2014年6月29日

『「フォロワー」のための競争戦略』手塚貞治・著 vol.3631

【中小企業経営者、必読。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534051999

本日の一冊は、「フォロワー」のための競争戦略を説いた、じつに希少な一冊。

ご存じない方のために、一応解説しておくと、マーケティングの世界では、業界におけるプレイヤーを、「リーダー」「チャレンジャー」「ニッチャー」「フォロワー」の4つに分類し、「フォロワー」は、あたかもダメな企業のような扱いを受けています。

しかしながら、現実的に考えると、多くの中小企業は「フォロワー」なわけで、本書はそんな大多数の企業が「どう戦うべきか」、具体的な戦略アドバイスをしてくれています。

本書では、「20世紀最高の経営者」と称されたジャック・ウェルチ率いるGEが採用し、定番となった戦略、「選択と集中」を真っ向から否定し、「リスクヘッジ競争戦略」を取ることを勧めています。

といっても、決して奇策を提案しているわけではなく、あくまで現実的な観点から、「選択と集中」は多くのフォロワー企業に向かない、と述べているのです。

著者の主張を引用してみましょう。

<外部環境はめまぐるしく変わります。いったん「選択と集中」が成功したとしても、その後の環境変化によって絞り込んだその事業が苦境に陥ることもあります>

<「選択と集中」という戦略は、そもそもが、振幅の大きいハイリスクハイリターンの戦略>

<GEにおいて「選択と集中」が功を奏したのは、そもそも複合化・多角化が進んでいて、きわめて多くの事業を抱えていたから>

では、著者が勧める「リスクヘッジ競争戦略」とは、どのようなものなのか。著者が示しているのは、以下の5つの方向性です。

リスクヘッジ競争戦略
1.競争回避
2.顧客ロイヤリティ
3.持たざる強み
4.ポートフォリオ
5.試行錯誤

競争を回避するために、同業の商品・インフラを活用したり、リーダー企業と組んだりするのが「競争回避」で、それ以外にも「顧客ロイヤリティ」を高めて勝利する方法、「持たざる強み」を活かして持続的ローコスト戦略を取る方法など、さまざまな戦略の考え方が説かれています。

事例も豊富で、ひさびさに読み応えのある戦略本でした。

中小企業の経営者には、強くお薦めしたい一冊です。ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆リスクヘッジ競争戦略
1.競争回避
2.顧客ロイヤリティ
3.持たざる強み
4.ポートフォリオ
5.試行錯誤

◆同業集積戦略
1.共同販促 2.共同物流 3.共同仕入

多くのフォロワー企業にとって、競争を回避するいちばんの方法は、リーダー企業と組むことです

◆提携棲み分け戦略の具体的方法
1.商品ラインの棲み分け
2.営業エリアの棲み分け
3.OEM供給

◆同業基盤活用戦略
1.商品を活用する 2.インフラを活用する

◆残存者利益獲得戦略
石油ファンヒーターのシェアトップというのは、みなさんどの会社かご存じでしょうか。答えは、ダイニチ工業です(中略)現在では国内で供給するのは実質的に専業メーカー数社のみで、ダイニチ工業はシェア5割のリーダー企業となるに至りました。(中略)ちなみに、業務用大型石油ストーブという成熟市場でもシェア6割を誇っており、現在は東証一部に上場、自己資本比率は80%を超すキャッシュリッチな優良企業となっています

直接のお客様に対して攻めあぐねている時、その先のお客様から固めていくことがとても効果的

素材メーカーなどの場合は、用途ごとに商品開発を進めることによって顧客業種を拡散させるという手法が常套手段

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『「フォロワー」のための競争戦略』手塚貞治・著 日本実業出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534051999

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◆目次◆

序 章 「フォロワー」は「選択と集中」すべきなのか?
第1章 「競争回避」(その1)~戦わずして勝つ~
第2章 「競争回避」(その2)~同業をテコにする~
第3章 「顧客のロイヤリティ」~顧客から選ばれる~
第4章 「持たざる強み」~柔よく剛を制す~
第5章 「ポートフォリオ」~確率論で勝つ~
第6章 「試行錯誤」~失敗は成功のもと~
終 章 戦略策定の落とし穴

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