フレームワークで人は動く』 清水久三子・著 vol.3738

【人を動かす「ヒト系」フレームワークとは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4023313335

本日の一冊は、元日本IBMグローバル・ビジネス・サービス事業部、ラーニング&ナレッジ部門リーダーで、社内外のべ1500人のコンサルタントに指導してきた清水久三子氏が、人を動かすフレームワークを紹介した一冊。

『プロの資料作成力』はじめ、良書の多い著者ですが、今回も、知っておくべき「コト系」「ヒト系」のフレームワークがシンプルにまとめられており、重宝する内容です。

※参考:『プロの資料作成力』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492044612

以前は、コンサルタントとして現場で軋轢も生んでいたという著者ですが、このフレームワークにより、人を動かす力を身につけ、今では、人間関係の難しい企業変革を専門として活躍できているそうです。

本書では、この企業変革ができるようになるためのフレームワークをいくつか紹介し、具体的な使い方を解説しています。

<多くの企業変革の経験談には「思わぬ抵抗にあった」というエピソードが多い>そうですが、そうならないために、ぜひ覚えておきたいところです。

さっそく、本書で紹介されているフレームワークをご紹介しましょう。

◆「前提への3つの挑戦」
・「必要性」を疑う
・「行動理由」を疑う
・「単独性」を疑う⇒「ほかのやり方はないのか?」

◆「ステークホルダーマップ」
縦軸に「変革への影響力」を、横軸に「変革に対する姿勢」を、それぞれ2~3段階で設定し、利害関係者をマッピングしていきます。こうすることで、利害関係者の全体像とパワーバランスが把握でき、「誰にどんな対応をすべきか」を検討していく地図ができあがります

◆「ペイオフマトリクス」(縦軸:実現性 横軸:実効性)
1.変革重要施策(効果が高いけれども難易度も高い)
2.クイックウィン施策(高い効果がのぞめるにもかかわらず、難易度が低い)
3.今すぐ徹底施策(効果が低いものの、難易度も低い)
4.実施しない施策(効果が低いにもかかわらず、難易度も高い)

◆「3つのボード」⇒プロジェクトのドラマづくり
1.ジュニアボード(若手や次世代リーダー候補を集めた「仮想の取締役会」)
2.ダッシュボード(進捗状況や、小さな成功体験などを壁に貼り出す)
3.オン・ボード(本気にさせるための演出)
  A.象徴的人事 B.一点突破(1つの指標にこだわり、集中して実行⇒成功体験)

読み進めていくにつれて、企業変革の際には、ここまで細かくマトリクスを作るんですね…と、正直驚きました。

途中、本文にはさみ込まれるショートストーリーの作り込みが甘いですが、それを除けば、勉強になる内容が満載でした。

企業変革のヒントとして、ぜひ参考になさってください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆「前提への3つの挑戦」
・「必要性」を疑う
・「行動理由」を疑う
・「単独性」を疑う⇒「ほかのやり方はないのか?」

◆「ステークホルダーマップ」
縦軸に「変革への影響力」を、横軸に「変革に対する姿勢」を、それぞれ2~3段階で設定し、利害関係者をマッピングしていきます。こうすることで、利害関係者の全体像とパワーバランスが把握でき、「誰にどんな対応をすべきか」を検討していく地図ができあがります

◆「ステークホルダータイプ」
1.アイコン:価値観や組織文化の象徴である人
2.インフルエンサー:組織への影響力が強い人
3.ネットワーカー:組織内で起きていることがわかる人

◆「マンツーマングリッド」
例)では、「対象者」「姿勢」「懸念事項」「主担当」「副担当」「頻度」「関連情報収集方法」という項目でまとめられている

◆「マンツーマングリッド」を使ったステークホルダーコミュニケーションのための計画
1.担当者を決める
2.コミュニケーション頻度を決める
3.関連情報の収集方法を決める
4.中核メンバー全員で情報を共有する

◆「タイムマシン法」⇒変革後の姿から今すべきことを考える
タイムマシン法では、まず、図17のように期間を区切った枠を用意します。この時、今に近づくにつれて期間が半分ずつになっていくように枠を並べていきます。たとえば、4年後の変革達成を目指すのであれば、4年後(変革後)の姿を書く枠を右端に置き、その隣に4年の半分の2年後、さらにその横に2年の半分の1年後というようになります

◆「ペイオフマトリクス」(縦軸:実現性 横軸:実効性)
1.変革重要施策(効果が高いけれども難易度も高い)
2.クイックウィン施策(高い効果がのぞめるにもかかわらず、難易度が低い)
3.今すぐ徹底施策(効果が低いものの、難易度も低い)
4.実施しない施策(効果が低いにもかかわらず、難易度も高い)

◆「3つのボード」⇒プロジェクトのドラマづくり
1.ジュニアボード(若手や次世代リーダー候補を集めた「仮想の取締役会」)
2.ダッシュボード(進捗状況や、小さな成功体験などを壁に貼り出す)
3.オン・ボード(本気にさせるための演出)
  A.象徴的人事 B.一点突破(1つの指標にこだわり、集中して実行⇒成功体験)

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『フレームワークで人は動く』清水久三子・著 朝日新聞出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4023313335

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◆目次◆

序章 フレームワークを使いこなせば人は動く
Stage1 「企画」&「布陣」
第1章(コト系)「企画」──やるべきことを定める
第2章(ヒト系)「布陣」──巻き込む人を決める
Stage2 「計画」&「組閣」
第3章(コト系)「計画」──目標を決め、計画を立てる
第4章(ヒト系)「組閣」──中核となるチームをつくる
Stage3 「実行」&「展開」
第5章(コト系)「実行」──プロジェクトを遂行する
第6章(ヒト系)「展開」──変化を拡大・浸透させる

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