【リーダー必読の名著】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/486276181X
本日の一冊は、エグゼクティブ・サーチで有名なコーン・フェリー・インターナショナルのシニア・パートナーであり、『リーダーシップ・エクセレンス』誌による「思想リーダー10人」にも選ばれたケヴィン・キャッシュマンが、リーダーシップにおいて「立ち止まる」ことの重要性を説いた一冊。
一見、消極的なタイトルですが、いやはや、読み応えのある内容で、ある程度の年数、指導者の立場にある方なら、きっと感動なしには読み進められないと思います。
著者は、かつて、死の床にあった同僚と、こんな会話を交わしました。
「ボブ、リーダーが忘れてはいけないことって何だろう?」
同僚の答えは、こうでした。
「ペースを落とすことを忘れてはいけない。人とつながりを持ち、やりがいのあることをするんだ。ペースを上げすぎて、愛や奉仕こそが生きがいを与えてくれることを忘れてはいけない」
同様に、執筆当時74歳の上場企業会長、デイヴィッドも、こんなコメントを残しています。
「私たちはいま、成功のために自分たちのエネルギーを、管理や、支配や、自己中心的なやる気に注いでいる。やりがいのある奉仕に心を砕くんじゃなくてね。ときどき立ち止まるべきなんだ。内省して、自分のこと、同僚のこと、そしてミッションをよく知るんだ」
これで、「立ち止まる」ことの意義はわかったと思いますが、では一体どうやってそれを実践するのか?
それに関して、本書では7つのポイントが示されています。
◆立ち止まることの7つの実践
1,目的意識を持つ
2,問いかけ、耳を傾ける
3.挑戦するリスクをとる
4.内省し、統合する
5.内側から外側へ、外側から内側への力に目を向ける
6.生成力を育てる(他者が自分を超えていくのを助けることを通じて、自身がエネルギーや熱意を得る力)
7.真正なリーダーになる
リーダーに限らず、人間は誰でも、ある程度の期間走り続けると、一定の虚しさを味わうもの。いわゆる「中年の危機」に関して、著者はこんな説明をしています。
<典型的な「中年の危機」は、やりがいがなければ、自分の力で勝ち取った成功や能力も不十分だと気づき、大きな苦しみを抱くことで起こる。それはまさに、自分の長所がより大きなものに奉仕してこなかったのではないかという不安を引き起こす気づきである>
では、われわれはどうやってこの危機を乗り越えられるのか。
それに対して、著者はこう述べています。
「人の奥底にある欲望、人の最大の幸せは、自分と自分の才能をより大きく、より大切なものに捧げることで満たされる」
そのより大きく、大切なものを見極める上でも大切にしたい、「立ち止まる」という行為。
リーダーなら、ぜひ本書を読んで、実践していただきたいものです。
ひさびさに、読み応えのあるリーダーシップ本。
文句なしに、おすすめの一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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効率を重視するマネジャーは最も正確な回答を導き出すよう訓練されているが、リーダーは最も深い問いを提起する力を育む
状況がはっきりしていて活動を必要としているときは立ち止まりすぎないほうがいい
どんな場合でも、ためらいは一歩引いて内外の状況を検討せよという合図なのである
◆立ち止まることの7つの実践
1,目的意識を持つ
2,問いかけ、耳を傾ける
3.挑戦するリスクをとる
4.内省し、統合する
5.内側から外側へ、外側から内側への力に目を向ける
6.生成力を育てる
7.真正なリーダーになる
自分のもろさ、弱点、そして負の感情を知り、それらが不適切な状況で、価値を生まない形で出てしまわないよう点検できるようにしておかなければならない
自己認識が足りないと、周りのほうが自分の長所と短所をよく知っていることになり、信頼が失われる
リーダーたちは、突然悪い人間になるのではない。「自己の利益のために幾度となく自尊心を捨て続けた」結果、そうなるのである
人生は遅かれ早かれある段階で終わりを迎えるが、人生の過程や、そこに込められた意味は──その人の目的意識は──生き続ける
人々が、リーダーにはいたわりがあり、自分たちのためにいてくれると知ったとき、偉大なことが可能になる
やることをやり、やりすぎなければ、結果はついて来る
他者の成長を促すために立ち止まるとき、最も大切なのは問いかけと耳を傾けることの二点である
「革新的なアイデアのほとんどはうまくいかない。信じ続け、生み出し続け、リスクを取り続け、特に物事がうまくいかなかったときは『いいトライだった』と祝い続けることが必要なんだ」(ケン・メルローズ)
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『優れたリーダーは、なぜ「立ち止まる」のか』ケヴィン・キャッシュマン・著 英治出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/486276181X
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◆目次◆
第1章 立ち止まるということ
第2章 自己を育む
第3章 他者を育む
第4章 イノベーションを育む
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