2014年7月31日

『大人のための読書の全技術』齋藤孝・著 vol.3663

【社会人が読んでおくべき50冊とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4046004797

本日の一冊は、明治大学文学部教授であり、数多くのベストセラーを持つ齋藤孝氏が、大人のための読書の技術を紹介した一冊。

速読、精読、本の選び方…。

いわゆる読書系の本で、繰り返し登場する全テーマを扱っており、まさに『読書の全技術』と呼ぶにふさわしい一冊。

巻末には、著者がセレクトした、「社会人が読んでおくべき50冊の必読リスト」が付いています(気になります)。

まず、読書の効用について著者が述べるのは、以下の2点。

・自分をデザインするやり方を先人に学ぶこと
・強烈なモチベーションを持つこと

強烈なモチベーションを持つ読書の例として、著者は『史記』を書いた司馬遷の例を挙げています。

ちょっと引用してみましょう。

<『史記』を書いた司馬遷は、李陵をかばったために、時の皇帝・武帝によって宮刑(強制的に去勢すること、「腐刑」とも呼ばれた)という悲惨な刑にかけられてしまいました。これ以上、理不尽な仕打ちはありません。司馬遷自身、「宮刑より大きな恥はない」「郷里の人々に笑われ、先祖の名を汚してしまった。面目がなくて父母の墓参りなどできはしない」と書いています。しかし、彼は『史記』を完成させるために、耐えて生きる道を選ぶのです。それに比べれば、職場で多少嫌なことを言われたり、理不尽な思いをするくらい、たいしたことではありません>

いかがでしょうか? 読書を通じてモチベーションを上げる、ということの意味がよくわかる例だと思います。

読書を効率的かつ有意義にするために、著者はこんな提案もしています。

<私は、「仮の設定」をすることをすすめています。具体的には、本を読む目的を設定する、本を読み終える時間的締め切りを設定する、という二つがあります>

そして気になる50冊のリスト。

全部を挙げることはしませんが、『利己的な遺伝子』にはじまり、『代表的日本人』『学問のすゝめ』など定番中の定番が登場する他、土井も大好きな『商家の家訓』などのマニアックな本、『LEAN IN』『不格好経営』など、最近のビジネス書も挙げられています。

300ページ超の少々厚い本ではありますが、文章が軽快で、サクサク読み進めることができます。

ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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・自分をデザインするやり方を先人に学ぶこと
・強烈なモチベーションを持つこと

天才とか偉人と呼ばれている人は、学ぶことがうまい。あるいは学ぶ情熱に溢れているので、実に多くのヒントをもらうことができます

『史記』を書いた司馬遷は、李陵をかばったために、時の皇帝・武帝によって宮刑(強制的に去勢すること、「腐刑」とも呼ばれた)という悲惨な刑にかけられてしまいました。これ以上、理不尽な仕打ちはありません。司馬遷自身、「宮刑より大きな恥はない」「郷里の人々に笑われ、先祖の名を汚してしまった。面目がなくて父母の墓参りなどできはしない」と書いています。しかし、彼は『史記』を完成させるために、耐えて生きる道を選ぶのです。それに比べれば、職場で多少嫌なことを言われたり、理不尽な思いをするくらい、たいしたことではありません

活字量は、基本的にその人の思考速度に比例します。つまり、思考速度が速いからこそ活字量が多くなる。そのため一定時間に発せられる言葉に込める「意味の含有率」が高くなる

仏教用語に「慈悲」という言葉があります。慈悲の「慈」というのはおおもとの意味では、友だちや同胞に対して利益や安楽を与えるという意味です。また、「悲」というのは、友だちや同胞の苦を抜いてあげる、苦を除いてあげるということです

私は、「仮の設定」をすることをすすめています。具体的には、本を読む目的を設定する、本を読み終える時間的締め切りを設定する、という二つがあります

本を買ったら、その日のうちにさばいておく。つまり、一目惚れしたテンションのまま、一気に中身を把握しておくべきなのです

自分がいちばん言いたい結論は最後の終章にまとめるのが一般的です。それなら、何も最初から読む必要はありません。すべてを要約してある最後の結論から読めばいいわけです。このように本を逆から読む方法を、私は「逆算読書法」と呼んでいます

本を読むことで、自分の中に偉大な他者を持てるようになると、視野が大きく広がります。そのためにこそ、すばらしい先人たちが書いた本を読む必要があるのです

そもそも教養というものは、引用力そのもの

ただ読むだけではいつまで経っても受け売りしかできません。経験と言葉を結びつけていく読み方を身につけるべきです

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『大人のための読書の全技術』齋藤孝・著 中経出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4046004797

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◆目次◆

序 章 社会人にこそ、読書術が必要な理由
第1章 読書のライフスタイルを確立する
第2章 読書の量を増やす──速読の全技術
第3章 読書の質を上げる──精読の全技術
第4章 読書の幅を広げる──本選びの全技術
第5章 読書を武器にする──アウトプットの全技術
終 章 社会人が読んでおくべき五〇冊リスト

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