2014年4月19日

『独裁力』 木谷哲夫・著 vol.3560

【組織を迅速に動かす究極の方法】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4799314777

「独裁」と聞いて、みなさんはどんなイメージを持たれるでしょうか?

一人の権力者による横暴、理不尽、時にヒトラーのような狂気を生む……。

まあ、ろくなイメージはないと思いますが、じつはこの「独裁」、上手に使えば、国や企業が大成功する原動力となり得るのです。

本日ご紹介する一冊は、この「独裁力」をテーマに、企業戦略、国際ビジネスを専門とする著者が述べた、注目の論考。

企業のリーダーが持つべき「独裁力」の詳細と、押さえておきたい社内政治のルールをまとめた、実践のための一冊です。

興味深いのは、「マッキンゼーが日本でマイナーであり続ける理由」として、トップの権力が弱い日本企業の弱点を指摘している点。

本書を読めば、日本企業の決断力が弱い理由、その構造がよくわかり、参考になります。

ここまで読んで、「独裁力」を身につけたいと思った方には、以下の「権力の法則」が役に立つでしょう。

本書によると、権力を握るための法則は、以下の4つ。

◆権力の法則
法則1.コア支持層の数をできるだけ小さくする
法則2.第一層を常に不安定な状態に置く
法則3.第二層の予備軍を増やし、代わりがいくらでもいる状況をつくり出す
法則4.自分のコア支持層にはきちんと報いる

本書では、こうした法則を実行するために、実際の企業リーダーたちがどんなことを実行したのか、具体的な例が載っており、参考になります。

ジンバブエのムガベ大統領、シンガポールのリ・クアンユー、ヒトラー、スティーブ・ジョブズ、HPのCEOになったカーリー・フィオリーナ、エステーの鈴木会長など、豊富な事例が読ませてくれる一冊です。

ぜひ読んてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆権力の法則
法則1.コア支持層の数をできるだけ小さくする
法則2.第一層を常に不安定な状態に置く
法則3.第二層の予備軍を増やし、代わりがいくらでもいる状況をつくり出す
法則4.自分のコア支持層にはきちんと報いる

コア支持層の人事権は自分で掌握せよ

会社員の持ち物はサラリーでありポストなので、いくら権力者でも、自分一人ですべてを決めてしまうのではなく、何らかの手続きで公正さを保つ必要があります

エリートはエリートで固定され、一般社員にはまったく昇進の見込みがないような企業では、結局は従業員の意欲を引き出すことができません

専制国家では、立派な軍隊は国内の治安維持のために存在するだけで、対外戦争には弱いのです。いざ戦争になれば専制体制より、民主主義国のほうが動員力に優れ、国全体としての努力の総量に大きな差が出てきます

権力センスに優れる鈴木会長(エステー)は、側近には怖れられる一方、一般社員には親しくし、支持を得るようにしています

ヒトラーはこのように、対抗勢力をお互いにせめぎ合わせ、自分がいないとどうにも動かないような状況をつくり上げ、最後は抗争する勢力のどちらかに軍配を上げる、というスタイルを好みました

権力者にとって、不必要に自分の手の内を見せることは、べからず集の最上位に来る禁止事項です

説明してもわかってもらえないことを組織を通じて実現するには、権力を掌握し、自分の思い描くように組織を稼働させるしかありません

スティーブ・ジョブズは、人間が本当に欲しがっているものは、完全な自由ではなく、名君による独裁だと信じ、プラトンのような考え方をするタイプの人だったと言われています

中心権力が不在では勝てない

M&Aや選択と集中のようなドラスティックな改革には、どうしてもその影響はみなに平等とはならないので、割を食う人が抵抗勢力になります

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『独裁力』木谷哲夫・著 ディスカヴァー・トゥエンティワン
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4799314777

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◆目次◆

序章 独裁力とは何か?
第一章 内なる敵を知る
第二章 権力基盤を構築する
第三章 動員力を発揮する
第四章 独裁者の裏ワサ゛
第五章 日本企業の生き残り策

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