【これぞビジネスマンの歴史の読み方】
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高校一年生の頃、社会の先生に、「大人になった時、一番役に立つ教養は何だと思う?」と聞かれ、不覚にも答えられませんでした。
先生の答えは「世界史」で、これがきっかけで、高校では世界史を選択し、その後、ギリシャ文化に傾倒することとなりました。
これは大学時代、ギリシャに留学していて気づいたことですが、ある程度大人になってから、世界史を学び直すと、教科書に書かれていた史実の「裏」や為政者の「意図」を知ることができます。
なぜ為政者がそんな制度を作ったのか、なぜその国が戦争をしなければならなかったのか、事実の羅列だけだった教科書に行間が加わって、よりビビッドに、面白くなるわけです。
本日ご紹介する一冊は、そんな大人ならではの世界史の楽しみ方を、ライフネット生命保険株式会社会長兼CEOの出口治明さんが教えてくれる一冊。
世界史の視点から見た日本、歴史が中国で発展した理由、王朝の最後の王がみんな悪者になるカラクリ、宗教の正体…。
歴史学者ではないので、著者の歴史の読み方が正確かどうかは判断しかねますが、確実に、ビジネスに役立つ視点が手に入る内容だと思います。
たとえば、傭兵に関する以下の記述。
<傭兵政策は、一般に、強大な統一国家が成立したら破綻します。小さい国が争っているからこそ傭兵の価値があるわけで、統一国家が成立したら傭兵のニーズはなくなります>
現在のインターネットは、ある意味傭兵(ノマド、フリーランス)の時代をもたらしていますが、「統一国家」が生まれれば、それも需要がなくなる、ということでしょう。
また、ローマ教皇がお金や情報を集めた方法も、参考になります。
<ローマ教皇の力の源泉は何かと言えば、資金と情報力だと思います。ありとあらゆる宗教はだいたい非課税ですから、お金が集まります。しかもローマ教会は聖年も始めていて、初めは50年に一度だったのですが、1400年からは原則25年に一度となっています。いわば神宮の式年遷宮のようなもので、この年にローマに巡礼すると特別の赦しが与えられるため、世界中から信者がお金を持ってローマに集まってくる(中略)すべての人がちょっとでも悪いことをしたときに、司祭に告白さえすれば救われるという制度は、情報の宝庫になっていきます>
どんな時代に、どんな制度を作れば効果的なのか。どんな人になれば活躍できるのか。どうすれば、人々の心を掴むことができるのか。
世界史からビジネスのヒントが学べる、興味深い一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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傭兵政策は、一般に、強大な統一国家が成立したら破綻します。小さい国が争っているからこそ傭兵の価値があるわけで、統一国家が成立したら傭兵のニーズはなくなります
開国したときに最初に対処しなければならないことは、為替レートを決めることです。為替レートの影響は昔もいまもたいへんに大きい
縄文・弥生時代の頃、北九州には鉄がなかったので、木を使って作物をつくっていた。木を切って尖らせて、それで土を掘り起こしたりしていたわけですから、これはもう想像するだけでも、大変です。いくら頑丈な木を使っても木で土を掘り起こすのと、鉄の鍬とかスコップを使うのとでは比較になりません。だから人間の社会は、鉄が普及するまではそんなに豊かではなかった
人間は交易によって豊かになる
実際は、気候が悪くなると食糧が不足し、人民の不安が高まって叛乱が起こり、叛乱の大将がだいたい次の王様になるのです
どんなに力のある宗教でも、これをやれば必ず成功する、などという教えはない。そうすると、貧しい人を納得させようと思えば、この世はいろいろな理由があって苦しみに満ちているけれど、彼岸に行ったら楽しいことがありますよ。だから、いまは忍んで耐えて明るく暮らそうね。そう言ってごまかすのが、一番てっとり早い。宗教は現実には救ってくれない。けれども心の癒しにはなる「貧者の阿片」なのです
ローマ教皇の力の源泉は何かと言えば、資金と情報力だと思います。ありとあらゆる宗教はだいたい非課税ですから、お金が集まります。しかもローマ教会は聖年も始めていて、初めは50年に一度だったのですが、1400年からは原則25年に一度となっています。いわば神宮の式年遷宮のようなもので、この年にローマに巡礼すると特別の赦しが与えられるため、世界中から信者がお金を持ってローマに集まってくる
すべての人がちょっとでも悪いことをしたときに、司祭に告白さえすれば救われるという制度は、情報の宝庫になっていきます
自分が住んでいる生態系の中に、必要なものがなかったら、それを外部から持ってこなければ仕方がない。だから、ないものを知恵を絞って手に入れることによって、自分の住む生態系を豊かにすることが、交易の本質
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『仕事に効く教養としての「世界史」』出口治明・著 祥伝社
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◆目次◆
はじめに なぜ歴史を学ぶのか
第1章 世界史から日本史だけを切り出せるだろうか
第2章 歴史は、なぜ中国で発達したのか
第3章 神は、なぜ生まれたのか。なぜ宗教はできたのか
第4章 中国を理解する四つの鍵
第5章 キリスト教とローマ教会、ローマ教皇について
第6章 ドイツ、フランス、イングランド
第7章 交易の重要性
第8章 中央ユーラシアを駆け抜けたトゥルクマン
第9章 アメリカとフランスの特異性
第10章 アヘン戦争
終章 世界史の視点から日本を眺めてみよう
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