2014年3月1日

『「幸せをお金で買う」5つの授業』 エリザベス・ダン、マイケル・ノートン・著 vol.3511

【不幸な人が知らない、正しいお金の使い方】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/404600181X


「成功とは、望むものを手に入れることであり、幸福とはそれを楽しむことだ」

これは、世界一の投資家、ウォーレン・バフェットの言葉ですが、不思議なのは、望むものを手に入れるために学ぶ人はいても、楽しむためにその方法論を学ぶ人はいない、ということ。

「幸せ」を強調する本は数多くありますが、そのいずれも「幸福」を感じるメカニズムを説明しておらず、正直不満に思っていました。

本日ご紹介する一冊は、われわれの幸福と密接な関係のある「お金の使い方」を、心理学の専門家とマーケティングの専門家が明かした、じつに興味深い一冊。

著者は、ブリティッシュコロンビア大学心理学准教授のエリザベス・ダン氏と、ハーバード・ビジネススクールマーケティング学准教授のマイケル・ノートン氏です。

本書には、われわれが幸福になるためのお金の使い方(ハッピーマネー)の5つの原則が登場します。

1.経験を買う
2.ご褒美にする
3.時間を買う
4.先に支払って、あとで消費する
5.他人に投資する

著者の言葉を借りるなら、幸せなお金の使い方とは、以下のようなものになるでしょう。

<ものを買うことから経験を買うことへ、自分のために使うことから他人のために使うことへ移行すると、幸福度に劇的なインパクトを与えることができる>

面白いのは、ものを買うことと経験を買うことの満足感の違い。

つまり、<経験的な買い物に対する満足感は時が経つにつれて増していく傾向があるのに対し、物質的な買い物に対する満足感は減少する傾向>があるのです。

これが、「経験を買う」ということの意味です。

また、毎日高級車に乗るよりも、たまのご褒美にした方が人は幸せであり、また通勤時間は短い方がより幸福になれる。他人に投資することで幸せになれるというのも、何となくわかる気がしますね。

興味深かったのは、4つめの戦略「先に支払って、あとで消費する」というもの。

著者によると、<お金を先に支払っておいて、消費をあとに延ばすことで、現実に落胆することなく、期待に満ちたわくわくした気持ちを持ち続けることができ>るということですが、だとすれば、ローンはマイナスに働きそうです。

お金の支払い方ひとつで、こうも幸福にインパクトがあるのか、と新鮮な印象を受けました。

お金を稼ぐことばかり考えるのではなく、使うことで幸福になる方法を学ぶ。

ぜひおすすめしたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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別の研究では、お金の写真を見ただけで、孤独な活動を好むようになり、友人との夕食よりも、料理の個人レッスンを選ぶという結果が出ています

ロンドンの住民の多くはビッグ・ベンを一度も訪れたことがありません。なぜでしょうか? 素晴らしいものがいつも身近にあると、人間というものはそれをあまり大切に思わなくなるものです。大好きなものに手が届かないように制限をかけると、新鮮な喜びを味わえるようになります。喜ぶ能力が再生されるのです

経験を購入するかどうか迷ったときのことを振り返った人々の83パーセントは、マーク・トウェインの側につきました。たった1つの最大の後悔は行動に移さなかったこと(中略)一方、形のある買い物に対しては逆でした。ほとんどの人の最大の後悔は、買わなければよかったと思う品物を買ってしまったことだったのです

豊富さが感謝の敵であるなら、不足は私たちの最良の友

何かが永久に続かないことを知ると、私たちはそれをよりいっそう大切に思うもの

有効期限が2カ月先だった場合にはギフト券を使った人はたった6パーセントだけでした。一方、有効期限がもっと短い3週間だった場合には31パーセント

マックリブからマセラティまで、あらゆるものにおいて、入手することを制限されると、歓度計がリセットされます

マッサージ中に休憩を取らされた人のほうがマッサージをもっと楽しみ、次回にはもっと料金を払ってもいいと思うようになりました

通勤に片道1時間かかる仕事に就くと、幸福にネガティブなインパクトを与えます。しかもそのインパクトは、失業するのと同程度

配偶者の通勤時間が長いと、幸福度も低くなる

給料が安くても家に近い職場に通うほうが幸せでいられる

人は遠い未来を抽象的にながめるとき、こんなことをしたらきっと素晴らしいだろうと考えます。ところが、近い未来について考えるときには、実行可能かどうかに重点を置いてしまう

◆他人に投資するときにインパクトを強める3つの戦略
「選択する」「つながりをつくる」「インパクトを与える」

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『「幸せをお金で買う」5つの授業』エリザベス・ダン、マイケル・ノートン・著 KADOKAWA/中経出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/404600181X

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◆目次◆

Prologue 「幸せをお金で買う」5つの原則
Lecture1 経験を買う
Lecture2 ご褒美にする
Lecture3 時間を買う
Lecture4 先に支払って、あとで消費する
Lecture5 他人に投資する
Epilogue 視野を広げよう

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